FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全般的に高値警戒感から様子見ムード

前週末の米国株式市場が上昇したにもかかわらず、全体的に見送りムードが支配し、閑散症状となった。前週末に加えて為替市場でドル/円が若干ながら円高に振れたことを受け、輸出関連株が売り優勢に始まったほか、新興株式市場でこれまでリード役となっていた銘柄が崩れるなど、全体的に見送りムードに包まれた。市場では、『前週までは期待先行で買っていたが、騰落レシオが130台となるなど過熱感が生じ、高値警戒感から買い手控えられている。』との指摘もあった。ただ、今週から本格化する米企業の決算発表を控え様子見ムードも強く、上海総合指数などが堅調推移したこともあり、下値も限定的だった。結局、前週末比61円安の2万3558円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:人民元高・ドル安設定でドル/円押し下げ要因

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きをながめた持ち高調整などのドル売り・円買い入り、105.50円付近へじり安となった。また、公表された人民元の対ドル基準値が、元高・ドル安に設定されたこともドル/円の押し下げにつながった。午後もこの流れは続き、105.43円付近まで値を下げた。しかし、この後の欧米株価動向を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、105.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、海外時間に予定されているラガルドECB総裁の講演を控えて様子見ムードが広がり、1.18ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

アゼルバイジャンとアルメニアの停戦合意に不透明感

アゼルバイジャンとアルメニアが、ロシアの仲介によるナゴルノカラバフにおける停戦に合意したのも束の間、互いに相手に合意違反行為があったと非難していると報じている。

 

15日は英ジョンソン首相が設定したEUとの交渉期限

英・EUの自由貿易協定(FTA)をめぐり、ジョンソン首相はEU首脳会議が予定されている15日までに合意できなければ『FTAなし』を決断し、交渉を打ち切ると表明した。2日までの協議で進展はあったものの、引き続き漁業権、公正な競争の保証、将来的な紛争の解決方法という最も大きな3つの争点で行き詰まりを解消できなかった。3日にジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長が電話会談し、今週も協議を継続させることで合意した。今週の協議では、『英国のEU離脱後に双方の市民に認め合う社会保障の権利について合意に近づいている』との報道が出るなど一部で進展が見られ、全体的な見通しはこれまでより明るいとの見方もあるが、現状では両者とも相手の譲歩を求めており、合意に向けた機運は高まっていない。

 

米大統領選候補による第2回テレビ討論会は中止

CNNは、米大統領選候補による第2回テレビ討論会が中止になった15日、民主党候補のバイデン前副大統領がABCテレビ主催の市民対話集会に臨むと報じている。また、トランプ大統領もNBCテレビとのあいだで同じく集会の計画を進めているとされ、それぞれの模様が同時に放送される可能性がある。

 

米国経済はK字回復の様相で格差拡大懸念

米国では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気後退からの回復が2つの軌道を描いている。一部の労働者や企業、地域は順調、もしくはコロナ流行以前よりも力強くさえなっている兆しが見える一方、それ以外の労働者や企業などは大幅な落ち込みから抜け出せず、先行きが不透明なままだ。ほんの数カ月前、エコノミストらはV字回復、あるいは景気低迷が長引いた後に回復し始めるU字型の軌道を予想していた。しかし、現状を見ると、K字型に近い。Kの字の上向きに伸びる側には高学歴の富裕層、デジタル経済や家庭用必需品の供給に関連する企業、テクノロジーが進んだ西部都市などの地域が含まれ、概してうまくいっている。一方、下向きの側には資格が少なく賃金も低い労働者や旧来産業の企業、観光や人が集まることで経済が回っていた地域が当てはまり、コロナ危機の爪痕が何年も残ると予想されている。

 

米大統領選前に最高裁判事の本会議で採決の予定

12日からは、トランプ大統領が最高裁判事に指名したバレット氏に対する上院司法委員会での審議が開始される。10月26日週には、本会議で採決される予定と報じられている。上院は共和党53、民主党45、無所属2で構成されており、このままなら上院は通過する可能性が高い。トランプ大統領は、郵送投票が不正投票につながることに懸念を表明している。大統領選が僅差となり、2000年の『ブッシュ対ゴア』の選挙におけるフロリダ再集計のように、最終的な当落判断が最高裁に持ち込まれる可能性があることで、最高裁を保守派6名対リベラル派3名にしたいという思惑がある。

 

今週から米国では7-9月期の企業決算が本格化

米国株市場では12日前後から7-9月期の企業決算発表が本格化するが、リストラやドル安、資源安、金利急低下などの効果が下支え要因となりやすい。すでに9月に発表された6-8月期決算の企業収益は底堅さが目立ち、関連株も一旦の好材料出尽くしなどによる株安は抑制されていることで『先行指標』として注目される。今後の収益見通しには不透明材料が多いが、FRBが最優先目標とする雇用の回復は企業の収益修復が大前提となるため、収益配慮による超緩和の長期化余地と、その効果による収益の改善余地が米国株の上昇余地を支援していく。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   8月トルコ経常収支(予想:44.5億ドルの赤字)
○16:00   7月トルコ失業率
○20:00   8月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比2.7%)
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:00   8月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲7.6%)
○23:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○13日01:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○13日05:00   バスキャンド・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)副総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(テレビ会議、18日まで)
○米国(コロンブスデー)、債券市場が休場
○カナダ(感謝祭)、ブラジル(聖母の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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