FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り買い材料乏しく小幅な値動きの展開

前日の米国株でNYダウとS&P500が下落するなど買い材料に乏しく、マイナス圏とプラス圏を行き来する方向感に欠ける展開となった。しかし、8月の中国製造業PMIが発表された後はプラス圏に浮上した。売り買いとも材料に乏しく、方向感を欠いた値動きとなった。結局、前日比1円安の2万3138円と値幅の小さい展開で推移した。

 

東京外国為替市場:ドル/円の106円台上値の重さが意識

ドル/円は、自民党総裁選で菅官房長官が有力視されているため『アベノミクス』が継承されるとの思惑からドル買い・円売りが先行、106.03円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場で付けた高値106.09円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、FRBによる低金利政策が長期化するとの観測からドルは全面安となり、主要通貨に対するドルの値動きを示すインデックスは約2年4ヵ月ぶりの低水準を記録した。ドル/円はこの流れが波及してドル売り・円買いが進み、105.60円付近まで下落した。また、一部メディアが『中国は台湾海峡に軍用機を送り込んでいる』と報じたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後は、今晩発表される8月米ISM製造業景況感指数を控えたポジション調整などのドル買い・円売りが入り、105.70円台へ値を持ち直した。しかし、米中の対立が激化するとの懸念がくすぶっていることから、ドルの反発は限られ、105.65円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日にクラリダFRB副議長がオンラインのイベントで金融緩和の長期化を示唆したことから、海外全などがユーロ買い・ドル売りに動き、1.1997ドル吹きまで値を上げた。

 

新首相誕生までの日程

自民党は31日、総裁選を9月8日告示、同14日投開票の日程で実施する案を決めた。1日の総務会で、党員投票は行わず両院議員総会で選出する方針を決定する。選挙日程は2日に総裁選挙管理委員会を開いて確定する。次期首相の座を懸けた選挙戦が事実上スタートする。新総裁は臨時国会が召集予定の16日に新首相に指名され、新政権が発足する見通しである。

 

ランド買いも一時的:NECで期待したほどの発表なくランド失速

ランド/円は月末の31日に月初来高値を更新し、一時7月29日以来となる6.38円まで上昇した。これは、週末に行われた与党アフリカ民族会議(ANC)の全国執行委員会(NEC)を現政権が乗り越えたことが、ランドの支えとなった。また、週末にムボウェニ南ア財務相が辞任した(もしくは辞任する)といううわさが流れたが、これを財務相がツイートできっぱりと否定したこともランド買いにつながった。 しかし、NY参入後は上値も抑えられ、徐々に下げ幅を拡大し6.23円まで下がり、ボラタイルな動きになった。ANCのNEC後の記者会見で、市場予想が期待したほどの発表がなかったことが売り要因になりました。

 

トルコの感染拡大による経済へのダメージが浮き彫り

欧州序盤に発表された4-6月期トルコGDP(前年比)は9.9%減と、市場予想の10.7%減よりもマイナス幅を縮めた。もっとも、落ち込み幅は2009年1-3月期以来の水準であり、新型コロナ感染拡大によるトルコ経済へのダメージが浮き彫りになった。ただ、GDPの結果を受け、アルバイラク財務相はV字回復の兆候を示していると述べていたが、やや楽観視し過ぎている。トルコは東地中海のエネルギー資源探査の期間を延長するとし、領有権を巡るギリシャやキプロスとの緊張は更にエスカレートしそうな状況である。周辺域での軍事演習も継続され、北大西洋条約機構(NATO)同盟国であるギリシャとの偶発的な衝突への懸念が増している。トルコが貿易で頼るところが大きい欧州連合(EU)からの制裁が現実味を帯び始め、リラを買い難くさせている。

 

S&P500が最高値語は円相場は安定化する可能性が高い

米国株S&P500は2月の過去最高値を更新してきたが、過去実績として為替市場では円相場の『安定化』が高確率で支援されてきた。リスク選好がクロス円を中心に円安要因となるほか、過度な米国債金利の低下歯止めや、景気の先行指標である株価の上昇を受けた米国景気の遅行改善などがドルの下支え要因となりやすい。今回もまた、米国株の過去最高値更新後のドル安・円高歯止めや円相場の安定化、ドルの底上げ軌道入りといった『過去ジンクスの踏襲』が注目されやすい。こうした過去ジンクスの背景については、1)米国株の最高値上抜けで上値余地が広がり、リスク選好がクロス円を中心に円安・外貨高を支援する、2)安全逃避の後退などで、過度な米国債金利の低下に歯止めが掛かる(ドル安抑制)、3)株価は景気の先行指標であり、米株の最高値更新のあとは米国の景気が遅行改善に向かいやすい、といった要因がある。

 

米国市場では8月ISM製造業景況指数が公表

7月実績は54.2だった。18業種のうち13業種の活動が拡大した。生産指数は2018年8月以来となる62.1となり、受注指数は61.5に上昇した。受注増加による在庫減少を受けて、生産を増やす動きが広がった。8月については、受注指数と生産指数は引き続き好調とみられており、全体的に7月実績と同水準の数値になると予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   8月トルコ製造業PMI
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、オンラインイベントに参加
○16:30   8月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:51.6)
○16:50   8月仏製造業PMI改定値(予想:49.0)
○16:55   8月独製造業PMI改定値(予想:53.0)
○16:55   8月独雇用統計(予想:失業率6.4%/失業者数変化▲2000人)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:51.7)
○17:30   7月英消費者信用残高(予想:8億ポンド)
○17:30   7月英マネーサプライM4
○17:30   8月英製造業PMI改定値(予想:53.3)
○18:00   7月ユーロ圏失業率(予想:8.0%)
○18:00   8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比0.2%)
○18:00   8月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.8%)
○21:00   4-6月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前年同期比▲10.6%)
○22:45   8月米製造業PMI改定値(予想:53.6)
○23:00   8月米ISM製造業景気指数(予想:54.6)
○23:00   7月米建設支出(予想:前月比1.0%)
○2日02:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○2日03:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○2日03:00   8月ブラジル貿易収支(予想:68.48億ドルの黒字)

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