FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:下落後に大引けにかけて買い戻し

前日の米国株式市場が軟調な展開となったことに加え、昨日に国内で確認された新型ころなウイルスの新規感染者数が過去最多を更新したことも重石となり、日経平均は朝方から売りが先行した。前場には下げ幅を縮小する場面もあったが、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が初の500人を超える見込みだと伝えられたことが嫌気され再び下げ幅が拡大し、一時250円を超えた。しかし、大引けにかけて下げ幅を縮めた。結局、前営業日比93円安の2万5634円と続落して終了した。11月第2週の海外投資家は3842億円の買い越しとなり2週連続となった。

 

東京外国為替市場:東京の感染者拡大でリスク回避の円買い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、103.98円付近まで上昇する場面があった。しかし、前日の海外時間に104.10円付近の上値の重さを確認していたため、ドル買い・円売りは続かなかった。その後は、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増し、行動の制限や規制強化を導入する州が相次いでいることから、利食い売りなどに押されて103.80円付近へ下落した。午後に入ると、複数の国内メディアが『都内で新型コロナウイルスの新規感染者が500人を超える見通し』と報じた。この報道を嫌気して日経平均株価が一時下げ幅を拡大すると、ドル/円はリスク回避のドル売り・円買いが優勢となり、103.72円付近まで値を下げた。しかし、前日に付けた103.66円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、103.80円付近へ値を戻した。ユーロ/ドルは、本日に欧州連合(EU)首脳会議・外相会合がオンライン形式で開催されることもあり、内容を見極めたいとの雰囲気から1.18ドル台半ばで方向感に乏しい展開となった。

 

金ETFから資金流出続く:過去1ヵ月で32億ドル超

18日の米国市場で金価格に連想するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から4億4314万ドルの資金流出となった。これで過去1ヵ月で32億ドル超の資金が流出した。この日の米国市場ではGLDは3日続落し、0.57%安の175.49で終了した。株安にも関わらずNY金先物が続落する中、GLDも弱い基調が続いた。GLDは年初来で179億ドルの資金が流入した経緯があるだけに、引き続き流出基調が警戒される。

 

新型コロナ感染拡大で世界債務残高が急拡大

世界の主要金融機関でつくる国際金融協会(IIF)は18日、世界全体の債務残高が2020年末に過去最大の277兆ドル(約2京8800兆円)に達するとの見通しを公表した。新型コロナウイルス感染拡大を受けて各国が財政出動を拡大した結果、世界債務の国内総生産(GDP)比は365%と19年末の320%から急拡大する見通しとなった。 IIFによると、20年7~9月期の世界全体の債務残高は272兆ドルと前年同期から8%増加した。このうち先進国は8%増の196兆ドルで、GDP比は432%超と19年末から50ポイント超拡大した。

 

英国はEUとの合意なき離脱の可能性が高まる

英タイムズ紙は『EU各国がブレグジットで(通商等の)合意なき離脱のバックアップを計画している』と報じた。ここ最近に限らず、『合意が近い』『進展した』などと要人の発言を何回も見てきたが、いまだに合意が無いままで、最終期限まで1カ月半もない。延期をするためには法を作り直さなくてはならないようで延長も難しい状況である。EUはかなり英国の対応に不満を抱えている。合意をするためには通商、漁業権、安全保障、北アイルランドの国境など多岐にわたって合意が必要である。これまではジョンソン英首相もトランプ氏の再選に期待し、仮にEUとの交渉がうまくいかない場合でも、米国との関係強化で乗り切れるか、EUも強気には出てこられないだろうと思っていた。しかし、米選挙ではトランプ氏の敗北はほぼ確定し、逆にEU側が遅々として進まない交渉に対して苛立っている。このまま合意ができない場合に備えてコンティンジェンシー・プランを立てないわけにはいかない状況である。

 

南ア準備銀行の金融政策委員会に注目:金利据え置き予想

本日のランド/円は南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)次第の動きになる。今年最後となるMPCということもあり、敢えて政策を変更することなく3.50%への据え置きが予想される。MPC前後にはSARBのGDP予想や、クガニャゴSARB総裁の会見などもあることで、その前後は神経質な値動きになりやすい。

 

米国の追加経済策が滞り10-12月の成長を圧迫する可能性

民主党はパンデミック対策とは無関係な移民法改定なども含んだ広範な範囲で大規模な法の成立を主張する一方で、共和党上院は、パンデミック対処に的を絞った救済策の成立を主張しており、特に大統領選挙後の話し合いはなく、物別れに終わったまま。 ワクチン開発は一段と前進し、年内の実用化も視野に入ったことは唯一プラス材料になるが広範に行き渡るまでには時間がかかる。同時に、全米でウイルス感染が再拡大しており、冬場に向けて経済活動の再開はさらに滞り10-12月の成長を圧迫する可能性は警戒される。

 

米国の感染第2波とトランプ大統領の負のレガシーがドル売り要因

米国の新型コロナウィルスの感染第2波は深刻で、17日にはこれまでで最高となる1707人の死者を記録している。NY市でも一定以上の割合での感染が確認されたことで公立校が休校となるほか、各州で独自の対応を行い、米国も再び経済縮小に向かっている。感染は米議員にも広がり、87歳のアイオワ州選出上院議員が陽性となったほか、複数の下院議員の感染も確認されている。感染第2波の影響で、ウイルス・ワクチン開発のポジティブなニュースにも市場の反応は限られドルの上値が重い。また、トランプ現大統領の負のレガシーもドル売り要因になっている。昨日の英タイムズ紙はアフガニスタンとイラクからの米軍撤退だけでなく、大統領は辞める前にイランへも攻撃する恐れもあり同盟国が危惧している、と掲載している。

 

米国市場では10月中古住宅販売件数が公表

9月実績は654万戸だった。販売件数は4ヵ月連続で増加した。販売価格の中央値は31.18万ドルで前年同月比+14.8%だった。在庫物件が十分でないことから、販売価格は上昇している。10月については在庫物件の増加は小幅にとどまっていることや、販売価格が上昇していることから、販売件数はやや減少する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:30   7-9月期スイス鉱工業生産指数
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○17:30   10月スウェーデン失業率
○18:00   9月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○19:00   9月ユーロ圏建設支出
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:15.00%に引き上げ)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:70.7万件/647.0万人)
○22:30   11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:22.0)
○22:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○24:00   10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.7%)
○24:00   10月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.2%/年率換算645万件)
○24:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20日01:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○20日03:00   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○EU首脳会議(オンライン)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件

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