FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:国内企業の業績回復観測から買い継続

米国株高を受けて上昇して始まったが、一旦上値が抑えられて失速した。しかし、そこから下げに転じたところで直ぐに切り返すと、2万9500円を突破して上げ幅を200円近くまで広げた。しかし、節目を超えたところでは利益確定売りも出てきて伸び悩むと、その後は2万9500円近辺でこう着感が強まった。好決算を発表したソフトバンクグループ株の上昇が指数を押し上げた。結局、前営業日比117円高の2万9503円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から105円割れ水準で推移

ドル/円は、米長期金利低下を眺めた欧州通貨や資源国通貨に対するドル安が波及、104.90円付近まで下落した。本邦輸出企業によるドル売り・円買いも継続的に観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、104.84円付近まで値を下げた。しかし、海外時間に予定されているFRB当局者の講演や米3年債入札を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きが見られ、104.90円を挟んでもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.2070ドル台で方向感を欠く展開になった。

 

11日から春節で日本市場がリスク回避のヘッジ市場になりやすい

中国市場は11日から17日にかけて、春節(旧正月)の長期休場となる。周辺のアジア市場でも休場が増加していく。中国などアジア市場が休場となる場合、ちょっとした悪材料が浮上してくると、取引されている日本市場で『代替ヘッジ対応』による日本株売りや円買いが進みやすい。中国当局は春節入りを前にして、不動産バブル抑制などに向けた流動性の回収を強化しており、こうした引き締め策もまた、潜在的な株安とリスク回避の円高、資源国通貨安のリスクとして注意を要する。

 

原油優位への基調転換で世界的景気回復と安全逃避後退の動きに

国際商品市場では『WTI原油先物÷NY金先物』の相対倍率で、原油劣勢の一服と原油優位への基調転換が固まりつつある。世界的な景気回復と安全逃避後退、デフレ懸念緩和、ドル安一服などを示唆するもので、日本では円高・ドル安の抑制と株高持続に寄与しやすい。同倍率はトレンドを示す12カ月移動平均の方向角度が上向き化に転じており、過去実績として1-2年の基調継続と世界的な循環回復の同時進行が支援される。金安・原油高の流れは、安全逃避から設備投資など前向きな投資への資金移転を促す。過去実績として『原油÷金』の相対倍率の底入れは、資源需要の復調を含めた世界景気の回復を先取りする前兆シグナルとなってきた。1980年代以降の長期実績として、日米での設備投資や米国の失業率とも時間差ケースを含めた連動相関性が確認されている。過去実績として上向き転換は世界景気の循環回復入りと密接な連動性を有しており、1-2年間は回復トレンドが持続延命されている。その期間中、日本では世界景気の回復などを受けて、内閣府の全産業・営業利益など企業収益の改善が連動観測されてきた。同時進行で円高・ドル安の抑制や円安への転換、株高のトレンドが高確率で支援されている。


 

南アでの高水準にある感染者数や死者数がランドの上値を抑える

週末のファイナンシャル・タイムズ紙に、南ア発の変異株がアストロゼネカとオックスフォード大学が開発したワクチンには効果が薄いという記事が掲載された。南アはアストロゼネカ/オックスフォードのワクチン使用の一時停止を決定している。その一方で、南ア保健省は『今後は米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)との協力を強化する』と発言している。日本国内でもインフルエンザのワクチンを受けたのにかかわらず、異なる型(変異株)のためインフルエンザに罹患したという話は毎冬聞かれる。新型コロナウイルスも同様に、変異し続けることでこのようなことは頻繁に起こるという声が出ている。市場の一部では昨日の動きで変異株のワクチン問題は市場に織り込んだとの声も出ているが、依然としてウイルスによる南アでの感染者数・死者数が高水準にあることや、インフルエンザよりも多くの国がコロナに対して敏感なことで、やはりランドの上値を抑える要因としては残る。

 

トルコのCDSは低下傾向となり信用リスク軽減


信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)をみると、トルコ5年物国債CDSが先週、約1年ぶりに300を割り込んだ。11月初旬にトルコ財務相や中銀のトップが入れ替わる前は550を超えていたことを考えると、トルコ金融市場に対する信用度は大きく改善している。トルコCDSは昨日やや下げ渋ったが、今後も5年CDSが300を下回り続けるようならば、リラの下値も限定的になりそうである。一方、高止まりしている米金利や堅調な原油相場はリラの重石となり得るため、それらの動向も注視すべきである。

 

メキシコ市場では1月CPIが公表:中銀の金融政策に影響

9日に1月消費者物価指数(CPI)が明らかになるが、前年比では3カ月連続で中銀のインフレ目標値のレンジ内(2-4%)に収まることになりそうである。国立統計地理情報院(INEGI)が先月末に発表した2020年の実質国内総生産(GDP)は1932年の世界恐慌時以来の悪化となったことが分かり、ワクチンの普及とともに経済対策が急がれている。昨年11月以降、利下げをやめ金利動向に注視している中銀からすれば、再度金融緩和を始める舞台は整ってきたとも言える。そういった中で、9日にインフレ指標が発表された後の2日後、11日に中銀が金融政策を発表する。ここでの利下げはないにしても、声明で今後の緩和を匂わす内容が出れば、高金利通貨であるペソにとっては悪材料となるため、声明内容に注目である。

 

9-11日にかけて四半期定例の満期償還とクーポン利払い:円高の思惑

米国債は1月以降の債券価格下落(金利は上昇)を受けて高値警戒感が緩和されており、FRBによる緩和長期化の見通しなどもあって、根強い応札需要が示される可能性がある。その場合は米債金利の低下(債券価格は上昇)とドル安を促す。ただし、米国債への根強い需要自体は、中長期スパンではドルの下支え要因にもなる。同時に米国債市場は15日にかけて、四半期定例の満期償還とクーポン利払いが集中する。日本の機関投資家は3月に年度末決算が迫っており、償還・利払い資金の国内送金と円転(ドル売り)の可能性が思惑先行でドル安・円高材料となる可能性を秘めている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独貿易収支(予想:140億ユーロの黒字)
○16:00   12月独経常収支(予想:233億ユーロの黒字)
○21:00   1月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.31%)
○21:00   1月メキシコCPI(予想:前月比0.78%)
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○10日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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