FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りや業績悪化を嫌気した売り優勢

小幅安でスタートした後、NYダウ先物の堅調推移を眺めてプラス圏に浮上した。しかし、2020年4-6月期の決算発表が本格化する中、ホンダなど業績が悪化した銘柄に売りが膨らんだ。また、2万2500円を超えた水準では利益確定や戻り待ちの売りも厚く、上値を追い切れなかった。NYダウ先物が上げ幅を縮小すると、日経平均は再びマイナス圏に沈んだ。総じて方向性を欠く展開となった。結局、前営業日比96円安の2万2418円と続落して終了した。東京証券取引所が発表した7月第5週(27日~31日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は4624億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりとなった。個人投資家は2831億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い相場継続

ドル/円は、前日発表された7月ADP全米雇用リポートの低調な数字で、米景気回復が遅れるとの見方からドル売りが先行し、105.45円付近へ下落した。しかし、追加経済対策を巡る米与野党協議の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などのドル買い・円売りが入り105.50円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数を睨みながら、105.50円前後でのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、欧米の景気格差を意識したユーロ買い・ドル売りが一巡すると1.1880ドル前後で小動きとなった。

 

GPIFの4-6月期の運用実績は12兆円台の黒字

公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4~6月期の運用実績が12兆円台の黒字となったことが5日分かった。1~3月期は四半期ベースで過去最悪の約17兆円の赤字だったが、一転して過去最高の収益となった。新型コロナウイルスの感染が広がる中、米国などが4月ごろから経済活動を再開し国内外の株価が上昇したことが要因である。

 

南ア債券離れがランドの押し下げ要因

ここ最近の南フリカ・ランドの押し下げ要因の一つとして、海外投資家の南ア債離れも一因とされている。7月末の非居住者の南ア債保有率は30.1%と6月の30.6%から再び下がっている。ムーディーズ格下げ前の1月の37.3%と比較すると、下げ幅はかなり大きくなっている。このような南アからの資金流出は今後も続く可能性が高い。また、昨日発表された7月のスタンダード銀行PMIは44.9となり、前回の42.5を上回ったが、景況の強弱を判断する節目50を割り込んだ。

 

トルコリラのオフショアスワップ市場で翌日金利上昇で売り

昨日トルコ祝日明けにリラのオフショアスワップ市場で翌日物金利が急騰したことで、一部の外国銀行によるリラ決済の不履行が報じられた。リラ金融市場の機能不全を投資家が嫌気し、為替市場ではリラを手放す動きが加速した。 昨日のイスタンブール株式市場は下げが一服したものの、トルコ債券への売りは継続され、国の信用リスクを示すソブリンCDSの5年物は続伸しました。一部報道では、トルコ当局が国内銀行を通じてドル売り・リラ買い介入を断続的に実施したと報じているが、これまでのところ効果はかなり限定的なままである。トルコ中銀の外貨準備高の枯渇が現実味を帯び始め、今後、他の中銀と通貨スワップ枠の設定や拡大ができなければ、リラの下値への警戒感は更に高まる可能性が高い。また、国際通貨基金(IMF)も今週発表したレポートで、リラの下落圧力が強まるなかでトルコの外貨準備高の低さを懸念している。

 

米国民の73%が『嫌中』になり米中対立激化の可能性

米ピュー・リサーチセンターの最新世論調査(6月16日-7月14日)によれば、武漢ウイルス感染症の発生以後、米国の反中感情は悪化の一途を辿り、今や米国民の73%が『嫌中』となった。中国は常に歯向かう国を見せしめとし、中国を怒らせた外国やその指導者は、会談や商談を拒否される。中国はこの数年、強く出れば相手が折れることを学び、それにより海外の批判を抑えてきた。こうした大胆で攻撃的になっている中国『戦狼外交』に対し、覇権国・米国に挑戦する中国と受け止める米国民が増え、それが「嫌中」感情の高まりを招いている。民意を汲み、劣勢挽回でトランプ大統領が対中『敵視政策』へ転換、保守系調査会社『ラスムッセン』のトランプ支持率は51%と久しぶりに50%台を回復した。米中対立はさらに激化する可能性がある。

 

米ドルの上値を抑える要因

ドルの上値を抑える要因としては、1つ目は新型コロナウイルスへの追加支援策の協議が米議会で難航していることである。 メドウズ米大統領首席補佐官は『金曜までに明らかな進展が見られない場合は、トランプ大統領は大統領令を発令する準備をする』とも発言している。もし、進展がなかった場合は米議会の混迷が深まるだけではなく、支援策の遅れで経済的なダメージも出てくる。2つ目は米中関係の悪化があげられる。昨日、米政府はアレックス・アザー米合衆国保健福祉長官が台湾へ訪問すると発表した。これに対して中国が激しく抗議をしているが、6年ぶりの米閣僚の訪台は米中関係をより悪い方向に導く。他にも新型コロナウイルスの感染拡大や、昨日はいったん落ち着いたが米国債への買い需要など様々なドル売り要因がある。また、本邦の夏季休業を前にして、輸出企業を中心にドル売り需要があることも上値を圧迫することになる。

 

米国市場では明日7日に7月雇用統計が発表:ネガティブサプライズに注意


市場の平均予想は失業率がと10.5%と、4月に14.7%と過去最高に達したのち、さらに低下が予想されている。非農業部門雇用者数は前月比+150万人と、6月に+480万人と過去最大の雇用増を記録したのち、伸びが鈍化すると見られているものの3カ月連続の増加が予想されている。先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の7月分は+16.7万人とかろうじて増加を保ったものの、6月+431.4万人から伸びが予想以上に鈍化した。地区製造業の雇用は減少から増加に改善しているものの、全米の製造業活動を示すISM製造業景況指数の雇用は44.3と6月42.1から小幅の上昇にとどまり、12カ月連続の50割れで活動は縮小のままである。また、米国経済は消費が7割を占めるため特に注目されるISM非製造業景況指数の雇用は42.1と、6月43.1から逆に低下した。5カ月連続で50を割り込み、活動の縮小は一段と拡大した。 7月は新型コロナウイルスが再燃し経済活動の再開が遅れ、企業は再度、従業員の解雇に踏み切らざるを得なくなった。雇用統計よりも労働市場の先行指標とされる失業保険申請件数は3月末に過去最大を記録したのち減少していたが7月中旬以降再び増加に転じた。トランプ大統領は 『7月の雇用統計は大きな数字になる』と期待しているが、先行指標は失業率が再び上昇、雇用者数も減少に転じるというネガティブサプライズの可能性も示唆しており、警戒される。

■市場エコノミスト予想失業率:10.5%(6月11.1%)非農業部門雇用者数:前月比+150万人(6月+480万人)民間部門雇用者数:前月比+150万人(6月+476.7万人)平均時給:予想:前月比-0.5%、前年比+4.2%(6月-1.2%、+5.0%)

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独製造業新規受注(予想:前月比10.1%/前年同月比▲18.5%)
○15:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは7450億ポンドで据え置き)
○15:00   MPC議事要旨
○15:00   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○15:00~   ベイリーBOE総裁、記者会見
○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:3.75%に引き下げ)
○17:30   7月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:57.0)
○20:30   7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:140.0万件/1690.0万人)
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、イベントに参加
○7日01:00   7月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)

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