FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株とNYダウ先物が軟調推移で利益確定売り優勢

強い雇用時計が米国株の買い材料となったことを好感して、寄り付きから300円を超える大幅上昇した。しかし、開始直後に高値をつけると、その後は伸び悩む展開になった。しばらくは値を保っていたものの、前引けにかけては上げ幅を2桁に縮小した。アジア株やNYダウ先物が軟調に推移したことが相場の重石になった。市場からは、『鉱業や鉄鋼、石油、石炭製品など素材やエネルギー関連は堅調な一方、半導体関連やハイテク株の売りが相場を押し下げた。また、新型コロナウイルスの新規感染者数が世界的に幻想傾向にある中、サービス消費の盛り上がりを市場が織り込み始め、巣籠り関連銘柄では利益確定売りが先行した』との指摘があった。結局、前営業日比121円安の2万8743円と3日続落し、2月4日以来、約1ヵ月ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:FRBが米長期金利の上昇に静観でドル買い優勢

ドル/円は、国内輸出企業などからドル売り・円買いが持ち込まれ、108.31円付近まで下落した。しかし、米国で大型の追加経済対策が早期に成立する見通しとなっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、FRB当局者が長期金利の上昇に静観の構えを示し、米金利先行観が強まるなかでドルの押し目買いが入り、108.40円へじり高となった。午後は、日経平均株価のさえない動きを睨みながら、108.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、先週末に発表された2月米雇用統計の改善で、欧米景況感格差を意識したユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.19ドル台を割り込んで1.1899ドル付近まで下落する場面があった。

 

ドル買い比率は53.2%に低下:利益確定や逆張りの円買い・ドル売り増加

QUICKが8日算出した前週末5日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、FX取引で円に対するドル買いの比率は53.2%と、前の週末から3.3ポイント低下した。じりじり円安・ドル高基調が保たれたことで、目先の利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増えた。集計社数の変更で単純比較はできないが、ドル買い比率は2020年6月以来の低水準となった。

前週は新型コロナウイルスのワクチン普及や米追加経済対策の早期成立に伴う景気や物価の改善期待を背景に米長期金利の上昇が続いた。日米の金利差拡大への思惑から円相場は5日に一時1ドル=108.63円と昨年6月以来の安値をつけた。円安・ドル高が進む中で、利益確定に加え、相場の流れに逆らう『逆張り』の円買い・ドル売りを入れる個人投資家が増えた。

 

18日のトルコ中銀の利上げの思惑から上下に振れる可能性も

先週発表されたトルコの2月消費者物価指数(CPI)でインフレ加速が確認され、市場ではトルコ中銀による早期の追加利上げ観測が高まっている。欧米の一部金融機関のなかには、18日の会合で政策金利を1%引き上げて18%にすると予想する向きも出てきた。アーバル・トルコ中銀総裁も先週末、中銀は恒久的な物価安定を目指していると述べ、引き締めスタンスの維持を再び強調した。一方、中銀の次の一手が利上げのみに限定されるなかでは、物価が簡単に低下するとは思えない。原油相場が高騰していることもあり、インフレが高止まりする可能性は高い。そうなればトルコ経済活動の停滞にも繋がりかねず、リラの上値を積極的に追うのは難しくなってくる。 

 

南アの国内ではポジティブ要因も

南ア国内では、徐々にではあるがポジティブな要因が増えてきている。2020年はアルコールやたばこの販売がほぼ禁止されていたこともあり、税収不足が心配されているが、結果的には前年比で11%程度の減収で収まったことは、財政不安を抱えている南アにはプラスの要因となる。また、先週から南アの国内規制がレベル1の水準まで引き下げられた。これにより夜間外出の禁止時間が深夜0時から4時までに短縮されたほか、集会の収容人数規制も緩和されている。アルコール販売もほぼ全面解禁されており、経済再開への期待が高まっている。

 

米2月雇用統計は予想以上の改善

米労働省が5日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比37万9000人増加し、市場予想の21万人増を上回った。また、1月の就業者数の増加幅は4万9000人から16万6000人に上方修正された。原動力となったのはレストランの雇用増で、調査の実施時期が寒波到来と重なり、多くの地域で店外飲食が困難だったことを踏まえると、これは見事な数字である。2月の失業率は6.2%に低下し、1月と同じ6.3%になるとみていた市場予想よりも改善した。

米公共放送(PBS)は、イエレン米財務長官がインタビューに応じ、最近の長期金利上昇は金融市場のインフレ懸念ではなく、米経済の力強い回復への期待が引き起こしたものだとの考えを示したと報じている。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数34.0/先行き判断指数41.0)
○15:45   2月スイス失業率(季節調整前、予想:3.8%)
○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年同月比▲3.7%)
○19:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24:00   1月米卸売売上高
○24:00   1月米卸売在庫(予想:前月比1.3%)
○ロシア(国際婦人デー)、休場

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