FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界的な景気回復の不透明感から売り優勢

米国株の下落要因が世界的なコロナ感染の再拡大であったことから、これまでコロナ収束を見越して買われていた銘柄群が軒並み売られた。東京エレクトロンなど一握りの半導体株には買いが入ったが、グロース株を見直すまでの動きには至らず、指数は下げ基調が継続した。短期の海外投資家などが日経先物に売りを出したことで、先物安で割高となった現物株にも売りが出た。市場からは『値下がり局面であっても、機関投資家などはすでに年度末の持ち高を固めてしまっており、買いを入れにくい』との指摘もあり、下支え要因が乏しいことが株価を下押しした。結局、前営業日比590円安の2万8405円で終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばでもみ合いう展開

ドル/円は、本邦国内勢などのドル買い・円売りが先行し、108.64円付近まで値を上げた。しかし、欧米での新型コロナウイルス感染再拡大が警戒されているため、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利低下や日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いに押されて108.45円付近へ下落した。午後は、米長期金利や日経平均株価の動向を睨みながら、108.50円を挟んでもみ合いとなった。海外時間に予定されているFRB当局者の発言や米5年債入札を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは1.18ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では3月マークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

2月実績は57.9だった。3月については、欧州諸国における新型コロナウイルスの感染流行が続いていることや、雇用環境の大幅な改善は期待できないことから、2月実績をやや下回る可能性がある。

 

独がロックダウンの期限を延長する発表

ドイツ連邦政府と州政府は23日、新型コロナウイルス感染拡大阻止のためのロックダウン(都市封鎖)の期限を、従来の28日から4月18日まで延長すると発表した。昨年11月に緩めの制限から始まった封鎖は、強化を経て5カ月半に及ぶこととなった。
2月はほぼ数千人だった1日の感染者数は、3月には1万7000人を超える日もあるなど、第3波が到来した。英国の変異ウイルスが新規感染の7割を占め、猛威を振るっている。メルケル首相は『新たなパンデミック(世界的大流行)だ』と訴え、警戒を呼び掛けた。

 

トルコの金融市場への不信感は高いまま

格付け会社フィッチ・レーティングスも『トルコ中銀総裁の更迭で金融政策の信頼性とインフレ抑制見通しが損なわれた』と述べ、今後は新たな中銀総裁の手腕を見極める必要があるとしている。就任後にカブジュオール新総裁は金融機関のトップと会談し、信用構築に努めている。ただ、来月半ばの金融政策決定会合までは市場のモヤモヤ感は燻ったままであり、そういった中でリラの上値は追いは難しい。同国金融市場への不信感は高まったままであり、トルコ資産から撤退する外国人投資家のヘッジ解消が集中したことで、昨日はリラ翌日物スワップレートが一時1400%まで急騰した。

 

南ア市場では2月消費者物価指数が公表:政策金利の動向にも影響

南アでは、本日発表される2月消費者物価指数(CPI)次第では神経質な動きになる可能性が高い。CPIは市場予想では前年比で+3.0%となっている。これは南ア準備銀行(SARB)の目標バンド3-6%の下限でもある。トルコをはじめ新興国の一部では利上げを行っているが、バンド下限に近付いている南アは利上げを行う状況ではない。むしろ、これ以上のCPI低下は、市場が利下げを促す可能性もある。結果次第では他の新興国通貨と比較すると金利面でのうまみもなく、昨日のように株式市場も軟調に推移した場合はランド/円は下げ幅を拡大するリスクもある。

 

メキシコにとって明るいニュース:米国がメキシコへワクチン供給

メキシコでは、国内の新型コロナ状況においては引き続き警戒感が高まる状況だが、ワクチンについて19日に米国が保有する英アストラゼネカ製のワクチンを270万回分、メキシコに供給することが決定した。これにより、7月末までには国民の約6割にあたる8000万人への接種が目指せると政府は明らかにしており、メキシコにとっては久しぶりの明るいニュースとなっている。

 

『補完的レバレッジ比率』条件緩和措置は3月末に終了

2021年3月19日、米連邦準備理事会(FRB)は、3月末に期限を迎える『補完的レバレッジ比率(SLR)』の条件緩和措置を3月31日に終了する、と発表した。共和党やウォール街の米国金融機関は、金融システムと米国債市場に与える影響軽減のため期限を延長するように要請していたが、民主党のウォーレン上院議員やブラウン上院銀行委員長は、延長を認めないよう要請する書簡を金融当局に送付していた。 2022年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長は、2期目の再任を目論んでおり、民主党の有力議員の支持を必要としていることから逆らえなかったのかもしれない。

 

米財務長官は法人増税の必要性を指摘:米国株式市場への影響も

イエレン米財務長官は23日、下院金融サービス委員会で証言を行い、国内経済は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響でなお危機的状況にあるとしながらも、新たな公共投資の財源確保に向けた将来的な増税計画に理解を求めた。一つの可能性として、法人税を28%に戻すことが考えられるとしたものの、『バイデン政権は中小企業のほか、国民を阻害するような政策は提案しない』と述べた。委員会では共和党側から、米経済が増税を検討できるほどに経済が健全であるとどうして言えるのかとの質問が出された。これに対し、イエレン氏はパンデミックで多くの職が失われ『失業という大問題』に直面しているとしながらも、『経済が再び力強さを取り戻した後、バイデン大統領はインフラ、気候変動リスクへの対応、人的資源への投資、研究開発(R&D)、製造業などを巡る長期的な投資不足への対応を提案する公算が大きい」と指摘した。『財源確保は必要だ』と述べた。

 

米国市場では3月米マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

2月実績は58.6だった。先行指標とみられている3月NY連銀製造業景気指数は2月実績を上回っていること、ワクチン接種の拡大などによって雇用環境は多少改善されていることから、3月は2月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比0.8%)
○16:00   2月英CPIコア指数(予想:前年比1.4%)
○16:00   2月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.6%/前年比1.6%)
○17:00   2月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比3.0%)
○17:15   3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:56.5)
○17:15   3月仏サービス部門PMI速報値(予想:45.5)
○17:30   3月独製造業PMI速報値(予想:60.8)
○17:30   3月独サービス部門PMI速報値(予想:46.2)
○18:00   3月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:57.7)
○18:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:46.0)
○18:30   3月英製造業PMI速報値(予想:55.0)
○18:30   3月英サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.40%)
○21:30   2月米耐久財受注額(予想:前月比0.8%/輸送用機器を除く前月比0.6%)
○21:50   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○22:45   3月米製造業PMI速報値(予想:59.3)
○22:45   3月米サービス部門PMI速報値(予想:60.0)
○22:45   3月米総合PMI速報値
○23:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会でCARES法について証言
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.5)
○25日00:40   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○25日02:00   米財務省、5年債入札
○25日02:35   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○25日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演

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