FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:買い安心感広がり大幅上昇

安倍首相の後任を選ぶ自民党総裁選で菅義偉官房長官が出馬を検討していると伝わり『政策の継続性』期待感が浮上した。また、著名投資家バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが5大商社株を5%超取得したと伝わったことも買い安心感が広がったことで、一時上げ幅を460円へ広げた。結局、前日比257円高の2万3139円と4営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は株価の動向に連れる展開

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、105.30円付近へ下落した。しかし、28日に付けた105.20円が下値目処として意識され、下げは一服した。その後は、日経平均株価の大幅反発や中国株高に支えられ、105円台半ばへ切り返す展開となった。午後は持ち高調整的ドル買い・円売りが持ち込まれ、105.70円付近へ上昇する場面もあった。しかし、日経平均株価が上げ幅を縮小したことから伸び悩み、105.60円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、高値警戒感から利益確定などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.900ドル付近へじり安となった。

 

ドル買い比率が上昇:首相辞任表明で取引活発化

QUICKが31日に算出した前週末28日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)8社合計(週間)の建玉状況によると、前週のFX取引で円に対するドル買い比率は上昇した。『ドル・円』取引の総建玉に占めるドル買い建玉の比率は75.0%と前の週末から4.4ポイント上昇した。週末にかけて円高が進んだのを受け、個人投資家による相場の流れに逆らった『逆張り』の円売り・ドル買いが出た。安倍首相が28日午後、辞任の意向を表明した。日銀の金融緩和観測の先行きに対する不透明感が意識されたことで前週末の海外市場で円は一時1ドル105.20付近まで上昇した。『首相の辞任表明をきっかけにFX取引が活発になり、105円台では相場の反転を狙った円売り・ドル買いの持ち高を増やす個人投資家が多かった』との指摘があった。

 

欧州市場では8月独消費者物価指数(CPI)が公表

8月独消費者物価指数(CPI)速報値は、前月比横ばい、前年比+0.1%と予想されており、7月の前月比-0.5%、前年比-0.1%から、新型コロナウイルスによるデフレ圧力の後退が見込まれている。予想通りならば、欧州中央銀行(ECB)によるパンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)の全額消化観測が後退する可能性が高まることになる。レーンECB専務理事兼主任エコノミストは、先週開催されたジャクソンホール会合で、『ECBはインフレ目標達成の遅延をこれ以上は容認できないため、ECBには必要に応じて全ての政策措置を調整する用意がある』と述べており、ネガティブサプライズにも要警戒となる。

 

米バークシャー・ハザウェイが日本の商社株取得

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイは30日、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%超取得したと発表した。バークシャー傘下のナショナル・インデムニティが31日に財務省関東財務局に提出した大量保有報告書にyると、伊藤忠商事:5.02%、丸紅:5.06%、三菱商事:5.04%、三井物産:5.03%、住友商事:5.04%、それぞれ取得した。30日に90歳の誕生日を迎えたバフェット氏は『日本の未来にバークシャー・ハザウェイとして参加することは喜ばしい』と表明した。『5大商社は世界各地に合弁事業が多数あり、今後さらに増やす公算が大きい。将来的に相互に有益な機会があることを望む』とした。

 

メキシコ中銀の3つの経済シナリオ

メキシコ中銀が発表した四半期の報告書では、新型コロナウイルスの先行き不透明感から3つのシナリオを想定していると発表しました。まとめると以下になります。
⓵最良のシナリオ :第2四半期を底に急速に回復し、2020年GDPは-8.8%に留まる。2021年には+5.6%の回復。②中間シナリオ: 2020年GDPは-11.3%を予想。最悪の場合には-12.8%となり、深いU字型の景気後退。 ③最悪のシナリオ :2020年GDPは-12.8%まで落ち込む。2021年は+1.3%の回復に留まる。
ディアス総裁は半期を通じて経済が同じような形で成長し続けるかどうかが鍵として、そうなれば2021年には勢いのある回復を見せると楽観的な見解を示した。一方で、2019年末までの経済状況に戻るためには十分ではないと悲観的なコメントも残している。 なお、雇用については前回報告書の140-180万人の雇用喪失から110-175万人の喪失とやや上方修正した。2020年末インフレについても+3.5%から+3.7%に引き上げた。今後1-3年の間でメキシコの格付けが投資適格のソブリン信用格付けを失う可能性について中銀のチーフアナリストは「私は可能性がある。マクロ経済の枠組み、特に財政の安定性、確実性、堅実性を高める政策を採用することで、可能な限り回避すべき」と述べた。

 

南アランド/円は売り・買いのフローにより方向感が出にくい展開

南ア国内のウイルス感染の拡大は横ばいになっているが、電力供給不足や失業問題で、本来であればランド/円はより一層弱含んでも良い状況にある。先々週発表されたアブサ銀行の決算も、上半期の1株当たりの利益は93%減少した。また同行は『8月の経済指標はほとんどの地域でウイルス拡大の鈍化を示しているが、不確実性の高まりが企業の信頼と投資を弱め、消費者にとって厳しい状況が続く』としているように、南ア経済で明るい話題を探すのは依然として難しい状況である。しかし、先月から続くドル売り地合いがランドに波及し、ランドを買い支える要因になっていることから、両サイドのフローにより方向感が出にくい状態である。今週は31日に7月貿易収支が発表される。発表が延期となっている4-6月期の失業率は今週発表予定となっているが、再々延期も否定できない。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月南アフリカマネーサプライM3
○15:30   7月スイス小売売上高
○16:00   4-6月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比▲10.7%)
○16:00   7月トルコ貿易収支(予想:27.3億ドルの赤字)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   7月南アフリカ貿易収支(予想:125億ランドの黒字)
○21:00   8月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比0.1%)
○21:00   4-6月期インドGDP(予想:前年同期比▲19.2%)
○21:30   7月カナダ鉱工業製品価格
○21:30   7月カナダ原料価格指数
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○英国(サマーバンクホリデー)、休場

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