FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:大統領選を巡る不透明感が後退して買い優勢に

前日の米国株式相場が上昇したことを受け、朝方から買いが先行した。その後も米国の追加の経済対策への期待が下支えした。米CNNの調査によると、日本時間8日に催された米副大統領候補のテレビ討論会について、勝利者はハリス(民主党候補)との回答が59%、ペンス氏(共和党現職)は38%だった。そのため、『(民主党の)バイデン大統領候補の優位がより確かになり、大統領選を巡る不透明感が後退した』ことで、株式市場にはプラスとの見方が増えた。結局、前営業日比224円高の2万3647円と反発して終了した。海外投資家は9月第5週は571億円の売り越しとなり、4週連続となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は106.00円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、106.11円付近まで上昇した。トランプ大統領が航空会社や中小企業に対する支援策導入について、前向きな姿勢を示していることもリスク選好の円売りを誘った。しかし、高値警戒感から上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、106.00円を挟んでもみ合いとなった。ペンス米副大統領とハリス米民主党副大統領候補による討論会では、ドル/円の相場では影響は限定的だった。午後は、日経平均株価をにらみながら、105.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩の株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく1.17ドル後半で小幅な値動きに終始した。

 

GPIF外債比率は目標値に接近か:利食い売りの可能性も

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有資産に占める外国債券の構成比が上昇し、2020年度からの目標値に近づいた可能性がある。モルガン・スタンレーMUFG証券が試算した。運用資産全体が増加傾向にある中、7-9月期に積極的に買い増したとみられる。同社の推計では、GPIFが9月末時点で保有する外債の構成比は過去最高の24.1%と、目標値25%に接近した。6月末時点の実績値は21.81%だった。
財務省の統計によれば、国内年金の投資動向を映す銀行の信託勘定は、海外中長期債の買い越し額は7-9月に合計5兆6697億円と統計でさかのぼれる05年度以降で最高となっており、世界最大規模の年金基金であるGPIFが外債を積極的に購入している可能性がうかがえる。

 

英国とEUの離脱交渉はなお楽観的見方多い

英国の欧州連合(EU)離脱交渉に関与する政府高官は7日、英国とEUは66%の確率で自由貿易協定(FTA)で合意できるとしながらも、ジョンソン首相が示した今月15日の交渉期限を掲げ、合意を急ぐ考えを示した。ジョンソン首相は9月、協議の膠着状態が10月15日まで続けば、EUとのFTA合意を断念すると表明した。EU離脱交渉担当者、デービッド・フロスト氏は英議会で『(交渉の)着地点、および合意の内容については、現時点ではまだ明確には分からない。合意は可能だが、合意に至らない可能性もある』とし、ジョンソン首相が示した10月15日が現在も交渉期限だと述べた。
ただ、英国は『決して扉を閉ざさない』とも表明した。大枠合意が得られれば、15日以降は文言を巡る多大な作業が待ち受けているとし、『15日が近づくにつれ、ジョンソン首相が示した条件が満たされているかどうか首相に報告する必要が出てくる』と述べた。

 

ノルウェーの最大油田が10日にも生産停止

ノルウェー石油大手エクイノールは7日、同国沖北海にある 最大油田『ヨハン・スベルドラップ』について、労働者ストが14日までに収束しなけれ ば、生産停止を余儀なくされると明らかにした。同油田の最大生産能力は日量47万バレ ルである。エクイノールの広報担当者はロイター通信に対し、今週初めに停止した6油田に加え、 小規模な石油・ガス田4カ所もストの影響を受け、早ければ10日にも生産を停止する見 通しだと説明した。既にストで生産停止に追い込まれている石油・ガス田に加え、ヨハン・スベルドラップ などの閉鎖により、減産量は合わせて日量約93万4000石油換算バレル(BOE)に 拡大する見込みである。

 

米大統領選でバイデン優位ならトルコリラの重石

米国はこれまで、北大西洋条約機構(NATO)の仮想敵国ロシアからトルコが地対空ミサイルを購入したことに対し、米最新戦闘機プログラムからのトルコ排除は表明しながらも、その他の厳しい措置は取ってこなかった。それは、トランプ大統領とエルドアン・トルコ大統領の良好な関係が、対トルコ制裁を避けられた理由の1つとされている。しかしながら米大統領選で優位を保つ民主党候補のバイデン前副大統領は、トルコに対し厳しい声を既に発している。11月の投票日まで1カ月を切るなかで、新たな大統領誕生への機運の高まりは、トルコにとって逆風と受け取られる。

 

米FOMC議事要旨では目新しい材料なく

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月15-16日開催分)を発表した。FOMCメンバーは見通しには財政支援策をすでに織り込んでいるとし、持続的な景気回復にはさらなる経済救済策が不可欠であると強調した。追加金融緩和が示唆されるかどうかに注目されていたが、追加金融措置導入に関する公約を差し控えた。金利に関する新指針の導入で柔軟性を保つ。さらに、この会合は大統領選挙前の最後の会合であったこともありさらに、追加財政策の行方も不透明で見通しに著しい不透明感があったことも追加緩和の公約を控え、柔軟性を持たせた背景となる。 利上げの条件としては、①労働市場の状況が最大雇用目標に一致していること、②インフレが2%に達すること、③インフレが2%を緩やかに上回る水準を維持する証拠、が必要となる。
次回会合は11月4-5日に開催される予定だが、金融政策を据え置くと見られている。選挙結果や追加財政策の行方などを見極め、次回の行動を判断すると見られる。


欧米市場のイベント

○14:45   9月スイス失業率(季節調整前、予想:3.3%)
○15:00   8月独貿易収支(予想:160億ユーロの黒字)
○15:00   8月独経常収支(予想:162億ユーロの黒字)
○16:25   ベイリー英中銀(BOE)総裁、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、パネルディスカッションに参加
○17:00   デギンドスECB副総裁、講演
○17:20   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:15   メルシュECB専務理事、講演
○20:00   9月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.27%)
○20:30   ECB理事会議事要旨(9月10日分)
○21:00   8月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比5.8%)
○21:15   9月カナダ住宅着工件数(予想:24.00万件)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:82.0万件/1140.0万人)
○21:30   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○9日01:10   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○9日02:00   米財務省、30年債入札
○9日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

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