FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ワクチンの年内供給量の半減報道を嫌気した売り優勢

早朝に米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナのワクチン年内供給量が当初計画の半分と伝わりワクチン普及による経済『正常化』期待が後退し投資家心理の悪化に売り優勢となった。今日の米11月雇用統計を控えた週末であることや、為替のドル/円が円高傾向となっていることが重石となり、日経平均は前場を通してマイナス圏での推移となった。結局、前営業日比58円安の2万6751円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢の買い戻しから値を戻す展開

ドル/円は、前日の海外市場でドルが主要通貨に対して全面安となった流れを引き継ぎ、103.74円付近まで下落した。仲値に向けて本邦輸出企業のドル売り・円買いも観測された。ただ、11月8日につけた103.66円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、103.80円台へ値を戻した。午後は、今晩の米11月雇用統計を控えた持高調整などのドル買い・円売りが入り、103.99円付近までじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUと英国の通商合意は依然として不透明

欧州連合(EU)と英国は3日、通商合意を目指し、夜遅くまで協議を続けた。EU当局者によると、これまでにないほど合意に近づいているというが、英政府は、打開のチャンスは薄れてきていると警告している。双方は1月に英国がEUを離脱して以降、見解の相違を克服するのに苦戦した。12月31日の離脱移行期間終了前の合意に向け、互いに譲歩を求めている。EUのバルニエ首席交渉官は4日に加盟国の代表に協議の状況について説明する予定である。バルニエ氏の交渉チームのメンバー、ステファン・デリンク氏は3日、争点となっている3つの主要問題で依然として大きな隔たりがあり、最終的な結果はなお不透明だとした。

 

南アフリカは再ロックダウン

南アの一部の地域では、予想通りウイルス感染再拡大のため再ロックダウンを始めることを昨日ラマポーザ南ア大統領が発表した。夜間の外出禁止や、アルコール販売の制限等、事前に全国コロナウイルス司令部(NCCC)が要求していた通りのものになった。

 

トルコのインフレ率上昇がリラの重石

注目された11月トルコ消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+14.03%と市場予想の+12.60%を上回り、2019年8月以来の水準まで伸び率を拡大した。予想以上のインフレ悪化となった。エルバン・トルコ財務相は『物価を安定させ、インフレ期待を管理するために金融政策と財政政策の連携に努める』と発言したことが伝わった。また、CPIと同時に発表された11月トルコ生産者物価指数(PPI、前年同月比)が+23.11%と回+18.2%から大きく上振れしており、まだ物価安定への道は遠いことが示唆されている。エルバン財務相は金融政策を支援すると述べているが、金融当局が信頼されるまではトルコ居住者の外貨保有高は高水準が維持される。また、これまでのようにリラが上げたところでは国内からのリラ売り・外貨買いは継続されると予想される。

 

米11月ISM非製造業景況指数:成長ペース鈍化も今後の改善期待

全米のサービス業動向を示す11月ISM非製造業景況指数は55.9と、2カ月連続で低下し5月来で最低となった。ただ、活動の拡大と縮小の境目となる50は6カ月連続で上回った。サービス業は、パンデミックにより落ち込んだ今年4月、5月の2カ月を除き、過去130カ月間50を上回った。11月初旬から新型コロナウイルスが再拡大、各地で規制が強化されており、旅行、小売り、レストラン関連の業種にさらなる痛手となった。消費者の労働市場への不安も再燃し信頼感も低下していることがペース鈍化の理由と考えられる。回答者の見解はまちまちで、ほとんどの企業が慎重だった。
重要項目である新規受注は57.2と、6カ月平均60.6を下回り2カ月連続で低下。8月来で最低となった。コロナ関連のコストが上昇したため、仕入れ価格は8年ぶりの高水準に達した。11月雇用統計の発表を控え、ISM製造業の雇用が再び50を割り込み縮小となったため雇用の鈍化が警戒されたが、サービス業の雇用は51.5と10月の50.1から上昇し3カ月連続で50を上回り拡大が示されたことも、安心感に繋がった。

 

米国株式市場では11月雇用統計が公表

非農業部門雇用者数の増加幅が10月実績の63.8万人増を下回る見込みとなっている。失業率は10月の6.9%から6.8%に低下すると予想されている。非農業部門雇用者数の増加幅は来年にかけてさらに縮小し、来年末の時点では10万人程度の増加にとどまるとの見方も出ている。失業率は5%台に低下する可能性があるが、市場関係者の間からは 『新型コロナウイルスのワクチン接種が拡大し、追加経済対策が早い時期に成立しても、2020年前半に失われた雇用がすべて回復することは難しい』との声が聞かれている。そのため、11月雇用統計が市場予想をやや上回る数字でも、金利・株価見通しの引き上げにはつながらないとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比1.5%/前年同月比0.2%)
○16:45   10月仏財政収支
〇18:00   菅首相、新型コロナウイルス対応について記者会見
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.0)
○18:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率8.9%)
○22:30   10月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○22:30   10月米貿易収支(予想:648億ドルの赤字)
○22:30   11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化46.9万人/失業率6.8%/平均時給、前月比0.1%/前年比4.3%)
○22:45   テンレイロMPC委員、ウェブセミナー
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.8%)
○24:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○5日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○5日01:00   11月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%)
○新型コロナウイルスについて協議する国連の特別会合(ニューヨーク、最終日)

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