FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

中国のインフレ指標:過度な懸念は後退

中国国家統計局が発表した5月消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.9%上昇となり、市場予想通りとなった。また、5月生産者物価指数(PPI)は前年同月比4.7%となり、市場予想の4.5%上昇を上回った。

 

日経平均株価は米国株高や円安進行を好感

前日のNYダウが320ドル高続伸したことや1ドル=111円台前半の約1ヵ月半ぶり円安を好感して採算改善期待から輸出関連株に買いが入ったものの、3日続伸で利益確定売りが重石となり引けにかけて上げ幅を縮めた。結局、前日比144円高の2万2196円と3日続伸して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:株高を好感してドル買い・円売り優勢

ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅が200円を超えたことにに支えられ、111.05円近辺はじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの支援材料となった。午後もこの流れは続き、アジア主要株価の落ち着きをながめてさらにドル買い・円売りが進み111.20円付近まで上昇した。ユーロ/ドルは、前日にドラギECB総裁が早期の利上げに改めて慎重姿勢を示したことで、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1740ドル付近へ軟化した。

 

第二弾の対中制裁関税の発動には注意

週明けの上海総合指数が2%超大幅続伸となる中、人民元は買い戻しが先行した。先週末の終値1ドル=6.63元から6.62元前後まで人民元高が進んだ。米中関税合戦の第一弾が終了したことで悪材料の出尽くし感で、大幅の中国株安・人民元安に反動が入っている。ただ、トランプ米大統領は2週間後に第二弾の対中制裁関税の発動や、その後の制裁規模拡大などを示唆するなど、米中貿易摩擦の激化懸念は払拭されていない。現在のところ関税合戦の悪影響は深刻と思われていあにが、トランプ大統領が脅迫したように関税対象を最終的に5000億ドルまで増やされる可能性が強まれば、本格的な貿易戦争が勃発する。

 

10-16日にトランプ大統領訪欧で米中通商摩擦は小休止か

トランプ大統領が欧州訪問中の今週11-12日、ブリュッセルで開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席する。加盟各国に対し、国防費増額は要請する構えとなっている。米政府による6月からの欧州自動車に対する輸入関税増強のブラフは、『国防費増額との駆け引き材料』の側面もあった。その意味で今週からのトランプ大統領訪欧では、欧州との通商摩擦に関して一定の歩み寄りがあるか注視される。米欧の通商摩擦が肥やすとなれば、ユーロ高やリスク選好によるクロス円での円安が支援される。

 

週末から4-6月期の米企業決算が本格化

米国株式市場では、今週末から4-6月期の決算発表が本格化する。通商摩擦や世界減速懸念、ドル高などもあり、収益見通しの減速リスクがドル安やリスク回避の円高材料として警戒されている。その反面、米国株市場はこうした悪材料を織り込む形で、6月から調整下落となってきた。その意味で実際の決算発表では、複合リスクによる打撃が『まだ尚早』という、打たれ強さへの期待感も消えていない。3-5月期決算企業の発表が散見されているが、情報技術コンサルティング大手アクセンチュアやスポーツ用品大手のナイキなどが良好な決算内容を打ち出し、両社の株価ともに上昇するという前向きな先行シグナルが見られている。

 

欧米イベント

○15:00   6月ノルウェーCPI(予想:前月比0.5%/前年比2.4%)
○15:45   5月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.7%)
○17:30   5月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
      製造業生産高(予想:前月比0.9%)
○17:30   5月英貿易収支(予想:120億ポンドの赤字)
○18:00   7月独ZEW景況感指数(予想:▲18.0)
○18:00   7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:15   6月カナダ住宅着工件数(予想:21万件)
○21:30   5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○11日02:00   米財務省、3年債(330億ドル)入札
○11日02:00   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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