FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:相場過熱感から売りが優勢に

前日の米国株式市場が新型コロナウイルスの感染再拡大の警戒感から軟調となったことを受け、売り優勢で始まった。また、本日が11月限オプションSQ算出日で、これに絡んだ注文も売りが優勢だった。日本国内で、12日の新型コロナウイルス新規感染者が過去最多を更新した。移動制限や外出自粛ムードの高まりなどを懸念して、空運業、陸運業などが下げをけん引した。ここ2週間ほどで日経平均が急騰していたことによる相場の過熱感から利益確定売りも強まった。結局、前営業日比135円安の2万5385円と9営業日ぶりに下落した。11月の日経225特別清算指数(SQ値)は25,480.28円となった。

 

東京外国為替市場:低リスク通貨とされる円買いが優勢

ドル/円は、日経平均株価が反落で始まったことで、ドル/円はいきなり下値を試す展開となり、節目の105円を割り込んだ。仲値発表後、日経平均株価が下げ幅を拡大させると、104.87円付近まで下落した。昨日開催されたECBセミナーで、パウエルFRB議長やラガルドECB総裁が、新型コロナウイルスを巡る欧米の状況は悪化している現状も踏まえ、ワクチン開発の進展にも慎重な姿勢を示した。結果的に過熱気味だったリスク選好ムードも後退し、『低リスク通貨』とされる円を買う動きが優勢となる一因となった。午後に入っても状況に変化はなかったものの、104.80円付近は想像以上に堅く、このレベルを突破する勢いはない。また、週末を控えてポジションを手仕舞う参加者が多く、動きの鈍くなりその後は104.90円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.18ドルを挟んでもみ合い相場が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では7-9月期ユーロ圏域内総生産改定値が公表

8月実績は前月比+0.7%となり、資本財の生産は前月比1%超の減少とだった。耐久財の生産の伸びが寄与した。9月については、資本財の生産がやや増加する見込みだが、耐久消費財の生産増は期待されていないため、小幅な伸びにとどまる可能性がある。

 

欧州ではウイルス感染再拡大で2番底懸念とECBの追加緩和観測

欧州では最近のウイルス再流行で域内最大の経済を持つドイツ、第2位のフランスを始めほとんどの諸国は30日近くの何らかのロックダウン入りしている。一旦リセッションから脱したものの10-12月期に再度マイナス成長入り、2番底懸念も強まりつつある。欧州中央銀行(ECB)は10月の定例理事会で、大規模緩和を据え置いたが見通しの悪化で、12月の追加緩和を示唆。ラガルドECB総裁は11日、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)や貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)が依然、主要手段になるとしたため追加緩和として、ECBが両措置を来年末まで延長する。利下げではなく、PEPPの拡大、TLTROなどが用いられるとの予想に市場は自信を一段と強めた。ユーロの上値も引き続き抑制されることになる 。

 

BOEの金融政策判断はEUとの通商交渉の行方次第

欧州連合(EU)との通商交渉も目標とされていた期限までの合意が困難となった。EU離脱推進派内に亀裂が生じたため英国ジョンソン首相の上級顧問が辞任した。英BBCはEU外交官筋が英国との通商交渉に悲観的見解を示したと報じられており、通商交渉で合意ない離脱への懸念が再燃した。 英国中銀のベイリー総裁は12日のECBフォーラムで、通商交渉での最善の結果が合意を含むもので、通商協定なしの離脱を警告した。通商交渉の結果が、英中銀の12月会合での金融政策判断にも影響を与える可能性を総裁は警告した。英中銀はコロナパンデミックの再拡大を受けた見通し悪化に対処するため、今月の会合で政策金利を過去最低に据え置いたほか、資産購入プログラムで規模を予想以上に拡大することを決定した。政府の雇用支援策発表と協調した形で発表した。

 

南アフリカの失業率増加:ネガティブなのかポジティブなのか

昨日発表された7-9月期の南ア失業率は30.8%となり、4-6月期の23.3%を上回った。4-6月期はロックダウンなどの影響で、就業を諦めていた失業者が多かったことや、ウイルス感染リスクを警戒し申請に行かなかった人も多かったことで、参考にはなかなかなりにくい指標である。今回の失業率増加は、職を探しに行くことができるようになったことでポジティブに考える市場参加者もいるが、いずれにしろコロナ前とは比較しにくい指標になっている。

 

メキシコ中央銀行は予想外の政策金利据え置き

メキシコ中央銀行は12日、政策金利を4.25%に据え置いた。市場では利下げが見込まれていたため、予想外の結果だった。インフレ圧力を巡る状況を見極めるため、利下げを『停止』する必要があるとの見方を示した。中銀は2019年8月以来、前回会合まで連続で利下げを実施しており、約1年半ぶりの据え置きとなった。中銀の5人の委員のうち4人が据え置きに賛成し、1人は0.25%の利下げを主張した。

 

米国市場では11月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

10月確報値は81.8で速報値81.2から上昇修正された。11月については、雇用の伸びは鈍化しつつあること、新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念は消えていないことから、顕著な改善は期待できない。米大統領選を巡る不透明感や国内政治不安は消え去っていないことも信頼感指数の大幅な上昇を迎える要因となる。

 

欧米市場イベント

○15:30   10月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比1.50%)
○16:00   10月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   9月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○16:30   10月スイス生産者輸入価格
○16:45   10月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比横ばい)
○17:30   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:30   7-9月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比3.0%/前年同期比▲3.4%)
○18:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:00   7-9月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比12.7%/前年比▲4.3%)
○19:00   9月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前220億ユーロの黒字/季節調整済225億ユーロの黒字)
○19:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○21:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○22:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:30   10月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.4%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.2%)
○22:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:82.0)
○14日01:00   ベイリーBOE総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)

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