FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:投資家のリスク許容度の高まりで買い優勢

前週末米国株高と、寄り付き前に発表された7-9月期の実質GDPが市場予想を上回ったことを受け、景気回復が再確認され市場心理が回線し朝方から全面的に買いが先行した。また、新型コロナウイルスのワクチン開発期待に投資家のリスク許容度が高まった。結局、前週末比521円高の2万5906円と1991年6月以来の高値を更新した。

 

東京外国為替市場:欧州通貨やオセアニア通貨に対するドル安に連れた動き

ドル/円は、世界的な株高を好感した欧州通貨やオセアニアに対するドル安が波及、104.50円付近まで下落した。米国で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、経済の落ち込みが警戒されていることもドルの重石となった。午後は日経平均株価の動向を睨みながら、104.50円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、世界的な株高を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売り一巡すると、1.1850ドル付近でこう着相場となった。

 

英国とEUのFTA協議進行期待が膨らむ出来事

英国ではジョンソン首相の政権運営の中枢を担う離脱派の重量級側近が退任する。コロナ危機対応を巡って首相の求心力の低下が顕著で、保守党内からも政権運営に批判の声が高まっている。強硬派側近の退任で、今後の政権運営は穏健化する可能性がある。感染第二波と都市封鎖の再開、米国大統領選挙でのバイデン候補の勝利とともに、佳境を迎える英国とEUのFTA協議で、合意なき移行期間終了のリスクを軽減する方向に作用する。

 

南アの今週の注目点

トランプ政権は米国ファーストで内にこもり、アフリカ諸国に対して関心度が低かった。これに反し、米民主党政権樹立は南アを含めアフリカ諸国にとって政治的にも経済的にも期待感が強く、今後の米経済の動向に注目が集まる。今週は9日に9月小売売上高が発表され、10日には南ア準備銀行(SARB)が政策金利を発表する。現時点ではSARBは据え置き予想となっているが、南アの消費者物価指数(CPI)がSARBの目標とする下限に近付いていることで利下げ可能性もある。また、20日には格付け会社S&Pが南ア債の格付けを発表することにも注目が集まる。

 

トルコ中銀総裁の入れ替えはポジティブ材料だが取り巻く環境は厳しい

中銀総裁の突然の入れ替えに関し、格付け会社フィッチ・レーティングスが『金融政策の信頼性向上に繋がる可能性がある』との見解を示した。また、副首相や開発相を務め、直近では国会予算・計画委員会のトップであったエルバン氏の財務相起用も、妥当であるという声が政・経済界では多い。ただし、トルコ金融・経済を取り巻く環境はかなり厳しく、好転させるのは簡単ではない。先週は新たな中銀総裁や財務相への期待が先行し過ぎた感もあり、その反動には気を付ける必要がある。また、トルコ中銀の外貨準備高についても、枯渇への警戒感は高まったままである。6日時点の外貨準備高(グロス、金保有高除く)は419.1億ドルと、年初来で48.4%の減少率となった。ウイサル前中銀総裁は、他中銀と通貨スワップ設定や枠拡大の合意に近づいていると述べていたが、その後の進展状況が何も伝わってきていない。

 

米11月ミシガン大学消費者信頼感指数の予想外の悪化

米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は77.0と、10月81.8から予想外に低下し8月来の低水準となった。新型コロナウイルスの再拡大で先行景況感が落ちこんだことが響いた。11月ミシガン大学現在景況感は85.8と、10月85.9から上昇予想に反して低下し8月来の低水準。先行景況感は71.3と、10月79.2から急低下しやはり8月来の低水準となった。一方で、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指数として特に注視している同指数の1年期待インフレ率速報値は2.8%と、10月2.6%から上昇し8月来で最高となった。5-10年期待インフレ率速報値も2.6%と、10月2.4%から上昇した。

 

米国のリスク回避要因

バイデン第46代米大統領誕生の可能性が限りなく高まっているものの、トランプ政権は、12月8日まで『選挙人算定法』(1887年)を根拠に法廷闘争に踏み出すことを示唆しており、トランプ大統領が敗北宣言を出すまでは予断を許さない状況が続く。また、米大統領選挙後に妥結・成立が期待されていた景気対策法案も、依然として難航しており、年内の成立が危ぶまれている。財政政策面では、過去最大規模の米財政赤字と米国債格下げ懸念、新型コロナウイルス感染第3波への警戒感が高まっていることなどがドルの上値を抑える要因となる。さらに、共和党が上院多数派を維持する可能性が高まっていることから、バイデン政権の政策運営に支障が出ることへの懸念もリスク回避要因となる。

 

欧米市場イベント

○15:30   10月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比1.50%)
○17:40   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:40   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:00   ラガルドECB総裁、講演
○22:30   9月カナダ製造業出荷
○22:30   11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:13.9)
○22:30   メルシュECB専務理事、講演
○17日02:30   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17日04:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○インド(ディワリ)、メキシコ(革命記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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