FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りと押し目買いから小幅な値動き

前日米国市場で主要3指数が上昇した流れを引き継いだ。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まり様子見ムードは依然として強く、買い一巡後は徐々に上げ幅を縮小する展開となった。2万7000円に近づくと、個人投資家を中心とした利益確定売りに押される。株価を押し上げる強い材料がないなかでFOMCを控えているため、マーケットはポジション調整を急いでいる。一方で、押し目買いも強く下値も堅い展開となっている。結局、前営業日比69円高の2万6757円と小幅反発して終了した。信用評価損率は11日申し込み時点でマイナス13.16%と、前の週(マイナス12.37%)からマイナス幅が0.79ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から総じてドル売り優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、103.72円付近まで値を上げた。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染再拡大が続き、行動制限や規制強化で米経済が落ち込むとの警戒感が浮上しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均が朝高後に伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて103.60円付近へ下落した。午後は、米長期金利低下を眺めてドル売り・円買いが進み、103.42円付近まで下落して約1ヵ月ぶりの安値を付けた。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.45円付近でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米国の低金利政策が長期化するとの思惑から海外勢などがドル売りを持ち込み、1.2150ドル台から1.2165ドル付近へ上昇した。

 

国債依存度が過去最高の60%突破

日本政府の2020年度の一般会計歳出は、3度の補正予算編成に伴い総額175兆円超と空前の規模に膨らむ。新型コロナウイルスの影響で税収が落ち込むため、歳入に占める国債依存度は初めて60%を突破した。財政は異常事態だが、コロナ感染の『第3波』が続く中で政府・与党の危機感は乏しく、歳出増加の圧力は緩みそうにない。国債依存度は近年30%台で推移してきたが、20年度は2次補正後で56.3%と、リーマン・ショック後の09年度決算(51.5%)を上回り過去最高を更新した。3次補正後はさらに64.1%まで上昇する。20年度の国債発行額は、前年度の3倍超の112兆5539億円に達する。

 

最近の南アフリカランドが底堅い訳

昨日発表された11月南アPPIは前年同月比で3.0%と、3.3%だった3月以来の水準まで持ち直しました。先週発表された同月消費者物価指数(CPI)も前年同月比3%を上回っており、来年1月の南ア中銀金融政策委員会(MPC)では『3会合連続の政策金利3.5%で据え置き』との見方が高まっている。最近のランドの底堅さは、南ア最大の貿易相手国である中国の経済指標が同国経済の順調さを裏付けていることは、ランドにとって支援材料である。また、金やプラチナなど貴金属価格が上昇したことも、それらが主要輸出品目である南アの通貨・ランドを下支えしている。

 

トルコ財務相の交代で市場の信頼度高まる一方で米国との対立懸念も

エルバン財務相は先週、『市場に寄り添った政策を実施する』『透明性、説明責任、合理的かつ予測可能な方法で全ての問題を解決していく』などと発言した。同財務相が就任以降は当局に対する市場の信頼度は高まっているように感じられ、外国人投資家からトルコへの資金流入が続いているとされている。一方で、欧州連合(EU)、米国と立て続けに対トルコ制裁を決定し、(足もとのトルコ経済への影響は限定的とされているものの)今後の更なる対立激化への警戒感は強まっている。昨日は、制裁への対抗措置としてトルコが、同国南部にあり米国の核弾頭が配備されているインジルリク空軍基地から米軍の撤退を要求するのではないか、という噂が一部メディアで報じられている。

 

米国でのリスク選好とリスク回避材料の強弱の見極め

米国の新大統領に民主党のバイデン前副大統領が正式に選ばれたことで、同国政治の先行き不透明感が後退した。また、米国でワクチン接種が始まったことや21年度の米予算案を巡り与野党合意が間近とされ、追加コロナ支援策への期待感などはリスク選好の要因となっている。一方で、リスク回避としては、足もとの新型コロナウイルス感染状況は悪化している。米国のコロナ感染による死者数はここ約4週間で5万人増え、累計で30万人を超えた。今後も夏頃までに更に20万人のコロナ関連の死者がでるとも言われている。感染抑制のため経済活動の制限強化が必要との見方も広がりつつあり、強化度合い次第では来年以降の景気回復の動きに腰折れリスクも出てくる可能性がある。

 

米国市場では11月小売売上高速報が公表

11月小売売上高は前月比-0.2%と、10月の同+0.3%から悪化する可能性がある。例年11月はクリスマス商戦の状況を示唆する数字になる。ただし、今年については新型コロナウイルスの感染流行が続いており、対面販売は大半の地域で縮小している。個人消費の回復は基本的に不十分であることから、前月比マイナスとなる可能性がある。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明

前回開催のFOMC会合後に公表された声明では『経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右される」、『現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き、短期的に経済活動、雇用、インフレの重石となり、中期的な経済見通しに著しいリスクをもたらす』との見解が盛り込まれた。アメリカでは、ウイルスワクチンに接種が開始されたが、今回のFOMCでも『経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右される」と文言が含まれる可能性が高い。ワクチンの速やかな実用化が中期的には経済にプラス材料と歓迎するものの、広範に行き渡るには時間がかかるとし、短期的な経済への影響は依然不透明と警戒態勢を緩めていない。新型コロナウイスルス第3波による景気後退の深刻化を避けるために、FOMCが大規模緩和を維持する必要性を主張するハト派姿勢を維持した場合、当面、ドルの上昇を限定的にする。

 

欧米イベント

○16:00   11月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比0.6%)
○16:00   11月英CPIコア指数(予想:前年比1.4%)
○16:00   11月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○16:00   11月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数)
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.1)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:40.0)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:56.4)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:44.0)
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:53.0)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:41.9)
○18:30   12月英製造業PMI速報値(予想:55.9)
○18:30   12月英サービス部門PMI速報値(予想:50.5)
○19:00   10月ユーロ圏建設支出
○19:00   10月ユーロ圏貿易収支(季節調整前/季節調整済)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   11月カナダCPI(予想:前月比横ばい/前年比0.8%)
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○22:30   10月対カナダ証券投資
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比▲0.3%/自動車を除く前月比0.1%)
○23:45   12月米製造業PMI速報値(予想:55.7)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:55.9)
○23:45   12月米総合PMI速報値
○24:00   12月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:88)
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比0.7%)
○17日00:30   EIA週間在庫統計
○17日00:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17日01:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17日01:15   シュナーベルECB専務理事、講演
○17日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.00-0.25%で据え置き)
○17日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○英中銀金融政策委員会(英MPC、17日まで)
○ユーロ圏財務相会合(オンライン)
○南アフリカ(和解の日)、休場

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