FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:後場から先物主導で下げ幅拡大

米国株安を嫌気して寄り付きから3桁の下落となった。序盤では節目の23000円をサポートに下げ渋る動きも見られたが、米FRBの緩和強化期待の後退や中国人民銀行の貸出金利据え置きなどで、リスク回避が優勢になっている。TOPIXが日銀ETF買い発動基準の0.5%安に届かず後場に日銀ETF買いを期待して買っていた投資家が先物に処分売りを出して先物主導で下げ幅を広げた。結局、前営業日比229円安の2万2880円と反落して終了した。8月第2週の海外投資家は、3663億円の買い越しとなり2週連続となった。

 

東京外国為替市場:106円前後で方向感を欠く展開

ドル/円は、米FOMC議事要旨の内容受けてドルの買い戻しの動きが東京市場でも引き継がれ106.21円付近まで上昇した。しかし、トランプ米大統領が対中強硬姿勢を改めて強調し、米中の対立激化が懸念されているため、ドル買い・円売りは続かなかった。その後は、日経平均株価の反落や中国株安を眺め、106.05円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価が一段と下げ幅を拡大すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて105.98円付近まで下落した。しかし、今晩発表される米経済指標を見極めたいとのムードから下げ渋り、106.10円付近へ持ち直した。ユーロ/ドルは、前日に公表されたFOMC議事要旨が、市場の想定よりもハト派的な内容ではなかったと受け止められたことで、ポジション調整などのユーロ売り・ドル買いが持ち込まれ、1.18ドル台半ばから1.18ドル台前半へ水準を切り下げた。

 

中国三峡ダムの水位は過去最高:決壊の警戒感も

四川省などで続いた大雨で重慶市中心部の一部道路などが水没し、長江を使った物流は一時停止に追い込まれた。重慶市からみて下流に位置する三峡ダムの水位は過去最高を更新する見通しで、当局は警戒を強める。すでに一部の観測地点で警戒水位を大幅に上回り、1981年の洪水に匹敵する規模となった。長江沿いなどの道路は冠水し、商業施設などは相次いで営業停止に追い込まれた。自動車やパネルなどの主要工場は河川から離れた高台にあるため、多くの操業に直接的な影響は出ていないもようだ。長江を使った船舶の物流が18日から止まっていることから、水運を利用する一部の企業の製品出荷などに悪影響が出る恐れも浮上する。

 

ノルウェー政府ファンドの苦悶

2020年8月18日、北海の石油生産を原資とする世界最大の政府ファンド、ノルウェー政府年金基金グローバル(運用資産:約1.2兆ドル)は2020年上半期(1-6月)の運用成績が、マイナス3.4%、1880億クローネ(約212憶7000万ドル)の損失を計上したと発表した。ノルウェー政府は2020年上半期の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、景気刺激策として、1670億クローネ(約190億ドル)を引き出している。

 

トルコでは金融政策決定会合:市場予想は据え置き

エルドアン・トルコ大統領は昨日、『時代を変える良いニュース』を21日に発表すると表明した。一部通信社が、関係者の話として『トルコが黒海でエネルギー資源を発見した』と報じ、大統領の発表はこの件ではないかという観測が広がると、エネルギー関連株を中心にイスタンブール株式市場は急騰した。また、為替相場もリラ買い戻しが強まった。本日のリラ/円は、昨日の『黒海でのエネルギー資源発見』の続報に注意しながら、トルコ中銀の金融政策決定会合を見極めての取引となる。トルコ中銀は本日、金融政策決定会合を開催し、政策金利を発表する。今のところ市場予想の中心値は『8.25%で据え置き』である。ただし、トルコの実質金利マイナス幅の拡大がリラの重石となるなか、リラの下落トレンドを反転させるには利上げが必須とする意見も多いのは確かである。トルコ中銀が前回の物価レポートで示した『年末のインフレ見込み8.9%』を意識した何らかの引き締め策、またはタカ派よりの声明が織り込まれる可能性がある。

 

米FOMC議事録では9月会合での追加緩和を示唆せず

議事録では消費が最悪となった4月から大幅に回復したと強調すると同時に、最近の指標が消費の鈍化を示唆していると指摘した。また、ビジネスセクターでの改善が限定的で、企業主対象の調査では、引き続き不透明性やリスクが異例に高いとの指摘があったと記された。 経済の軌道はウイルスの展開次第で全手段を活用することを公約し、当面の間、大規模な緩和が必要となる可能性を確認した。数人のメンバーからは追加緩和が必要かもしれないと指摘があったものの、市場で憶測のあったフォワードガイダンスやインフレ目標の強化、イールドカーブコントロールなどといった将来の政策の基盤に関する言及はなかった。 議事録では中銀が政策金利をゼロ金利にして、資産を7兆ドルまで拡大したあと、どのように今年の追加支援を策定するか、また、透明性を改善するための声明の修正の協議を継続したことが確認された。数人のメンバーはもし、パンデミックが長期化した場合、金融市場の安定リスクとなると懸念があった。一部の中小企業が資金のひっ迫に直面していることも認識している。

 

バイデン増税を嫌気するウォール街

トランプ陣営は7月に支持者からの寄付が過去最高の1億6500万ドル(約173億円)に達した一方、バイデン陣営は1億4000万ドル(約147億円)で2500万ドル(約26.2億円)の差が生じたことがトランプ巻き返し機運を高めているとされる。さらに、ウォール街にはバイデン増税を嫌気する向きが少なくないという。例えば、所得税の最高税率は現在37.0%だが、バイデン候補はこれを39.6%に、現行21%の法人税を28%にそれぞれ引き上げると公約している。バイデン増税の総額は10年間で3.2兆ドル(約340兆円)と、4年前の大統領線でクリントン候補が掲げた増税案6630億ドルの5倍近い大増税とされる。中でも、ウォール街が嫌気するのが株式等の売却益にかかるキャピタルゲイン課税引き上げる。現在、1年超保有後の売却の最高は20%だが、バイデン氏は年100万ドル超の高所得者の所得税と同じ39.6%に高めようとしており、実現すれば税率は2倍に跳ね上がる。トランプ大統領は13日に保守系FOXテレビのビジネス番組に出演し、『バイデン氏の増税は市場を破壊する』と断じ、自らは株価押し上げを狙いキャピタルゲイン減税(最高税率15%への引き下げ)を表明した。
トランプ再選なら15%、バイデン勝利なら39.6%と2倍以上もキャピタルゲイン税率が違えば、ウォール街がどちらを支持するかは明々白々である。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.1%)
○15:30   4-6月期スイス鉱工業生産指数
○16:30   7月スウェーデン失業率(予想:9.8%)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○17:30   7月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比0.5%)
○18:00   6月ユーロ圏建設支出
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月16日分)
○21:30   8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:21.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:92.5万件/1500.0万人)
○23:00   7月米景気先行指標総合指数(予想:前月比1.1%)
○21日01:00   7月ロシア失業率(予想:6.3%)
○21日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討議に参加
○米民主党大会でバイデン氏が大統領選候補指名受諾演説
○米財務省2年、5年、7年債入札条件

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