FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物がプラス圏に転換を好感

米国市場で、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待が後退したことや、追加経済政策の不透明感が相場の重石となった。前日の米国株市場で主要3指数が反落した流れを引き継ぎ軟調な展開となったが、NYダウ先物がプラス転換したことで、下げ幅を縮小する展開となった。結局、前営業日比24円高の2万3626円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価にらみの狭いレンジ相場

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きや中国株安を眺めてドル売り・円買いに押され、105.30円付近まで下落した。米追加経済対策を巡る先行き不透明感が強まっていることも、ドルの重石となった。しかし、前日につけた105.29円が下値の目処として意識されると下げは一服、105.40円付近へ切り返した。午後は、日経平均株価をにらみながら、105.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。中国の習近平国家主席が演説で『中国経済は長期的に健全』『中国は全面的な開放を堅持している』などと発言したものの、ドル/円相場への影響はほとんどなかった。ユーロ/ドルは、1.1745ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では8月鉱工業生産が公表

7月実績は前月比+4.1%だった。ドイツ、フランスの鉱工業生産が順調に増加したことが主な要因となった。8月については、ドイツの8月鉱工業生産が大方の予想に反して減少していることから、生産の伸びは鈍化する見込みとなっている。新型コロナウイルスの感染流行は終息していないことから、鉱工業生産が拡大する余地は小さいとみられる。

 

英国とEUのFTA協議の期限間近:合意なき離脱リスクも残る

欧州連合(EU)は13日、ルクセンブルクで開いた総務理事会でEUを離脱した英国との自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉について討議した。合意するには英側の歩み寄りが必要との認識で一致している。英首相官邸によると、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長は14日に電話協議し、打開策を探る。EU15-16日に首脳会議を開き、対英関係を議論する。今回はその前段階の閣僚級の会合である。出席したEUのバルニエ首席交渉官は『今後数日、数週間にわたって公平な合意に向けて取り組む』とツイッターに投稿した。アイルランドのコベニー外相は『あと数週間残っている』と述べた。ジョンソン氏は首脳会議が始まる15日を交渉期限と区切っている。EU側はそれにはこだわらず10月末-11月初旬まで交渉を続け、合意をめざす姿勢を示した形である。ただ交渉が首尾良く進んでいるわけではない。EU各国の欧州問題担当相は、英側との交渉が『十分な進展を得られていない』との見方で一致、英側の譲歩が欠かせないと立場を確認した。EU議長国ドイツのロート欧州問題担当相は記者会見で『合意なしのリスクを低く見るべきではない』と警戒感を示した。

 

南アフリカのIMFの経済見通しは予想の範囲内

昨日公表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、南アの2020年GDP予想を-8.0%、2021年を3.0%、消費者物価指数(CPI)は2020年3.3%、2021年は3.9%、失業率を2020年37.0%、2021年を36.5%とした。ほぼ市場が予想していた範囲内だったため、市場の反応は限られた。南ア国内では15日に発表されるラマポーザ大統領の経済見通しに注目が集まっている。すでに諮問委員会の間では経済見通しは暗い状況になるとされている。なお中期予算の発表は昨日ムボウェニ南ア財務相が21日から28日への延期を申し出たことで、延期が予想されている。

 

トルコの欧米関係悪化懸念がリラの上値を抑える

トルコが発表した東地中海におけるエネルギー資源探査の継続に対し、ギリシャだけではなく、独仏などの欧州連合(EU)主要国、そして米国も非難の声を上げた。トルコは昨年リビアと設定した排他的経済水域(EEZ)を盾に引く様子は全くなく、今後も(経済では頼るところが多い)欧米との亀裂の深まりが危惧される。また、米国からは更に、露製地対空ミサイルS400についてトルコは警告を受けている。今週後半に予定通りミサイルテストを実施するようならば、対トルコ制裁への警戒感が高まる。

 

欧米では2つのワクチン開発にブレーキ

米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(JJ)が新型コロナウイルス予防ワクチンの治験を一時中断したことで、ワクチン開発を急ピッチで進めることの難しさが改めて浮き彫りとなった。命を守ると同時に景気支援を目指す取り組みは、再び一歩後退を余儀なくされている。JJ12日、米国で先月開始した大規模な第3相試験(フェーズ 3)を含め、すべての治験を一時中断すると明らかにした。被験者の一人が原因不明の病気にかかったことが原因である。約1カ月前には、英製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大と共同開発するコロナワクチンの治験を同様の理由から一時中断している。アストラゼネカはその後、英国内での治験は再開しているが、米国は中断したままである。欧米諸国では現在、4つのワクチン候補が開発レースの先頭を走っているが、このうち2つにブレーキがかかったことになる。世界各国の首脳は冬が近づく中、治験の後期段階にあるワクチン候補が早期に承認されることを切望しており、まず医療関係者らへの投与を計画していた。

 

米長期金利の上昇は民主党の大勝を織り込む動き

米民主党が来月の選挙で圧勝するとの観測が足元で米国債利回りを押し上げており、共和党の大勝で利回りが跳ね上がった4年前の記憶を呼び覚ましている。利回りが上昇基調にあるのは、大統領選に関する直近の世論調査で、民主党のジョー・バイデン候補がドナルド・トランプ米大統領に対するリードを広げるとともに、民主党が上下両院ともに過半数を握るとの見方が強まっていることが要因である。いずれかの政党が政府と議会の双方を掌握すれば、減税や歳出増などの政策を通じて財政赤字の拡大につながるとの見方が広がることが大きい。財政赤字の増大が利回りの押し上げ要因になるのには2つの理由がある。1つは政府の借り入れ拡大が国債増発を招くこと。2つ目は経済成長と物価の双方が押し上げられれば、国債の魅力が薄れるためである。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比0.78%)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   8月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.8%/前年比▲7.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   8月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲6.8%)
○20:00   メルシュECB専務理事、講演
○21:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:30   9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.2%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比0.9%)
○21:35   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○23:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:30   クオールズFRB副議長、パネルディスカッションに参加
○15日01:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○15日04:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)

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