FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株急落につれた売り優勢

前日の米ダウ平均807ドル安やナスダック指数約5%安などの急落を受け、売りが先行して広範囲に売られた。ただ、売り一巡後は下げ渋り、2万3000円台をキープした。しかし、週明け7日のNY市場レーバーデー祝日を控えた海外投資家による売りが先物に集中し現物株を押し下げた。結局、前営業日比260円安の2万3205円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台前半の狭いレンジでの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、106.22円付近まで上昇した。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。しかし、トランプ米政権が対中強硬姿勢を示し、米中の対立激化が警戒されているため、上値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向を睨みながら、106.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩発表される8月米雇用統計を控えて、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.185ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国メディアは米国債の保有残高を減少させる可能性を報道

米中対立への懸念が強まるなかで、中国メディアの論評が金融市場で波紋を呼んでいる。環球時報は『中国は米国債の保有額を8000億ドル程度まで徐々に減らすだろう』との上海財経大学の教授の見通しを紹介している。米財務省によれば中国の6月末時点で1兆744億ドルとなっており、見通しが実現すれば2割強の減少となる。記事では、『軍事衝突のような極端な場合には全ての米国債を売るかもしれない』との教授のコメントも引用している。もともと中国の米国債保有額は減少傾向にあった。運用先の多様化を進めているとみられ、6月末の保有額は前年同月比を3%下回っている。中国の米国債売却の現実味が増せば、米中対立は激しさを増す。中国メディアの報道は、こうしたリスクを投資家に再認識させた。

 

トルコの物価指数高止まりでインフレ対応に苦慮

昨日発表された8月トルコ消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+11.77%と市場予想をやや下回ったが、トルコ中銀の年末物価見通しである+8.9%にはまだ遠い水準である。 8月トルコCPIは予想比下振れしたが、同月生産者物価指数(PPI)は前年同月比+11.53%と前回8.33%から大きく上昇した。PPIは数カ月先のCPIに反映するとされ、今後のトルコ中銀によるインフレ対応は益々難しくなっていく。
 また、中銀の外貨準備高の減少幅の大きさも危惧されている。昨日明らかになった8月28日時点のグロスの外貨準備高は415.9億ドルと前週から8%超減少、年初来では48.8%の減少幅を記録した。

 

米8月サービス活動鈍化と貿易赤字拡大でQ3GDP抑制へ

米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM非製造業景況指数は56.9と7月58.1から予想以上に低下した。ただ、活動の拡大を示す50は3カ月連続で上回った。 4日の8月雇用統計の発表を控えて、先行指標としても注目される同指数の雇用は47.9と42.1から上昇も6カ月連続で活動の縮小を示す50を割り込んだままとなった。追加財政策の遅れや経済活動再開の遅れで労働市場の回復は容易ではない。
消費の伸びの鈍化に加えて、米商務省が3日に発表した7月貿易収支は636億ドルの赤字となった。赤字幅は6月535億ドルから予想580億ドル以上に拡大し2008年4月来で最大だった。7-9月期のGDPの伸びを抑制することになる。

 

米FRBの新金融戦略では実質金利をマイナスで推移させる方針

米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の新戦略を公表してからの1週間で、新戦略が実際の政策運営にどのように表れるのか、次第に明らかになるつつある。FRB当局者2人は3日に、インフレ率が2.4%前後に上昇しても、金利をゼロ近辺に維持することに違和感はないとの立場を示した。複数のFRB当局者によるここ数日の発言は、FRBがインフレ押し上げに向けてより緩和的なスタンスに直ちにシフトする可能性は示唆していない。大半の当局者が、景気支援のための次の措置は、議会が実施すべきだと考えていることが示された。

 

米国市場では8月雇用時計が公表

8月中旬時点の新規失業保険申請件数は100万件を超えていることから、8月の非農業部門雇用者の増加幅は7月実績を下回る見込みとなっている。失業率10%を下回る可能性があるが、労働参加率は上昇する可能性があるため、失業率の大幅低下は期待できない。

■市場エコノミスト予想失業率:9.8%(7月10.2%)非農業部門雇用者数:前月比+135万人(7月+176.3万人)民間部門雇用者数:前月比+128.4万人(7月+146.2万人)平均時給:予想:前月比0%、前年比+4.4%(7月+0.2%、+4.8%)

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比5.0%/前年同月比▲6.0%)
○15:45   7月仏財政収支
○15:45   7月仏経常収支
○17:30   8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:58.5)
○18:25   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化27.5万人/失業率10.1%)
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化140.0万人/失業率9.8%/平均時給、前月比横ばい/前年比4.5%)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○5日01:00   8月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ