FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:手掛かり材料が乏しい中で押し目買い優勢

手掛かり材料が乏しい中で、目先的な調整の一巡感から押し目買いを誘い、全体的な展開となったものの、方向性が定まらなかった。商いは引き続き細った状態となっており、そうした中で個別物色の動きが活発化した。2万6700円を上回り年初来高値(2万6817円)が視野に入ると、利益確定売りが出て上値を抑えた。結局、前営業日比143円高の2万6668円と続伸して終了した。12月第3週(14日~18日)の海外投資家(外国人)は1655億円の買い越しとなり7週連続となった。

 

東京外国為替市場:様子見から103円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル買い・円売りに支えられ、103.62円まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値103.65円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による利益確定売りも見られ、103.55円付近でもみ合う展開となった。午後に入っても、103.55円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。日本時間20時に予定されているジョンソン英首相の『ブレグジット』についての記者会見を前に、様子見を決め込む市場参加者が多かった。ユーロ/ドルは、高値警戒感から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.2200ドル付近へ下落した。英国でこれまでの新型コロナウイルスの変異種とは異なる新たな変異種が確認されたことも、ユーロの重石となった。

 

南アのウイルス感染拡大に要警戒:ランド暴落に注意

ランド/円の買いトレンドは非常に強く、このトレンドが続く可能性は高いが、南アでのウイルス感染拡大には要警戒となる。日本時間早朝には英国が南アからと南アへの航空便を変異種拡大のために停止すると発表した。また南アフリカ歳入庁(SARS)は本日から1月4日まで感染拡大を抑えるために長期に閉鎖することを決定した。モデルナ社は開発されたワクチンが、変異種にも効果があるかのテストを行うと発表している。もし効果がなかった場合は、今までのワクチンを支えにしたリスク選好相場が崩れる可能性もある。

 

メキシコのCPI上昇で金融緩和政策終了の可能性も

メキシコの12月前半の消費者物価指数(CPI)が、市場予想を上回る伸びとなった。国家統計地理情報局(INEGI)がウェブサイトで23日公表した12月前半のCPIは市場予想の前年同期比3.15%を上回る前年同期比3.22%へ上昇した。CPIは2週間前に比べ0.34%上昇した。メキシコ中銀は17日、政策金利を4.25%に据え置くことを決めた。中銀は9月の会合まで11会合連続で利下げを実施し、政策金利を合計で4ポイント引き下げていたが、前回11月の会合で据え置きに転じ、金融緩和サイクルを停止した。インフレ率が中銀の目標レンジ中央値の3%に向け減速しているか見極めるにはもう少し時間が必要だと判断した。CPIが上昇に転じるようなら、金融緩和から引き締めに転じる可能性もある。

 

クリスマスイブで閑散相場の中市場が動意づく材料も燻る

本日の為替市場はドイツやスイスなど複数の市場がクリスマス・イブで休場となる。閑散な取引が予想される中で、市場を動意づかす材料はまだ燻っている。ウイルスの変異種の拡大で英国はイングランド南東部以外の地域でも規制が強化された。モデルナ社は開発したワクチンについて変異種にも効果が出るのかを追加試験を始めると早朝に発表しているが、もし効果がなかった場合はワクチン開発に対する楽観論が吹き飛ぶリスクもある。米国からはトランプ米大統領の任期が1カ月を切る中で、様々な行動で問題を引き起こしている。日本時間早朝に、トランプ大統領は国防権限法案(NDAA)に対して拒否権を発動したが、一昨日に難産の末に上下両議会で通過したウイルスへの追加支援法案に対しても同様な行動に出る可能性もある。また昨日大統領はイラクで11歳と7歳の子供を含む一般市民を殺害した終身刑の米兵に対しても恩赦を与えたことで、中東を巡る問題も懸念される。

 

米個人消費弱さを企業設備投資がで相殺

11月米個人所得は前月比-1.1%と、下落率が10月の‐0.6%から改善予想に反し拡大し8月来で最低となったほか、個人消費支出(PCE)も前月比-0.4%と、パンデミックにより経済が封鎖された4月来のマイナスに落ち込み、冴えない展開となっている。パンデミックの影響で、需要は旅行、サービスなどから電化製品、コンピューターや機器など、物に移行した。企業の設備投資が堅調な伸びを持続しており、消費の弱さを相殺し、緩やかながら10-12月期の成長にプラスに寄与すると期待されている。

 

スキュー指数の上昇でテールリスクの可能性が高まっている

11月以降の世界的な株高は米大統領選の不確実性払拭と早期ワクチン開発によるコロナ終息と経済『正常化』を織り込むリスク選好相場であり、米FRBなど世界中銀による未曾有の大規模緩和と各国のコロナ対応の積極財政を安全弁とした『強気相場』に他ならない。ところが、市場のリスク選好相場を揺るがす要因として、①新型コロナ変異種によるワクチン効果減退、②ワクチン接種普及による副作用の顕在化、③コロナ感染拡大による経済制限の強化と経済『正常化』遅延、④米中対立とハイテク覇権抗争の激化、⑤英国EU通商交渉の決裂などが懸念される。しかも、冬場の感染拡大に加え、英国で感染力が高い新型コロナウイルス変異種が急増しイタリアやデンマーク等でも確認される等、欧州各国は英国からの渡航を相次いで禁止する等変異種に身構え水際対策を強化しつつある。かかるリスク要因の増大と共にブラックスワンやテールリスクが起こる可能性が高まっていると予想する投資家が増えると上昇する『スキュー指数(skew index)』が147へと上昇傾向を強めている。
スキュー(skew)は 『歪み』を意味し、スキュー指数は市場の歪みを指数化した指標で『ブラックスワン』指数とも呼ばれ、起こりえないことが起きて、起きた時の衝撃が強い事象を指す。発生する確率は低いが、発生した場合に巨大損失をもたらす『テールリスク』として注目される。さらに、BoAメリルリンチの最新の投資家調査によれば、投資家の現金比率が-4%と13年5月以降で初のアンダーウェイトに転じるなど、都市封鎖や欧州コロナ変異種の拡大など新たなリスクの顕在化には注意必要となる。

 

欧米市場イベント

○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:16.50%に引き上げ)
○21:00   11月メキシコ貿易収支(予想:45.66億ドルの黒字)
○21:00   11月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.5%)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○ドイツ、スイス、ノルウェー、スウェーデン、ブラジルなどがクリスマス・イブで休場
○フランス、英国、カナダなどはクリスマスの前日で短縮取引
○米債券・株式・商品市場は短縮取引、為替市場は通常取引

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ