FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安を好感した買い継続

米中貿易摩擦が懸念される中、市場では『CTA(商品投資顧問)から売りが観測された』との指摘が聞かれ100円超下げた。ただ、外国為替市場で円安がやや進んだことを受けて機械関連株を中心に買戻しが入りプラス圏を回復した。その後も円安を好感して、上げ幅を拡大した。結局、前日比276円高の2万2555円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価の上げ幅拡大でリスク選好の円売り

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時100円を超えたことが嫌気され、一時109.85円まで軟化した。しかし、下値を追う動きが限られると、ショートカバーが持ち込まれて110円台を回復した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも円売り材料となった。午後は、日経平均株価が上げ幅拡大でリスク選好のドル買い・円売りが優勢となり、110.25円まで上昇した。米長期金利が2.90%台へ小幅ながら上昇したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で方向感に欠く動きとなり、欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの選挙を控えて:徐々に相場に織り込まれていることに注意

トルコリラ/円は、5月23日の22.22円安値示現後は、トルコ中銀の防衛的な利上げで、反発気味も上値を24.68円で抑えられ再び下落調整となっている。24日にトルコ大統領選・議会総選挙が開催されるが、ここでのエルドアン大統領の再選への懸念が、相場に売りを誘っている。エルドアン大統領は、19日も『投資を促進するためには利下げが必要であり、金利は引き下げる』と発言している。もし、今回の選挙で、エルドアン大統領が勝利した場合、トルコ昨年、議院内閣制から権限が拡大された大統領制に移行しており、権力を一手に握ることになることから、懸念が広がっている。ただ、一部世論調査では、大統領選には6人の候補が立候補しており、第1回の投票では、一回で勝利しておらず、もし過半数を握る候補が現れなかった場合、7月8日の決戦投票に焦点は移る。トルコ相場としては、トルコリラ相場は、第1回目で決着がつかなかった場合、一定の買戻しもあるだろうが、再選挙となるなら、7月8日までもみ合い相場となる可能性が高い。一方で1回で、エルドアン大統領が勝利下場合、トルコリラが売り込まれ、安値を更新するという見方もある。ただし、だいぶ相場に織り込まれていることには注意が必要となる。

 

泥沼化する米中貿易摩擦:落としどころが見えない状況

米国では7月6日から340億ドル規模の輸入品に賦課する。米国の警告にかかわらず、中国も500億ドル相当の製品に関税を課すと速やかに報復措置を発表した。トランプ大統領は関税が発動される7月6日までに、2国間合意にたどり着きたい考えだったとみられれる。しかし、トランプ大統領と中国の習主席の間で交わされた中国通信機器大手ZTE制裁解除に関して、米国議会が18日、阻止する法案を賛成85、反対10で可決した。ZTEは4月、イランや北朝鮮への禁輸措置違反に絡み、米国の半導体メーカーなどと取引を7年間禁じられ、操業停止に追い込まれた。しかし、米朝首脳会談を絡め、米中貿易協議の一環としてトランプ大統領が罰金支払いなどを条件に制裁解除を決めていた。議会のZTE制裁解除を阻止する法案成立には、下院との調整やトランプ大統領の署名が必要となるものの、状況は一転悪化した。トランプ大統領は声明を発表し、『もし中国が通商慣行の変更を拒否し、また同国が米国製品に対する追加関税を勧めると主張するなら、中国製品2000億ドル相当の追加関税を実施する』を主張した。また、最大で4500億ドルの追加関税を課す用意があるとした。対中貿易は4620億ドルにのぼるため、ほぼすべての製品を対象とする可能性がある。

 

米国市場では5月の中古住宅販売が公表

先行指標となる中古住宅販売成約指数は、最新4月に前月比▲1.3%と低下した。金利上昇による住宅ローン需要に打撃や、割安物件の減少、販売物件全体の在庫不足などが重石となる。一方で、同じ5月の住宅着工件数は、約10年ぶりの高水準に増加した。雇用や賃金の改善のほか、減税効果などが米国の住宅市場を下支えしている。先行きの金利上昇を警戒した駆け込み需要などもあり、中古住宅販売は打たれ強さを示す可能性もある。

 

欧米イベント

○15:00   5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.4%)
○16:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○17:00   5月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比4.6%)
○17:00   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○18:45   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○19:30   クーレECB理事、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:1290億ドルの赤字)
○22:00   5月ロシア失業率(予想:4.9%)
○22:30   ドラギECB総裁、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、黒田東彦日銀総裁、ロウRBA総裁、ECBパネル討議に参加
○23:00   5月米中古住宅販売件数(予想:前月比1.1%/年率換算552万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○未定   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○英中銀金融政策委員会(MPC、21日まで)

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