FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:景気敏感株が利益確定売りに押される

全体的に方向感が定まらない中で、上値の重さが意識され、日本株の重石となった。また、米商務省が17日に中国ファーウェイの禁輸措置強化を発表して米中対立激化への懸念が意識された。電子部品関連株や景気敏感株中心に売りが優勢となり前週まで買われていた景気敏感株が利益確定売りに押された。一方で、中小型株物色が活発化し、マザーズ指数は6月26日に付けた年初来高値1067.29を更新した。

 

東京外国為替市場は米中の対立激化懸念からドル売り

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、105.63円付近まで下落した。前日に米商務省が中国の通信機器最大手に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表、米中の対立が激化するとの警戒感が高まっていることも、リスク回避の円買いにつながった。午後もこの流れは続き、105.57円付近まで下落した。しかし、心理的節目の105.50円付近に接近すると、下げは一服した。その後は、今晩の米株価動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がり、105.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、前日に発表された8月NY連銀製造業景気指数が予想を大きく下回り、米景気減速を警戒したユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.19ドル台乗せをうかがう姿勢を見せている。

 

中国とロシアの貿易決済通貨としてのドルの役割は減少

英FT紙は昨日、20年第1四半期の中国・ロシアの貿易では、決済通貨としてドルの役割が4割台まで減少し、ユーロが3割まで増加したことを報じた。記事によれば15年当時は両国間決済の9割がドルだったとしており、ドル離れが大きく進んでいることが分かる。また市場では、米中対立が激化するなかで、中国が外貨準備高をドルからユーロにシフトさせるという見方もくすぶり続けている。くわえて、昨日はユーロが対トルコリラやブラジルレアルで最高値を更新しており、こういった流れもユーロ/ドルの支持となりそうだ。

 

南アでのロックダウン水準の引き下げでもランド買いは難しい

週末にラマポーザ大統領が南アのロックダウンの水準をレベル2まで引き下げたが、大きくランドを買うには力不足となっている。南アの新型コロナウイルスの感染はピーク時の1万2000件から、この1週間は平均で約5000件に減少したことが、ロックダウンの緩和につながっている。しかし、南アでは感染をしていても検査の不備で感染件数にはカウントがされないなどという問題も指摘されている。ロックダウンの緩和は非常に大きなリスクがあり、短期的にはランド買い支え要因になるが、今後の感染状況次第では再び売り要因になりかねない。一方、国営電力会社エスコムが週末に『またしても』電力の負荷制限を発表した。しかも、今回は8つの発電ユニットが使用不可能になっているとしている。このような状況下でもあることで、南アの規制緩和は他国と比較すると、急に経済が回復することが難しく、ランドを素直に買うのはまだ難しい。

 

トルコでは財政赤字拡大でリラの重石

トルコ財務省が発表した7月トルコ財政収支は297億リラの赤字となり、4月以来の水準まで赤字幅が拡大したこともリラの重石となっている。下落基調が強まるリラ相場への対抗策を検討するため、エルドアン・トルコ大統領は緊急経済会合の開催を表明した。会合には、副大統領、財務相、中銀高官、他金融当局や主要な金融機関などが参加すると報じられている。ただ、これまでもトルコ中銀は為替市場で大規模なリラ買い介入を実施しており、また金融当局も外貨購入への課税などの通貨防衛策を取ってきた。それにもかかわらず国内におけるドル化の流れは、緩むどころか加速している。財政出動でトルコ経済の底上げを図りたいところだが、トルコ中央政府の財政赤字は今年7カ月間で1391億リラに達し、すでに今年の赤字目標である1389億リラを超えてしまっている。そのため、経済界から求められるような、柔軟・機動的な経済対策は取り難い可能性が高い。

 

NY銀は投機主導の乱高下

国際指標のニューヨーク先物価格は前週、7年はぶりの高値圏から急落した。荒い値動きの背景には、金に比べ少ない元手でも大きな売買が可能な銀に劉する投機マネーの動きである。銀先物は7日に1トロイオンス29.9ドルと2013年2月以来約7年はぶりの高値まで上昇した。しかし、11日には米金利上昇をきっかけに反落した。12日に23ドル台を付けた後、13日には再び27ドル台に戻し、18日時点も同値圏にある。金、銀の価格上昇が鮮明となった7月20日から直近高値の7日までの上昇率をみると、金が15%、銀は48%だった。7~12日の下落率も、金の10%に対して銀は21%だった。金価格を銀価格で割って相対的な価値の差を示す『金銀比価』は3月、124倍と過去最大まで拡大した。金と比べた割安感から銀への資金流入が加速した。CMEによると、銀先物の取引量は7日に32万9000枚と過去最高となった。急落した11日は39万7000枚と記録を更新した。上昇・下落ともに投機筋が売買っを膨らませて値動きを主導した。

 

バイデン前副大統領のリードは縮小傾向

米民主党は17日(日本時間18日)から4日間の日程で、バイデン前副大統領(77)を11月の大統領選の候補者に正式指名する全国党大会を開く。CNNテレビが16日発表した世論調査によると、共和党のトランプ大統領(74)に対するバイデン氏の支持率のリードは4ポイントに縮小した。今年4月以降では最小幅となり、バイデン氏にとって警戒を要する結果となった。調査は12~15日、全米の成人1108人を対象に行われた。バイデン氏に投票すると答えた人は50%でトランプ氏は46%。6月の前回調査で14ポイントあった差は大幅に縮まった。無党派層のバイデン氏のリードは前回11ポイントから1ポイントに縮まっており、人種差別抗議デモなどがピーク時から落ち着いてきたことが影響した可能性がある。ただ、各種の世論調査平均では、バイデン氏が依然として7.5ポイントリードしている。

 

今週は19日にFRBによるFOMC議事録が公表される(7月28-29日開催分)

感染2波懸念や追加経済対策の不透明感などにより、改めて先行きの米国景気に慎重見通しが示されるとドル安要因となる。現状の超緩和策の長期化や先行きの緩和強化が示唆されても、ドルの戻り売り圧力を強める可能性がある。その反面、前週以降の米国債市場では、FRBによる先行きのマイナス金利導入といった過度な追加緩和期待の反動修正により、金利が上昇に転じてきた。米国では11月に大統領選が迫るなか、FRBは『政治的中立性』の観点で早期の緩和強化や米国債の買い入れ増強(=財政赤字ファイナンス)には制約が生まれつつある。すでにFRBの景気見通し慎重さや緩和長期化は織り込みも進んでおり、『事前予想ほど緩和強化バイアスが示されない』可能性にも注意を要する。その場合はドル高が後押しされやすい。

 

欧米市場イベント

○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、オンラインイベントに参加
○21:30   7月米住宅着工件数(予想:123.7万件、前月比4.6%)
        建設許可件数(予想:131.3万件、前月比4.9%)

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