FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:3万円届かず失望売りが優勢

米債券市場の売りが落ち着いたほか、新型コロナウイルスワクチンや追加経済対策に関連した動きを受けて早期の景気回復へのk血合いが高まった。一方、米供給管理協会(ISM)が発表した2月の製造業景気指数は3年ぶりの高水準となった。新規受注の伸びが加速した。これらを好感する形で、日本株は前日の好地合いを引き継ぎ、上値を追ってスタートした。幅広く物色されて日経平均は3万円回復まであと一歩まで迫ったが、届かなかったことで心理的に悪影響を与えて、失望感から値を消す展開になった。結局、前営業日比255円安の2万9408円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的な節目として107.00円を意識

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられて106.93円付近まで値を上げ、昨年8月下旬以来の高値をつけた。ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及した面もあった。ただ、心理的節目の107.00円に接近すると上げは一服した。その後は、米長期金利低下や日経平均株価のさえない動きを眺めたドル売り・円買いに押されて106.75円付近へ下落した。午後は、米長期金利や日経平均株価の動向を睨みながら、106.80絵台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日にECB当局者が金利上昇をけん制したことから、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.20ドル台前半の安値圏で推移した。

 

金ETFから資金流出が続く

1日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から資金が流出した。QUICK FactSet  Workstationによると5億639万どるの流出となり、これで過去1ヵ月で41億ドル超の流出を記録したことになる。この日の米国市場でGLDは5日続落し、前日比0.17%安の161.53ドルで終了した。米長期金利の上昇基調が一服したものの、米国株が大幅高となってドル高・円安が進む中、2月以降は実物資産のゴールドから資金が流出する傾向が続いた。まだ、GLDは過去1年で80億ドル超の資金が流入したままで、さらなる流出に伴い弱い基調が続くことが警戒される。

 

4日からのOPECプラス会合に注目が集まる

原油相場は上昇が続くなか、今週は4日に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成するOPECプラスが会合を開催する。原油需要の改善を受けて、現行の協調減産措置を4月から小幅に緩和する可能性が注目を集めている。すでに減産の小幅緩和については、織り込みも進展してきた。依然サウジアラビアなどは減産に慎重との見方もあり、減産縮小が小幅にとどまると、原油は再上昇となる。為替相場では資源国通貨の上昇や円安の要因となりやすい。反対に予想以上の増産となると、サプライズへと作用する。原油は調整下落となり、短期的に資源国通貨安と円高が加速される波乱余地も無視できない。

 

トルコの感染者は抑制には至らず21年の成長にも不透明感

欧州序盤に発表されたトルコの10-12月期GDP(前年比)は5.9%増と予想を下回った。ただ、2020年通期の成長率は前年比1.8%増とG20の中でも数少ないプラス成長を確定させた。 エルドアン大統領は昨日、新型コロナウイルス感染抑制のために講じられた行動制限の一部緩和を発表した。経済正常化に向けた第一歩となるが、一方で昨日発表された1日あたりの新規コロナ感染者数は9891人と1月以来の1万人台に迫っていいる。新規感染の7日平均も9200人台と上昇傾向である。トルコ当局はワクチン接種が順調に進んでいるとしているが、感染者数の抑制にはまだ至っていない。制限緩和は段階的に行うとされているものの、足もとの感染が再び拡大傾向のなかでどれほど緩和が進められるかは疑問が残るところである。もし政府の舵取りが失敗すれば景気回復の大きな遅れに繋がり、楽観視されている21年トルコ成長にも不透明感が高まってしまう。

 

南アのポジティブ材料:感染拡大の後退とワクチン普及

南アのポジティブ材料としては、今週から南ア国内の規制水準がレベル1まで緩和したことがあげられる。これにより夜間外出禁止時間が深夜0時から4時までに短縮され、集会規模も緩和(屋内100人、屋外250人)、アルコールの提供も緩和された。規制緩和の理由としてウイルスの感染拡大が弱まっていることと、ワクチンが普及し始めたことが要因となっている。また、2020年はアルコールやたばこを規制(ほぼ禁止)されたことで税収が心配されたが、2019年と比較し11%程度の税収減に収まったことも、南アにとっては好材料となっている。

 

メキシコでは感染改善もぺメックスの経営状況がリスク

2週間に1度更新される各州の新型コロナウイルス感染警戒信号の最新データが先週末に保健省より発表され、警戒レベルがもっとも高い『赤』が2州から0州となった。全体としても徐々に1月の最悪期をピークに改善しており、病院の稼働率については新型コロナ患者に対して一般病棟の30%程度の使用率を保つなど、医療崩壊は避けられている状況。ワクチン接種にしても2月からは高齢者への接種が始まっており、年内には国民全体の70%が接種される予定を政府は立てている。ただ、懸念されるのは国営石油会社ぺメックスの経営状況である。昨年10-12月期の決算を発表し、赤字幅が前期よりも大きく、内訳でも国内販売や輸出が大きく減少している。昨年末時点での負債総額は2兆2587億ペソと前年からは14%上昇するなど、政府支援にもかかわらず改善の兆しはない。格付け会社各社もメキシコの格付けはぺメックスの経営状況が大きく左右されると警告していることもあり、今回の決算内容は懸念材料として残る。

 

全米の製造業活動の楽観見通しは強まる


全米の製造業活動の状況を示す米供給管理協会(ISM)が発表したISM製造業景況指数の2月分は60.8と1月58.7から予想以上に上昇し2004年5月以降17年ぶり高水準となった2018年2月の水準に並んだ。9カ月連続で活動の拡大と縮小の境目となる50を上回り活動の拡大を示した。累積需要が押し上げ。さらに、供給や労働者不足が仕入れ価格を押し上げた。今後、経済活動の再開にともないレストランなどの営業も再開し食品製造業の稼働も一段と加速すると見られる。ワクチンの進展で、企業の楽観的見通しも強まっている。調査の結果、楽観的回答5に対し、悲観的回答は1。1月の3対1の比率からさらに改善した。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.3%)
○16:00   1月独小売売上高指数(予想:前月比▲0.3%/前年比1.3%)
○17:55   2月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化▲1.3万人)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比0.9%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.1%)
○22:30   12月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比▲3.0%)
       10-12月期カナダGDP(予想:前期比7.5%)
○22:40   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○3日03:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○3日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演

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