FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:薄商いの中短期筋の思惑買いで上げ幅拡大

前週末のNYダウの上昇を受けて買いが先行した。また、米国の追加経済政策の合意への期待でNYダウ先物が堅調推移したことが好感された。さらに、新型コロナウイルス感染症ワクチン開発に関する前向きなニュースも買い材料となった。しかし、米大統領選向けた様子見ムードで薄商いが続くなか、短期筋の思惑的な買いが入ると、上げ幅を拡大する場面があった。結局、前営業日比260円高の2万3671円と3日ぶりに大幅反発となった。

 

東京外国為替市場:105円台半ばが上値目処となり小幅レンジ相場

ドル/円は、日経平均株価が200円を超えたことに支えられ、105.50円付近まで小幅に値を上げた。しかし、14日に付けた105.51円が上値の目処として意識されると、上げ幅は一服した。その後は、国内輸出企業などがドル売り・円買いに動き、105.35円付近へ下落した。中国経済指標は強弱入り混じった結果となり反応は限られた。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

英国とEUのの交渉再開期待が高い

ジョンソン英首相は先週、自身の思い通りに進展しない協議に業を煮やし、『FTAなしの結果に備える必要がある』と国民や経済界に呼びかけた。英FT紙も英首相の警告について取り上げており、半数以上の英企業が『合意なき離脱』への備えが不十分であるという世論調査も紹介しながら、英経済へのダメージを懸念している。フォンデアライエン欧州委員長は、交渉チームが今週ロンドンで集中協議を行う旨をツイートしたが、英側が受け入れるかは不透明である。ゴーブ英内閣府担当相は18日、『通商交渉の扉は開かれているが、EU側が方針を修正することが交渉再開の条件である』との認識を示した。 ただ、アジア時間でポンドが下げ渋っているところから、市場は交渉再開への期待感が高いとみている。

 

欧米との関係悪化懸念からトルコリラの重石

今週はトルコと欧米との関係やナゴルノ紛争の動向を見極めながら、22日のトルコ中銀の政策金利発表を待つことになる。複数のメディアが報じているが、トルコは先週、ロシアから購入した地対空ミサイルS400の試射を初めて行った。トルコが加盟している北大西洋条約機構(NATO)はロシアを仮想敵国としており、S400導入に対して米国は以前からかなり強く反発してきた。トルコが今後も露製ミサイル配備に突き進むようであれば、米国の対トルコ制裁から逃れることはできない。またトルコは東地中海のエネルギー資源探査を再開しており、同海域で領有権を争うギリシャやキプロスとの間にも再び緊張が高まってきた。トルコの方針が変わらなければ、欧州連合(EU)は12月にもトルコに対する制裁を協議する可能性が高い。欧米との溝がこのまま広がり続けてしまうと外国からのトルコ投資も縮小する一方であり、通貨リラを買う動きも盛り上がり難い。

 

週末米経済指標:消費者信頼感指数の改善で長期金利上昇

米10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は81.2と、9月80.4から上昇し3月来の高水準となった。市場予想80.5も上回った。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指数として注目している同指数の1年期待インフレ率速報値は2.7%と9月2.6%から上昇した。一方、5-10年期待インフレ率速報値は2.4%と、9月の2.7%から低下した。3月来で最低となった。同時刻に米商務省が発表した8月企業在庫は前月比+0.3%。伸びは7月+0.1%から拡大し昨年5月来で最大となった。消費者信頼感指数の改善で米国債相場も軟調(利回りは上昇)した。

 

米大統領選に向けて為替市場では値幅が小動きになる可能性も

共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補によるTV討論会は10月22日が最後となり、その場でトランプ大統領が巻き返せるかが焦点となる。世論調査ではバイデン候補の優勢が伝えられているものの、実際は大接戦との見方も根強い。株式市場などはバイデン候補の勝利(民主党への政権交代)をある程度織り込んでいるが、外国為替市場ではリスク選好的な取引はやや縮小し、ドル/円などの値動きは小幅にとどまる可能性がある。

 

米上院選でも民主党の優勢が強まっている

米大統領選と同時に行われる上院選で、民主党の優勢が鮮明になってきた。前回2016年にドナルド・トランプ米大統領が2桁の大差で勝利した共和党地盤の州でも、民主党が勝利する見通しが強まっている。 超党派アナリストの間では、サウスカロライナやカンザス、アラスカなど伝統的に共和党支持者が多い州で、民主勝利の予想確率を引き上げる動きが続いている。一方、共和党はミシガン州で民主党が握る議席を奪還できるとの期待を強めている。超党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートは13日、民主党は上院の過半数奪還へ「明確に優位」な状況にあるとし、民主党が2~7議席増やす見通しを示した。民主党が上院過半数を制するのに必要な議席数は、大統領選にも勝利すれば3議席、トランプ氏が再選なら4議席となっている。上院で票が真っ二つに割れた場合、副大統領が決定票を投じることができる。

 

米ファイザーのワクチン候補で11月後半の市場許可申請目指す

米ファイザーは、ドイツのビオンテックと開発中の新型コロナウイルスワクチン候補が大規模な後期段階の臨床試験で有効性を示した場合、米国での緊急使用許可を11月後半までに申請する可能性がある。具体的な時期は安全性の検証を待つことになる。米食品医薬品局(FDA)は臨床試験参加者の少なくとも半数を対象に2カ月間、副作用の可能性を観察することを義務付けている。ファイザーは、11月の第3週に安全性のデータが示されるとみている。ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は16日、同社のウェブサイトに掲載された公開書簡で、『前向きなデータが出てくるとの前提で、安全性の検証が達成され次第、当社は米国での緊急使用許可を申請する意向である』と説明した。ワクチン候補の有効性に関する初期のデータ解析結果は月内にも明らかになる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○18:00   8月ユーロ圏建設支出
○21:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○21:30   8月カナダ卸売売上高
○21:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00   10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○23:05   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20日00:45   クラリダFRB副議長、講演
○20日03:20   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○20日04:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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