FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末で方向感に欠ける展開

寄り付きは70円近く上昇して始まったが、2万3300円台が定着せずに失速した。その後は前日終値近辺で方向感に欠ける動きが続いた。マイナス圏に沈むところでは買いが入るなど底堅さは伺えたものの、週末でもあり上値も重く、値幅もそれほど出なかった。結局、前営業日比39円高の2万3289円と4日続伸して終了した。8月第1週(3日~7日)では、海外投資家は1791億円の買い越しとなり、買い越しは2週間ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:107円台の上値の重さを確認

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りが先行し107.40円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場で付けた約3週間ぶりの高値107.05円が意識されると上げ幅は一服し106.95円付近でもみ合う展開となった。午後になると、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、106.84円付近まで軟化した。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では4-6月域内総生産(GDP)改定値

参考となる速報値は前年比-15.0%だった。需要項目別では、各国で個人消費や投資の大幅な減少が観測された。この状況は改定値でもほぼ変わらないと予想されており、スペインやフランスの国内総生産の大幅な落ち込みがユーロ圏経済の大幅な縮小につながるとみられる。

 

15日に米中が貿易協議の合意を巡る検証協議

米中両政府が貿易協議のフェーズ1合意を巡って、閣僚級で15日に協議する予定で、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と中国の劉鶴副首相がビデオ会議する。一部中国ITサービスの米国からの締め出しなどについてもそじょうに上るとされており、フェーズ1合意の破棄は市場にとっての大きなリスクとなる。中国側は食糧安全の確保、及び台湾海峡、南シナ海における米国の政治圧力を軽減する意味では、合意履行の意欲が高いと見られる。その一方で、トランプ大統領は選挙に向けて対中国強硬姿勢を示す必要があり、外交・人権関連で強化された対中圧力を通商面に広げる可能性の注意する必要があると指摘した。こうした状況を踏まえて、米中協議が無難に通過すれば、再びドル高・円安基調になりやすい。

 

IEAが2020年石油需要を下方修正

国際エネルギー機関(IEA)は13日発表の8月石油市場月報で世界規模で新型コロナウイルス感染拡大が続き、航空機燃料の需要減少が続くなどを背景に20年の世界石油需要予測を日量9190万バレルと前月から4ヶ月ぶりに14万バレル下方修正した。また、IEAは同月報で『製造業の生産再開やネット通販拡大で陸上の貨物輸送は上向くものの、新型コロナの影響長期化で、航空燃料の需要見通しが悪化し、乗用車を含めたガソリン需要の回復も遅れる』と指摘している。

 

トルコリラを買い難くする要因

トルコ中銀が発表した7日時点の外貨準備高(グロス、金保有高除く)は、465.9億ドルと前週比では-0.17%の減少幅にとどまった。もっとも、年初来では4割以上の大幅減となっている。8月第1週のリラ大幅下落にかかわらずトルコ外貨準備高が微減だったということは、当局が準備高枯渇を本格的に懸念し始めて様子見姿勢を取ったのか、ドルリラの容認水準を上向き(ドル高・リラ安)にシフトさせたなどが考えられる。また、東地中海の海底資源探査を巡るトルコとギリシャの緊張は高まったままである。ギリシャ支援のためにフランスは地域に軍を派遣する方針を示し、同じ欧州連合(EU)のキプロス、リビア内戦でも対峙するエジプトやイスラエルなどもギリシャ支持を表明している。トルコのエルドアン大統領は話し合いでの解決を訴えながらも、東地中海における同国の権利を声高に主張し続けている。事態を憂慮したメルケル独首相やミシェル欧州理事会議長とエルドアン大統領は電話会談をしたようだが、トルコ側が譲歩したという話は聞こえてこない。仏軍まで参入する状況に米国防省も懸念を表明している。互いに軍事衝突などの最悪な結果は避けたいところだが、地政学リスクの高まりはリラを買い難くさせる要因である。 

 

米雇用関連指標は改善傾向

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は96.3万件と、予想外にパンデミックで経済が封鎖された3月中旬以来で初めて100万件を割り込んだ。失業保険継続受給者数は1548.6万人と、前回1609.0万人から予想以上に減少し、4月初旬以来の低水準となった。

 

米国市場では7月小売売上高が公表

6月の実績は前月比+7.5%だった。主要13項目のうち10項目で増加した。事業活動を再開した企業が増えていることや、失業保険給付の上乗せ措置などが個人消費の拡大につながったとみられる。この状況は7月も大きく変わっていないため、小売売上高は堅調さを保つとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:30   7月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比▲1.00%)
○15:30   7月スイス生産者輸入価格
○15:45   7月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比0.8%)
○16:00   6月トルコ経常収支(予想:30.0億ドルの赤字)
○16:00   6月トルコ鉱工業生産(予想:前月比4.7%)
○17:30   4-6月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲0.1%/前年同期比▲9.0%)
○18:00   6月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前126億ユーロの黒字/季節調整済145億ユーロの黒字)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比▲12.1%/前年比▲15.0%)
○21:30   6月カナダ製造業出荷(予想:前月比16.4%)
○21:30   7月米小売売上高(予想:前月比1.9%/自動車を除く前月比1.3%)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.5%)
○21:30   4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比6.2%)
○22:15   7月米鉱工業生産指数(予想:前月比3.0%)
       設備稼働率(予想:70.3%)
○23:00   6月米企業在庫(予想:前月比▲1.2%)
○23:00   8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:72.0)
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演

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