FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株先物の回復で日本株を買い直す動き

前日の米国株の大幅高を好感して寄り付きから3桁の上昇となった。寄った後の動意は限られた。しかし、売り込みづらい地合いが醸成される中、上げ幅を広げて2万3200円台を回復するなど、じり高の展開となった。軟調に推移していたNYダウやナスダック先物が下げ幅を縮め日本株を買い直す動きに繋がっている。結局、前営業日比202円高の2万3235円となり反発して終了した。9月第1週の買いが外投資家は3週ぶりに125億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:総じてドルの上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、106.30円付近まで上昇した。しかし、8日に付けた高値108.38円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利が低下すると、利食い売りなどに押されて106.15円付近へ下落した。複数のメディアが『トランプ米大統領は新型コロナウイルスの脅威を2月時点で認識していたにもかかわらず、パニックを起こしたくないため、国民に正しい情報を意図的に伝えていなかった』と報じたこともドルの重石となった。午後に入ってもこの流れは続き、106.06円付近まで下落した。ただ、今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、106.10円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、今晩予定されているECB理事会で、今年の国内総生産(GDP)伸び率が上方修正される可能性が浮上しているため、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.1828ドル付近まで上昇した。

 

金ETFの資金流入が急減速:金価格も調整色強めた

金上場投資信託(ETF)への資金流入が原則した。購入から売却を差し引いた純購入は重量ベースで8月に38.9トンの流入超となった。9ヵ月連続の流入超となったが、166.5トンの流入超だった前月に比べて77%減とペースは大幅に鈍化した。金価格が8月上旬に過去最高値を更新後、調整色を強めたのと同時に、ETFへの資金流入も鈍化した。しかし、資金流入は鈍化したが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の先行き不透明感や、各国中銀の大規模緩和による低金利の長期化など、金ETFへの資金流入を促す外部環境そのものが大きく変わった訳ではない。ETFが保有する金現物は残高ベースで8月末時点で3,824トンとなり、8ヵ月連続で過去最高を更新した。

 

北アイルランドの国境管理問題が再燃

英国はEUとの離脱合意の内容を修正する法案を準備している。 英紙が伝える修正の内容は、①EUの国家補助金規制を北アイルランドのみに適用する、② 北アイルランド企業が他の英国向けに出荷する際に求められる輸出申告書を免除する、③ 他の英国から北アイルランドに出荷する際の関税還付の対象物品を英国が決定する。合意内容の修正を通じて、佳境を迎える将来関係協議でのEU側の譲歩を引き出す狙いがあると伝えられる。だが、そうした意図とは裏腹に、EU側の英国への不信を招き、将来関係協議を一段と難しくする恐れがある。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催

ECB専務理事兼主席エコノミストのフィリップ・レーン氏は『ECBは金融政策で為替を目標にしないがユーロ・ドル相場は金融政策から生じることを認識することが重要』との見方を伝えており、ECBがユーロ高の問題点について言及する可能性がある。米練ぷ準備制度理事会(FRB)が期間平均で2%のインフレ率を目指す方針に転換したが、ユーロ高の一因となっており、ラガルドECB総裁のインフレ目標についての見解も注目される。

 

トルコとギリシャ高官の協議に注目:仮想敵国ロシアの介入も

8日から10日に延期されたトルコとギリシャ高官の協議が注目されます。話し合いはブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で行われる予定である。東地中海の領有権を巡る両国の対立は、これまでのところ激化の様相を強めるばかりである。問題となる海域では、トルコはリビアと、ギリシャがエジプトと排他的経済水域(EEZ)を取り決めており、今回の協議で歩み寄りポイントを見つけるのは難しい。なお、一部報道では、ロシアがトルコとギリシャの仲介に名乗りを上げたと報じられている。地中海における影響力を高めたいことが背景にあると思われ、NATOの仮想敵国であるロシアが口を挟んできたことで、問題がより複雑化する可能性もあります。

 

メキシコ政府は債務比率の引き上げ回避で格下げリスク後退

昨日はメキシコ政府が2021年の予算案を議会に提出した。内容としては、2021年に向けて、大幅な歳出を行わない緊縮政策を積極的に行うとのもので、債務比率については、現在の54.7%から来年には53.7%に減らす目標を掲げている。また、GDP成長率についても、今年は8%程度落ち込んだ後、来年には4.6%反発するという市場の大方の予想(今年-10%前後、来年は+3.4%程度)よりも楽観的な予想となった。ただ、これについては市場の見方は厳しく、新型コロナウイルスによる国内経済へのダメージは甚大なものに広がっているにも関わらず、ここへきて緊縮政策に乗り出すということは、今現在でも不十分とされる企業・家計への支援策がさらに消極的になるとの見方が出てくるわけで、今後のメキシコ経済に不安を残す予算発表となった。 一方で、債務比率の引き上げが避けられたことで格付け会社による格下げのリスクが低下したことになる。

 

トランプ大統領の方針転換で市場が振り回される可能性も

トランプ大統領が8日、フロリダ州やジョージア州、サウスカロライナ州の沖合における石油・天然ガス掘削禁止措置を、2032年まで延長する大統領令に署名したと報じた。オバマ前政権が導入したこの禁止措置は22年が期限であり、そこから10年延長は思い切った判断に感じる。大統領はこれまで、同地域のエネルギー開発拡大を目指してきた。ただ今回は、大統領選を左右する重要な州の1つフロリダで、環境保護団体だけではなく、観光業や不動産業の猛反対にあった。そこで、方向性を180度転換したとみられる。11月の大統領選に向けて苦戦が予想される現職のトランプ大統領。昨年から集めた選挙資金11億ドルのうち8億ドル以上を既に使用したとされるが、その効果もこれまでのところ限定的である。大統領は選挙資金に個人資産の投入も表明するなど、必死の様相となっている。ここから10月末まで、票欲しさによる大統領の方針転換が何度かあるかもしれない。市場もそれに振り回される可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.5%/前年比1.6%)
○15:45   7月仏鉱工業生産指数(予想:前月比5.0%)
○16:00   6月トルコ失業率
○16:30   8月スウェーデンCPI(予想:前月比▲0.1%/前年比0.8%)
        コア指数(予想:前月比横ばい/前年比0.7%)
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:30億ランドの黒字)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.2%)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比▲0.3%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比0.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:84.6万件/1292.5万人)
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比2.8%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比▲0.1%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○11日01:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○11日02:00   ラガルドECB総裁、講演
○11日02:00   米財務省、30年債入札
○11日02:45   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、記者会見
○英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による第8回協議(ロンドン、最終日)

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