FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アベノミクスの継続表明を受け安心感広がる

欧米銀の金融緩和の長期化期待を背景に欧米株が大幅に上昇した流れを引き継いだ。また、菅官房長官が2日夕の総裁選出馬会見で『アベノミクス』継続を表明して投資家の買い安心感が広がった。海外勢の先物買いが支えとなり2月21日以来約6ヶ月半ぶり高値水準で堅調推移するも個人投資家などの戻り待ちの売りが重石となった。8月第4週では、海外投資家が2週連続で1597億円の売り越しとなった。結局、前営業日比218円高の2万3465円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料乏しく106.30円前後でもみ合う展開

ドル/円は、新規の材料乏しく106.25円付近でこう着した。日経平均株価は大幅高となっていたものの、FRBによる低金利政策が長期化するとの観測が高まっているため、積極的なドル買い・円売りは手控えられた。午後は、ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及したことを受け106.34円近辺までじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いにつながった。しかし、今晩発表される米国の経済指標を見極めたいとのムードが高まり、106.30円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、一部の海外メディアが『ECB理事会のメンバーはユーロ高の実体経済への影響を懸念している』と報じたことから、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、一時1.1790ドル台へ下落した。

 

欧州市場では7月ユーロ圏小売売上高を公表

6月実績は前月比+5.7%と、今年2月の水準を回復した。衣料品と自動車燃料などの販売が増加した。7月については、衣料品を含めて複数の項目で販売増加が予想されており、前月比でやや増加する可能性がある。

 

メキシコシティで数千人のデモ:デモが拡大するか注目

日曜日に数千人のデモ参加者が首都メキシコシティに集まり、ロペスオブラドール大統領の辞任を訴えた。首都の街路を占拠したデモ参加者が大統領を非難した要因は経済危機や犯罪の多発、医薬品の不足など多岐にわたります。メキシコでは新型コロナウイルスの影響で今年の成長率が10%を超える減速となる見込みであるほか、コロナ感染前の昨年も10年ぶりのマイナス成長を記録した。また、麻薬撲滅を目指した政権とマフィアとの対立などもあり、昨年の殺人件数は統計開始以来で最多となった。
大統領は今回のデモについては意に介す様子もなく、『そんなことよりも貧しい人々や小さな町の人々とより多くの時間を費やす必要がある』と述べているが、デモ参加者が非難する要因は事実であるだけに耳の痛いところである。

 

トルコでは8月消費者物価指数(CPI)が公表

日本時間16時に発表される8月消費者物価指数(CPI)は、市場予想が前年比+11.91%と前回+11.76%からの上振れが見込まれている。通貨安による輸入価格の上昇が要因の1つである。トルコ中銀は7月の四半期・物価報告で20年末インフレ見通しを+7.4%から+8.9%に上方修正したが、その水準まで低下する兆候は今のところまったくない。エルドアン・トルコ大統領の圧力で中銀が取り得る金融政策はかなり限定されており、インフレ上昇力が強まるようならば、実質金利マイナスが意識されてリラの下値警戒感が増す。

 

国際社会でトルコの孤立が危惧される状況

東地中海のエネルギー資源探査に端を発するトルコとギリシャの領有権争いは、激化の傾向が強まっている。そういったなか一部ドイツ紙が今週初、エルドアン大統領がギリシャとの戦争を誘発させるため、ギリシャ艦艇を(相手側に犠牲者を出さないという条件で)撃沈させるように命じたと報じた。ただ大統領の要求は実行不可能とされ、トルコ側の将軍が拒否したと記事では述べている。独紙によればエルドアン大統領は、ギリシャが反撃してきた場合は本格的な戦争を始め、それによりトルコの軍事産業が潤い、低迷する経済の回復に繋がると考えている。報道通りであれば、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)からのトルコ批判が強まることが予想され、国際社会でのトルコの孤立が危惧される。 なおトルコ外務省は昨日、記事の内容を否定する声明を出した。

 

9月4日に米国労働省が最新8月の雇用統計を公表

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が高いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の8月分は+42.8万人と、予想+100.0万人を大きく下回った。さらに、雇用統計よりも現状の労働市場の状況を図る上で最適と見られている週次失業保険申請件数も8月初旬に3月に経済封鎖以来で初めて100万件を割り込んだのち、ウイルスの再燃で、経済活動の再開が遅れ再び100万件台に増加している。米国経済の中でも比較的順調に回復している製造業の雇用の伸びも緩慢となっている。全米の製造業活動動向を示すISM製造業活動指数は予想を上回る回復を見せたが、雇用は依然弱く、44.4と、13カ月連続で50を割り込み活動は縮小したままである。追加財政策の遅れや経済活動再開の遅れで、労働市場の回復は停滞している。一部企業は従業員の一時的解雇から恒久的解雇を強いられている。航空各社はすでに従業員解雇計画を発表した。政府からの追加支援がなかった場合、10月1日に実行する。ウイルス後の経済は雇用体系も大きく変わる可能性があり、より効率化することにより今後、今までのような人員が必要でなくなる可能性も懸念される。労働市場が今後、再び悪化する可能性が警戒され、回復を支援するためのFRBの長期にわたりゼロ金利策を維持する緩和策を正当化する。

■市場エコノミスト予想失業率:9.8%(7月10.2%)非農業部門雇用者数:前月比+135万人(7月+176.3万人)民間部門雇用者数:前月比+128.4万人(7月+146.2万人)平均時給:予想:前月比0%、前年比+4.4%(7月+0.2%、+4.8%)

 

欧米市場イベント

○15:30   8月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:00   8月トルコCPI(予想:前月比1.00%/前年比11.91%)
○16:50   8月仏サービス部門PMI改定値(予想:51.9)
○16:55   8月独サービス部門PMI改定値(予想:50.8)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.1)
○17:30   8月英サービス部門PMI改定値(予想:60.1)
○18:00   7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比1.9%)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:25.0億カナダドルの赤字)
○21:30   7月米貿易収支(予想:580億ドルの赤字)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比7.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:95.0万件/1400.0万人)
○22:45   8月米サービス部門PMI改定値(予想:54.7)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:57.0)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:00   ラムスデンBOE副総裁、講演
○24:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○4日01:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

 

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