FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:押し目買い強く切り返す動き

高値警戒感が強く、朝方は安寄りして始まったものの、押し目買い意欲が強く切り返す動きとなった。ただ、個別では上値を追い続ける銘柄がある一方、主力銘柄でも利益確定売りに押される銘柄もあるなど、物色動向はまちまちとなった。市場では、悪材料については読み切れない中で、脱コロナと呼べる銘柄群が物色された。テーマとしては環境関連が注目される一方、約4割の企業が上方修正した好決算も見直された。結局、前営業日比240円高の2万6537円と3日続伸となった。信用評価損率は20日申し込み時点でマイナス12.85%と、前の週(マイナス12.4%)からマイナス幅が0.45ポイント悪化となり、悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:FRBの低金利政策の長期化思惑からドル上値重い

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれたことで、104.26円付近まで下落した。25日に公表された米FOMC議事要旨では、次回会合で量的緩和策の拡充を検討する方針が明らかになった。FRBの低金利政策は長期化するとの思惑から、持ち高調整のドル売り・円買いも散見された。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、104.30円を挟んでもみ合いとなった。本日は感謝祭で米国市場が休場となるため、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1925ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

懐かしい『マラドーナ理論』:レジェンドの訃報で思い出す

昨日はサッカー界のレジェンドであるディエゴマラドーナの訃報が伝えられたが、金融市場ではキング元BOE総裁が命名した『マラドーナ理論』が有名である。 中央銀行が目指すインフレ率を公開すれば、市場は中央銀行の今後のアクションを予想して金利形成を行い、中央銀行が実際にアクションを取る前に、経済に影響を及ぼすことができるとする考え方のことである。

イングランド銀行のキング総裁が2005年5月の演説において、1986年のFIFAワールドカップメキシコ大会・アルゼンチン‐イングランド戦で、アルゼンチンのディエゴ・マラドーナが、敵側選手の予想を利用し5人の選手をかわし、60ヤードを独走してシュートを決めたいわゆる『5人抜き』を引合いにだし、『偉大なサッカー選手、マラドーナが、イングランド戦で見せたゴールは、金利の現代理論における”期待の力”を示唆したものであり、金融政策も同様に機能する。市場金利は中央銀行が何をするかという予想に反応する。』と述べ、それを『金利のマラドーナ理論』と命名したことに由来する。

ゼロ金利やマイナス金利政策下においては、何を期待すれば良いのかという根本的な問題がある。

 

SPDARゴールド・シェアーズから大規模な資金流出

24日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から7億9423万ドル資金が流出した。同ETFとしては2016年11月10日(8億4304万ドル)以来、4年ぶりの大規模流出だった。これで過去1カ月で38億ドル超の資金が流出したことになる。この日の米国市場でGLDは続落し、1.53%安の169.59ドルで終えた。バイデン新政権が前米連邦準備理事会(FRB)議長のイエレン氏を財務長官に指名すると報じられたことを受けて株高・債券安(利回りは上昇)・原油高・ゴールド安の流れでリスク選好の中、一時は7月16日以来の安値圏に沈んだ。GLDは10月以降は流出基調にあるが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融政策の長期化思惑から年初来で168億ドルの資金が流入したままで、引き続き流出基調が警戒される。

 

トルコ保険省が感染の全容を明確に:観光セクター持ち直し期待?

新型コロナウイルスについてトルコ保健省は昨日、7月以来で初めて『無症状も含む』1日あたりの感染者数(2万8351人)を発表した。コジャ保健相は9月末、PCR検査で陽性であっても無症状の人は感染者数に含めていないことを明らかにしている。この新型コロナ感染状況の不透明性がトルコ内外から政府への不信感に繋がっていた。新型コロナ感染の拡大で大打撃を受けているトルコ観光産業では、今週発表された10月の外国人観光客数は前年比59.4%減と依然として減少幅は大きいままである。トルコ政府がやっと感染の全容を明確にしたことで、今後の対策次第では観光セクターの持ち直しも期待できるかもしれない。

 

『平均物価目標』と『高圧経済』でドルの上値を抑制する可能性に注意

昨日発表された米11月雇用統計調査対象週(11月12日週)の失業保険継続受給者数は、607万人となり、10月の調査対象週の782.3万人から減少した。来週12月4日に発表される11月の雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+52.6万人(10月+63.8万人)、失業率は6.8%(10月6.9%)となっている。新型コロナウイルス感染第3波を受けて、米国の雇用情勢が悪化した場合、パウエル第16代FRB議長は、雇用に軸足を置く『平均物価目標』により2023年末までのゼロ金利政策を継続することを示唆している。雇用を重視するイエレン第78代米財務長官も、持論である『高圧経済(high pressure economy)』により、財政刺激策などで経済の過熱状態を保つことで、金融緩和継続と財政刺激策が期待できることになる。すなわち、パウエル第16代FRB議長の『平均物価目標』とイエレン第78代米財務長官の『高圧経済』がドルの上値を抑制する可能性に要警戒となる。

 

米FRBはFOMC議事要旨を公表(11月4-5日開催分)

メンバーは経済の回復が予想より速く、速やかな資産購入の修正は必要ないと見ていることが明らかになった。同時に、『ウイルスの再燃や財政刺激策の欠如』が下方リスクと見ており、資産購入の変更を正当化するような状況変化の可能性も指摘するなど、慎重な姿勢も崩していない。数人のメンバーは資産購入プログラムのいくつかの修正を予想している。資産購入策の追加措置の選択肢に関して協議したことも明らかになり、いずれ追加緩和を実施する可能性も残る。米連邦準備理事会(FRB)は現行で、各月1200億ドル規模の国債と住宅ローン担保証券の購入をしているが、今後数カ月は少なくとも現行ペースでの購入をするとしており、必要とあれば、購入ペースの加速や残存機関の延長も可能だと指摘した。また、労働市場の改善ペースも鈍化しており、正常水準のまだ半分にも満たないとの見方である。中小企業の資金繰りにも懸念を表明した。ただ、貯蓄率が高く消費を支えると見ている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲5.0)
○16:45   11月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   10月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比10.4%)
○18:30   10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00   7-9月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比12.0%/前年同期比▲8.6%)
○21:30   ECB理事会議事要旨(10月28-29日分)
○22:00   シュナーベルECB専務理事、イベントに参加
○27日05:30   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○米国(感謝祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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