FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:香港株高で投資家心理改善

先週末の米国株は上昇したが、スタートは小幅安となった。しばらくは前日終値近辺でもみ合いながらも上値が重い状況が続いた。しかし、香港株の大幅高で投資家心理が強気に傾き米食品医薬品局(FDA)新型コロナウイルス感染症の新治療法を特別認可したと発表したのも買い安心感に繋がった。一方で物色の広がりが限られ安倍首相の健康問題もあり商い低調で推移した。結局、前営業日比65円高の2万2985円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米国の景気先行き懸念後退から105円台後半で推移

ドル/円は、トランプ米政権が対中強硬姿勢を続けていることで、米中関係のさらなる悪化を警戒したドル売り・円買いに押され、105.69円吹きまで下落した。しかし、21日に発表された8月米製造業PMI速報値や7月米中古住宅販売件数などの指標が予想を上回り、米国の景気先行き懸念が和らいでいることから下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢がドル買い・円売りに動き、105.80円付近へ切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.80円を挟んだ狭いレンジ相場となった。ユーロ/ドルは、先週末の海外時間に急落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1805ドル近くへ値を上げた。

 

メキシコの司法行政能力の低下問題が浮き彫り

安全保障、司法、人権保護、汚職の分野を評価してランキングにしたGlobal Impunity Index (GII)が先日発表された。これはメキシコのプエブラ米州大学が作成したもので、簡単に言えば、治安面での世界的な位置づけを採点するものである。今年のメキシコは69カ国中60位となった。前回の調査では、メキシコは69カ国中66位、前々回は59カ国中58位といずれもワースト10に入る治安の悪さを表している。GIIによると、メキシコの改善策としては裁判官の数を増やすことを挙げている。世界的な平均は人口10万人に対して17.83人の裁判官とされているが、メキシコはわずか2.17人と明らかに裁判官の数が少なく、GIIは司法行政の能力の異常な低下を警告している。一方で、警察官の数に関してはメキシコは人口10万人当たり347.76人と他国に比べて多いが、この点についてもGIIは『警察官の数が多いからといって効果的な取り締まりができるわけではない』と指摘している。インフラと専門性を向上させるためには、警察と司法制度の予算を大幅に増やす必要があり、ロペスオブラドール大統領にはこの点を改善することを期待しているとしている。

 

日本企業のアフリカへの投資減少がランド/円の買い支え減少に

2019年のデータでは、アフリカに進出している日本企業の拠点数は563拠点である。1位は南アの141社、2位ケニア64社、3位エジプト52社、4位モロッコ49社、5位ナイジェリア34社となっている。進出企業数は2015年371社、2017年448社、そして2019年は上記の563社になっている。その中で2019年の営業見通しが『黒字』と回答した企業は50.3%となり、半数を超えている。中でも南アは約7割が黒字と好調で、暗黒のズマ政権が終わりラマポーザ政権による汚職撲滅や財政健全化への期待、政情の安定化によるビジネス拡大が背景にあるとされている。しかし、今回の新型コロナウイルスが今後大きく影響を及ぼすのは間違いないと思われる。南アに関してはウイルス感染拡大による健康リスク、経済の停滞とウイルス対策による財政的危機を迎え2019年の市場調査とは全く状況が変わっていると思われる。そのため、今後はアフリカへの積極な投資が減少していくことが考えられ、アフリカ進出企業によるランド/円の買い支えも少なくなってくる可能性が高い。

 

24日から米共和党の全国党大会開始:米大統領選が本格的に開始

米民主党全国大会は20日、大統領候補に指名されたジョー・バイデン前副大統領(77)が指名受諾演説を行った。バイデン氏は11月の選挙で対決するトランプ大統領を『米国を暗闇で覆い隠した』と糾弾し、『暗黒の終わりが始まったと歴史に刻もう』と宣言した。トランプ政権で深まった社会の分断を修復し『今こそ団結する時だ』と呼び掛けた。大会は4日間の日程を終了した。前日には黒人女性初の副大統領候補に選ばれたハリス上院議員が指名受諾演説を行っており、4年ぶりの政権奪還に向け、二人三脚での選挙運動を本格的に進める態勢が整った。
一方の共和党は、24日からノースカロライナ州シャーロットで全国党大会を開き、トランプ大統領とペンス副大統領を正副大統領候補に正式指名する。ただ、トランプ氏は指名受諾演説を会場ではなくホワイトハウスから行う方針だ。

 

週末の良好な経済指標を受け米長期金利上昇

全米不動産協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売件数は前月比+24.7%の586万戸と、市場予想を上回り住宅市場のピーク2006年12月来で最高となった。伸び率は過去最大を記録した。 事前に民間マークイットが発表した8月製造業PMI速報値は53.6と、7月50.9に続き2カ月連続で50超えた。市場予想52.0も上回り昨年1月来で最高となった。また、8月サービス業PMI速報値も54.8と、7月50.0に続き2カ月連続の50超えで予想51.0を上回り昨年3月以来で最高となった。8月総合PMI速報値は54.7と、7月50.3から上昇し昨年2月来の高水準となった。市場予想を上回った住宅、製造業指数を受け米国債相場は軟調(金利上昇)となった。米10年債利回りは0.62%から0.65%まで上昇した。

 

MSCI世界株指数で米国優位の進展で過度な国外漏出とドル安は抑制

MSCI世界株指数(ドルベース)でも、『米国株÷米国株を除いた先進国株』の相対倍率は今年8月時点で1.73となり、2008年の0.61からは2.8倍超の米国優位が進展してきた。同じくMSCIの『米国株÷新興国株』は今年8月が3.03であり、2008年の1.08からは3倍近い米国優位へと復活している。その意味で今回の場合、米国内での余剰資金膨張やFRBの緩和強化については、過去の緩和局面に比べると、米国内で滞留・活用される部分もあり、過度な国外漏出とドル安は抑制される可能性がある。

 

欧米市場イベント

○米共和党全国大会(27日まで)

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