FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りで下げ幅拡大

前週末の米国株式相場は主要株価指数が最高値を更新するなど、堅調に推移した。日経平均も寄り付きでは年初来高値を更新し、上昇してスタートしたが、その後は利益確定売りに押されてマイナス圏に沈み、下げ幅を拡大する展開となった。新型コロナウイルスの感染拡大のほか、米中対立の懸念など取り巻く環境が悪化している。週明けは海外勢の動きも鈍いため、買い手不在の中で値を消した。結局、前営業日比203円安の2万6547円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中対立激化を警戒したリスク回避の円買いが散見

ドル/円は、日経平均のさえない動きを眺めドル売り・円買いに押され、104.00円付近へ下落した。一部メディアが『トランプ米政権が香港情勢を巡り、少なくとも12人の中国当局者に制裁を課す準備を進めている』と報じたことで、米中対立激化を警戒したリスク回避の円買いも散見された。午後のこの流れは続き、日経平均が下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進んで103.95円付近まで値を下げた。ただ、米追加経済対策の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きとなり、104.10円付近へ上昇した。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国とEUの通商交渉は部分合意がメインシナリオ

英・欧州連合(EU)の移行期間は今月末で終了を迎える。英・EUの通商交渉は最終局面に入り、交渉をめぐる情報が錯綜しているが、結論はなかなか伝わってこない。残された時間は少なく、何らかの結論を出さないといけない状況でありながら、お互いに相手の譲歩を求める姿勢に変わりはない。とはいえ、『決裂』の勇気もない。結局は今月中に限定的な分野で合意に至り、残りの分野は来年に交渉を継続する『部分合意』がメインシナリオとなる。『合意なき離脱』を回避すれば、ポンドは底堅い動きが見込まれるが、市場で合意への楽観ムードが先行していることを考えると、ポンドの上値の余地は限られる。

 

12月8日に南アの7-9月期国内総生産(FDP)が発表:急回復する公算

12月8日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表される。4-6月期の落ち込みの反動から急回復する公算が大きいものの、雇用環境のさらなる悪化や社会制限措置が長期化したことで、コロナ前水準との比較では回復緩慢となる。また、直近で複数の格付会社から格下げされるなど、財務面への懸念が残る。製造業購買担当者景気指数(PMI)の前月からの低下も悪材料視され、大きな手掛かり材料になり難い。

 

EU首脳会議ではトルコ制裁が議題:トルコリラの上値の重石

10-11日に開催される欧州連合(EU)首脳会議を控え、トルコとEU関係の行方を睨みながらの展開となる。EU首脳会議では『トルコ制裁』が議題に上がることが決まっている。ギリシャやフランスとの対立要因の1つ、東地中海におけるトルコのエネルギー資源探査に関しては、トルコが探査船を呼び戻したことが報じられた。これにより地域間の緊張が和らいだという見方は確かにある。ただし、領有権問題で長年争うギリシャや、東地中海以外でも利害が対立するフランスがそう簡単にトルコへの警戒感を緩めることはない。 特にトルコ仏の溝は広がるばかりであり、エルドアン・トルコ大統領は先週末『フランスが一刻も早くマクロン大統領から解放されることを願う』と関係をより拗らせるような発言をしている。EU議長国ドイツのメルケル首相の調整力次第ではあるが、(トルコ経済にとって重要な)欧州による対トルコ制裁への警戒感が残るなかでは、リラの上値を積極的には追うことは難しい。

 

米11月雇用統計は低調な結果

米労働省が発表した11月雇用統計で失業率は6.7%と、予想通り10月6.9%から低下し経済封鎖開始直前の3月以来の低水準まで回復した。労働参加者の減少が一因と、悲観的な見方もある。非農業部門雇用者数は前月比+24.5万人と、伸びは10月61万人から鈍化し、予想のほぼ半分にとどまった。平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.4%と、予想+0.1%、+4.2%をそれぞれ上回った。労働参加率は61.5%と、予想外に10月61.7%から低下。不完全雇用率(U6)は12.0%と、12.1%から低下し3月来で最低となった。
11月の初旬から全米各地でウイルス感染が再拡大し規制が強化されたため企業は第2、第3の雇用削減を強いられている。

 

トランプ大統領再選の可能性残る

米大統領選挙の選挙人(538人)の獲得状況は、バイデン候補が306人(約8001万票)、トランプ大統領が232人(約7380万票)となっており、12月14日に投票が行われる。1887年に制定された『選挙人算定法』では、12月8日の開票作業の期限までに訴訟などで間に合わない場合は、改めて憲法の規定に従って州議会が定める方法で選挙人を選ぶことになっている。下院は、50州が1名ずつ選出し合計50名の投票によって行われる。共和党が26州、民主党が24州となる可能性が高く、トランプ大統領が再選される可能性は残されている。

 

イエレン米財務長官とパウエル米FRB議長のコンビはドル上値を抑制

バイデン次期大統領は、次期財務長官に労働経済学の専門家であるイエレン元米連邦準備理事会(FRB)議長を任命した。イエレン次期財務長官は、持論の『高圧経済』、すなわち、景気回復につれて雇用情勢が改善しても、社会の隅々にその恩恵が行き渡るまで、インフレ圧力がよほど強まる恐れでもない限り、引き締めへの政策転換はできるだけ待つ政策をとるならドルの上値を抑える。パウエル現FRB議長も、雇用を重視する『平均2%物価目標』により、2023年末までのゼロ金利政策の継続を示唆しており、米国の財政・金融政策がドルの上値を抑える可能性が高まりつつある。

 

欧米市場のイベント

○16:00   10月独鉱工業生産(予想:前月比1.6%/前年同月比▲4.6%)
○24:00   11月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日05:00   10月米消費者信用残高(予想:160億ドル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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