FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日本株は資金が集まり底堅い展開が継続

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて前日の米国株式相場が大幅安となり、日本株市場も朝方ら全面安となった。しかし、幅広い業種で売りが先行する中、決算発表を手掛かりに好業績銘柄では買いが入り、相場を下支えした。欧米株式市場では連日大幅安となっているが、日本株は大幅下落を回避できている。市場では、『決算発表前から欧米に比べて日本株がしっかりした動きをしていたことに加え、新政権で行政改革がスムーズに進んでいる点や米国株の割高感が出始めた点などを総合的にみて、国際分散投資の観点から日本株にマネーが集まっているのではないか』との声が聞かれている。結局、前営業日比86円安の2万3331円と4日続落して終了した。海外投資家の10月第3週は、3週ぶり26億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇したことでドルの押し上げ

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米国株価指数の上昇に支えられ、104.50円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、米国で中西部を中心に新型コロナウイルスの新規感染者が急増していることから上値を追う動きは限られ、104.45円前後で取引された。午後は、日経平均株価をにらみながら、104.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、ECB理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.17ドル台半ばで小動きに終始した。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催

前回のr次回終了後に行われた会見でECBのラガルド総裁は、『ユーロ圏の成長見通しに対するリスクバランスは引き続き下向き』、『経済見通しを巡る不透明感の高まりが、個人消費や企業投資を圧迫』などの見方を伝えている。域内経済のすみやかな回復を期待できないことから、ECBはあらゆる手段を講じる用意があることを再度表明する見込み。

 

欧州での新型コロナウイルスの感染再燃が深刻化するリスク

欧州では新型コロナウイルスの流行が再燃し、新たな成長リスクとして警戒されている。フランスでは新型コロナウイルス死者数がパンデミックとなった4月来で最高に達するなど、最悪の状況に陥っている。域内最大の経済であるドイツ政府は11月2日から30日まで、バー、レストラン、映画館、ジムを休業とし、集会、店舗やホテルの営業を制限するなどの部分的な封鎖を発表した。さらに、休業を強いられるビジネス対象の100億ユーロの支援策を発表した。フランス政府も10月30日から12月1日までの全国的な閉鎖を発表した。欧州経済はようやく第3四半期国内総生産(GDP)でリセッションを脱したばかりと見られるが、再びリセッション入りする2番底リスクに直面する可能性がある。

 

南アフリカのCPI低下で利下げ観測がランドの上値を抑える

注目されたムボウェニ南ア財務相が発表した中間予算(ミニバジェット)では、今年の財政赤字をGDP比15.7%減とした。ただし、来年以降は順次10.1%減、8.6%減とGDP比・赤字幅の縮小を予測した。GDP予想も今年は-7.8%とし、6月の-7.2%よりもさらに下方修正した。なお、中間予算では、財政改善のため今後3年間の給与据え置きを求められた公務員側の反発が予想される。 また、昨日発表された9月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%(予想:+0.3%)、前年比+3.0%(予想:+3.1%)と市場予想を下回っただけでなく、南ア準備銀行(SARB)が目標とする3-6%の目標レンジの下限に達した。この影響で南アの再利下げの可能性も徐々に高まってくる。

 


トルコ中銀のインフレレポートで上昇修正:次回会合で利上の可能性も

本日29日は共和国宣言記念日であり、トルコの祝日である。トルコ建国の父といわれるムスタファ・ケマルが独立を宣言してから97年経過した。昨日トルコ中銀が発表した四半期インフレレポートでは、20年末のインフレ見通し(予想レンジの中心値)を前回8.9%から12.1%に引き上げ、21年末も6.2%から9.4%に修正した。年末見通しを現状のインフレ水準(9月CPI前年比11.75%)よりも引き上げたことで、来月会合では利上げに踏み切りやすくもなった。なお、枯渇が懸念される外貨準備高についてウイサル中銀総裁は昨日、他中銀との通貨スワップ設定や拡大について協議が具体的に進展していることを明らかにした。もし、実際にスワップ協定が決まれば、それなりの値幅での反発が見込まれるかもしれない。 

 

米大統領選が接戦なら米国株は下落調整と予想

米金融大手JPモルガンが10月半ばに開催した投資家セミナーで、大統領選が接戦になった場合のS&P500指数の予想は55%が『10%下落』、37%が『5%下落』といずれも下落を予想する。米政治情報サイト『リアルクリア・ポリティクス』集計によれば、選挙人が多くトランプ氏にとって最重要州であるフロリダ州のバイデン支持率のリードは僅か1.5ptへと縮まり、戦後18回の大統領選で『17勝1敗』の勝利の法則がある激戦州ハイオ州の支持はすでに10月半ばにトランプ氏が逆転している。

 

米国市場では7-9月期国内総生産(GDP)速報値が公表

アトランタ地区連木の経済予測モデル『GDPNow』は、前期比年率35.3%と予想している。7-9月期におけるサービス業や住宅関連の指標は改善している。個人消費の動向が注目されるが、回復傾向が続いており、市場予想の前期比年率+32.0%の成長率を上回る可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比10.95%)
○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○17:55   10月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化▲5000人)
○18:30   9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.5%)
○18:30   9月英消費者信用残高(予想:7億ポンド)
○18:30   9月英マネーサプライM4
○19:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲15.5)
○19:00   10月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:89.5)
○21:30   9月カナダ住宅建設許可件数
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率31.0%)
           個人消費(速報値、予想:前期比38.9%)
           コアPCE(速報値、予想:前期比4.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:77.5万件/770.0万人)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:00   10月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比▲0.3%)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:00   9月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比3.4%/前年比なし)
○30日01:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○30日02:00   米財務省、7年債入札
○トルコ(共和国宣言記念日)、休場

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