FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:国内感染拡大が重石となり利益確定売り優勢

前日の米国株市場がさえない展開となった流れを引き継ぎ、幅広い業種で売りが先行した。国内での新型コロナウイルス感染拡大も重石となった。売り一巡後は、本日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見ムードが広がった。午後は新しい材料はないものの、日銀によるETF(上昇投資信託)の買い入れが見送られるとの見方から、利益確定売りが優勢になった。結局、前営業日比44円安の2万6687円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から104.10円付近でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りやNYダウ先物の上昇に支えられ、104.13円付近まで上昇した。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、NY市で厳しい抑制策が実施されていることから上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、104.10円付近でもみ合う展開となった。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、104.10円を挟んで方向感に欠ける値動きとなった。本日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台半ばで小幅な値動きを終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

過去経験則では年後半の原油高は翌年の日本株が上昇しやすい

原油相場は11月から上昇しているが、過去実績として『年後半の原油底堅さ』は翌年の日本株上昇が高確率で担保されてきた。翌年にかけての世界的な資源需要改善と景気回復を先取りするもので、デフレ懸念の緩和や実質金利の押し下げなども株高材料となりやすい。今年の日経平均株価がコロナ打撃やドル安・円高圧力でも29年ぶり高値を更新してきた一因として、原油相場の「適温」安定化と間接影響する形での為替の変動幅抑制があり、来年にかけてもこうした好連鎖環境の持続性が注目される。『年後半の原油高』の翌年については、裏表の世界経済回復やデフレ圧力減退、資源業界の収益改善などもあり、日本企業全般の利益も底上げされていることが主因である。

 

英国市場では17日に英国中銀の金融政策委員会が開催

英国ではコロナ感染や経済制限が再拡大しているほか、英EUの通商協議は決裂回避で延長となったものの、先行き不透明感が残されている。先行きの景気と物価の慎重見通しと緩和強化が示唆されると、短期的なポンド安材料となりやすい。一方で英国中銀では、先行きのマイナス金利導入に対して委員の間で意見が分かれている。今後の導入の協議余地が示唆されると、ポンド安に作用。反対に具体的な言及がなければ、ポンド高という市場反応も想定される。

 

南アの経済指標改善がランドの下支え

先週発表された南アフリカの経済指標では、前期比で大きく反発した7-9月期GDPだけでなく、同期経常収支も予想の黒字幅から上振れた。また、11月消費者物価指数(CPI)も前年比3.2%と南ア準備銀行(SARB、中央銀行)インフレ目標の下限3%を上回っている。そういったなかで、(11月下旬の大手格付け会社による相次ぐ格下げで一旦売られた)南ア国債は今月に入り買いが優勢となり、同国主要株式指数も年初来高値を更新している。南ア金融市場に対する投資家の安心感が高まっており、それがランドの支えとなっている。ただ、南アフリカにとっての懸念材料『新型コロナウイルス感染の再拡大や国営電力会社エスコムの巨額負債、改善の見通しが立たない労働市場、主要輸出先の1つであるドイツのコロナ対策強化による経済停滞など』は確かにあり、ランドの重石ともなっている。

 

米国のトルコ制裁は限定的:今後は制裁範囲が拡大されるか注目

トルコの露製地対空ミサイル『S400』導入を巡り、対トルコ制裁を発動させたトランプ米政権は、『ロシアとの防衛・情報分野での取引は認めない』と直ぐにでもロシアと軍事的な関りを止めるように迫った。米国の強硬な姿勢に対し、当然ながらトルコ側は『必要な対抗措置を取る』と態度を硬化させている。今回の米による制裁は、トルコ大統領府傘下の国防産業庁および庁のトップと幹部3人を対象とする、ある意味では限定的なものだった。ただもし今後、両国の関係が改善せずに制裁範囲が拡大されるようであれば、トルコ経済回復の足かせとなる。今後はバイデン新政権とトルコがどのようなコミュニケーションを取っていくのかが注目される。

 

米国市場では15-16日でFOMCを開催

米連邦準備制度理事会(FRB)は本年最後となる連邦公開市場委員会(FOMC)を今週ワシントンで15日から16日にわたって開催する。パウエル議長の会見に加えて、新たなスタッフ見通しも公表されるため、インフレ、経済、金利見通しに注目が集まる。
新型コロナウイルス第3波が猛威を振るい、再び外出規制が強化され、回復が停滞し、景気後退の深刻化を回避するため、一部では量的緩和(QE)拡大などの憶測もある。JPモルガンは第1四半期の経済がマイナス成長に再び落ち込むと予想している。ただ、11月会合での議事録では追加緩和が明確化されなかったため、FRBはこの会合で、ゼロ金利や量的緩和(QE)を現行で維持するとの予想が大半を占めている。

 

欧米市場のイベント

○16:00  11月英雇用統計
○16:00  8-10月英失業率(ILO方式、予想:5.1%)
○16:30  11月スイス生産者輸入価格
○16:45  11月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比0.2%)
○18:00  レーン・フィンランド中銀総裁、記者会見
○18:30  11月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.2%/前年比2.8%)
○22:15  11月カナダ住宅着工件数(予想:21.50万件)
○22:30  10月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.6%)
○22:30   12月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:6.9)
○22:30   11月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○23:15   11月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
          設備稼働率(予想:72.9%)
○16日01:00   11月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲4.9%)
○16日04:30   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○16日06:00   10月対米証券投資動向
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
〇欧州議会本会議(ストラスブール、17日まで)

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