FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米ハイテク株安に歯止めがかかったことを好感

懸念されていた米長期金利上昇に一服感し、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が反発した。米ハイテク株安に歯止めがかかったことが投資家心理を上向かせ、東京市場でも半導体関連やハイテク株を中心に買いが優勢となった。日本時間の米株価指数先物が検討に推移したほか、上海総合指数や香港ハンセン指数などアジア株も上昇したことが安心感につながり、相場を支えた。結局、前営業日比697円高の2万9663円と大きく反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高を好感したリスク選好の円売り

ドル/円は、本邦輸入企業勢などのドル買い・円売りは日経平均株価の大幅高に支えられて106.70円付近まで上昇し、昨年8月下旬以来の高値をつけた。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、今晩予定されている2月米ISM製造業景況感指数や米FRB当局者の講演を見極めたいとの雰囲気から、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食い売りも見られ、106.65円付近でもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、106.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.20ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

原油価格に騰勢の観測も

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の下で積み上がった過剰な原油は速いペースで消えつつある。モルガン・スタンレーによれば、世界の原油在庫の減少ペースは過去20年で最も速い。米国の生産が強い寒波で打撃を受ける中で、原油価格は新型コロナの感染拡大前の水準を回復している。新たなスーパーサイクル(長期の上昇局面)到来や再び1バレル=100ドルに回帰するとの観測も出始めた。
OPECプラスは次回の生産調整のための閣僚級会合をテレビ会議形式で4日に開く。昨年決定した減産をさらに縮小し、生産を一定量増やすことで合意する見込みである。
しかし、OPECプラスが十分積極的に増産に動くかどうかは不透明である。感染拡大が需要を今なお脅かす状況を警戒し、OPECの盟主サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は『高度に慎重な姿勢』を維持するよう他の産油国に強く求めた。OPECプラスが合意した供給増が必要量に届かない場合は、原油価格がさらに上昇し、望ましくない結果に対応を迫られることになりかねない。

 

トルコの今週のポイント

本日は10-12月期トルコ国内総生産(GDP)や2月製造業PMIが発表される。GDPは前年比で前回よりもプラス幅を拡大する見込みだが、既に多くの機関がトルコ経済成長の見通しを上方修正している。逆に、予想を下回った場合にはサプライズからリラ売りが強まる。3日の2月消費者物価指数(CPI)は前年比では2019年8月以来の15%台まで上昇すると予想され、トルコ中銀の金融引き締めの効果はまだ見受けられない。前回26%を超えた生産者物価指数(PPI)も高止まるようであれば、早期の追加利上げも視野に入ってくる。トルコ外交については、露製地対空ミサイルS400の配備に対するバイデン政権からの批判をいかにかわすことができるかがポイントである。トルコが強気の態度を貫き通すようであれば、米国による対トルコ追加制裁の可能性も高まってくる。

 

南アの雇用は最悪の状態

南ア経済を見ると、先週発表された南アの失業率を見ても分かるように、南アのファンダメンタルズは非常に悪いままである。10‐12月期の失業率は32.5%で、これは2008年の現行制度での調査発表以来最悪な結果でした。ウイルス感染抑制のためロックダウンを行っている時期は、就業を諦めた失業者が増加し、これらの人たちは失業にカウントされなかったことで4-6月期は一時的に減少した。しかし、今回は約100万人が再雇用を求めた数値として計上されたことで、失業率が伸びた。また、今回の期間で就業を諦めたままの失業者を含めると、失業率はいまだに42.6%(拡大失業率)になるとのデータもある。失業者は約720万人だが、そのうちの半数以上の52.3%は教育レベルが低い失業者、若年層(15-24歳)は62.3%、25-34歳は41.2%となるなど、年齢や教育格差も問題になっている。

 

メキシコは2年連続でのマイナス成長

国立統計地理情報院(INEGI)が昨年の国内総生産(GDP)確報値を発表し、-8.5%と2年連続でのマイナス成長、マイナス幅としては1932年以来の水準を記録したことが分かった。今年は3年ぶりのプラス成長に向けて政府による強い政策が期待されるところだが、1-2月は新型コロナウイルスによる経済活動のストップ、先日には米テキサス州の大寒波で米国からの電力供給が細り、大規模停電、そして自動車生産の規模縮小や停止など、出鼻をくじかれている状況になっている。

 

下院では新型コロナウイルス対策法案可決:上院では難航必至

米下院は先月27日に1.9兆億ドル規模となる新型コロナウイルス対策法案を賛成219・反対212で可決した。この後は上院での採決となるが、法案に盛り込まれている最低賃金7.25ドルから15ドルの引き上げについては共和党からの反対が必至であり、上院での協議は難航すると見られている。民主党は10-12ドル程度の修正案を準備しているなどの報道も伝わっている。

 

ゲームストップ騒動で空売りファンドが戦略見直し

ゲームストップ騒動から丸1カ月が経過した。市場では空売りを減らす動きが出ており、オンライン掲示板レディットを舞台とした個人投資家の反乱は、なおヘッジファンドの戦略に影響を与えている。レディットなどソーシャルメディア上で話題になった銘柄の一角が1月に急騰したことを受け、ヘッジファンド業界は全般的に空売り圧縮に傾いている。背景には、こうした現象が他の銘柄にも広がりかねないとの懸念がある。米国株の値上がり・値下がりの双方を見込んだ取引を行うヘッジファンドでは、買い持ち高が2010年以降で最も大きく膨らんでいる。モルガン・スタンレーの傘下部門が短信に記している。ラッセル3000指数構成銘柄で、取引可能な全株式に占める空売りの割合は2月22日時点で5.6%と、1月19日の7.5%から低下した。データ分析会社S3パートナーズが明らかにした。昨年3月以降は相場が急回復したため、ヘッジファンドはここ1年、空売りを圧縮する傾向にあり、この流れが続いている。

 

米国市場では2月ISM製造業景況指数が公表

1月実績は58.5と市場予想を上回ったが、16業種が拡大、3業種が縮小した。内訳では新規受注と輸出は低下したが、雇用は改善した。2月については新規受注と輸出はやや低下する可能性があるが、雇用は改善する可能性があることから、1月実績並みの水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比7.0%)
○16:00   2月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30   1月スイス小売売上高
○17:30   2月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:60.1)
○17:50   2月仏製造業PMI改定値(予想:55.0)
○17:55   2月独製造業PMI改定値(予想:60.6)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:57.7)
○18:30   2月英製造業PMI改定値(予想:54.9)
○18:30   1月英消費者信用残高(予想:▲20億ポンド)
○18:30   1月英マネーサプライM4
○22:00   2月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比1.2%)
○22:30   10-12月期カナダ経常収支(予想:70.0億カナダドルの赤字)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:05   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:45   2月米製造業PMI改定値(予想:58.5)
○24:00   1月米建設支出(予想:前月比0.8%)
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:58.6)
○2日03:00   2月ブラジル貿易収支(予想:6.38億ドルの黒字)
○2日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○韓国(独立運動記念日)、休場

 

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