FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:東京都で新規感染者が過去最多になり下げ幅拡大

前日に業績下方修正したファストリが大幅下落しことで日経平均株価を押し下げた。米国の新型コロナ感染拡大や東京都の新規感染者の過去最多更新等への警戒感や上海株の下落も投資家心理の重荷となり下げ幅を拡大した。また、東京都で新型コロナウイルスの新規感染者が240人以上確認され過去最多になったと伝わると下げ幅を広げた。さらに取引終了間際に『良品計画の米子会社が破産法を申請した』と報じたことも売りを誘った。結局、前営業日比238円安の2万2290円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は心理的節目の107円割れ

ドル/円は、日経平均株価の下落から短期筋などのドル売り・円買いが入り、107円台前半から107.01円近辺に下落した。ただ、心理的節目と見られる107.00円が意識されると、ドル売りは一服、107.05円を挟んでもみ合いとなった。午後は日経平均株価の下げ幅が100円を越えて拡大したことや、上海総合株価指数の下落を嫌気したドル売り・円買いが進み、107.0円を下抜けし、一時106.90円付近へ下落した。東京都で新型コロナウイルスの感染者が新たに240人以上と2日連続で過去最多を更新したことも、円買いを誘った。ただ、ドルが総じて主要通貨で強含んでいたことから、106.90-95円水準でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難となり1.1265-75ドル水準で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国ではバブル懸念とディスインフレが共存

年明け以降の中国経済は、新型肺炎感染拡大と感染封じ込めに向けた都市封鎖措置などの影響で景気に急ブレーキが掛かった。しかし、その後は感染収束により経済活動の正常化が進み、財政及び金融政策による景気下支えの動きもみられる。こうした動きに加え、香港問題を契機とする金融市場の不安定化阻止に向けた動きは、足下で株式を中心に資産価格が急上昇するなど『バブル』再燃が懸念される兆候がみられる。 一方、直近6月のインフレ率は前年比+2.5%とわずかに加速するも、政府目標(3.5%前後)を大きく下回る。コアインフレ率は前年比+0.9%に鈍化しており、雇用・所得環境の悪化や価格競争の激化がディスインフレ圧力を招いている可能性がある。さらに、商品市況の底入れは生産者物価を押し上げるも、家計部門のデフレマインドが幅広い財の出荷価格の重石となるなど、先行きもディスインフレ基調が定着する可能性もある。
足下の株式市場におけるバブル的な価格上昇は『官製バブル』の様相を呈しているが、政府は株式相場の上昇を煽る一方で過去のバブル崩壊を教訓にその萌芽を潰す動きもみせる。当面はバブル懸念とディスインフレ圧力が同居する奇妙な状況が続く一方、実体経済の動向がこれまで以上に重要になると見込まれる。

 

トルコと欧米との関係悪化懸念

週初にトルコを訪れたボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、欧州議会でトルコによる東地中海の資源開発を非難した。来週に開催されるEU外相理事会ではトルコへの追加制裁が話し合われる可能性は高まっており、制裁が現実味を帯びてくればトルコ側の反発も必至である。経済的に結びつきの強いEUとの関係悪化は、トルコ景気回復の大きな足かせになる。また一部報道では、米軍がキプロスの軍隊に訓練支援を行うと報じられた。同国は建国の経緯を含め東地中海でトルコと対立しており、トルコにとっては決して見過ごすことはできない。このところやや落ち着きを見せていた米国・トルコ関係だが、今後の行方が危惧される。

 

トランプ米大統領の姪の暴露本:7月14日に出版予定

トランプ米大統領の姪のメアリー・トランプ氏によるトランプファミリーの黒歴史を明かす回顧録『Too Much and Never Enough: How My Family Created the World’s Most Dangerous Man(私の家族はどうやって、世界で一番危険な男を作り上げたのか)』が、7月14日に出版される予定となっている。身内の姪による暴露本となり、11月の大統領選に向けて、内憂外患となる。トランプ米大統領の弟ロバート・トランプ氏が「出版は秘密保持契約に違反している」として、メアリー氏と出版社のサイモン・アンド・シュスターに対する一時差し止め命令を求めて提訴していたものの、ニューヨーク州第一審裁判所で却下された。

 

米大統領選が新たなブラックスワンの可能性も

11月に予定されている米国の大統領選挙が新たなブラックスワンとなりうる。最近の調査で、民主党の大統領候補バイデン氏がリードを広げ今のところどの世論調査でも20ポイント近くトランプ大統領をリードしている。バイデン氏は8日、ウイルス危機や社会危機が拡大する中、7000億ドル規模の『BUY AMERICAN』経済政策を発表した。製造業やイノベーションに力を入れる。トランプ大統領の『AMERICA FIRST』政策にも類似する。バイデン氏はトランプ減税を解消し、『企業はアメリカに公平に貢献すべき』と、増税や法人税の引き上げを示唆している。さらに、『株主の資本主義は終わらせなければならない』と訴えており、資本市場にとりプラスとは考えにくい。銀行など金融の規制が強化されることは必至と見られ、景気回復をさらに遅らせ、金融市場が急速に脆弱になる可能性が警戒される。 

 

米雇用指標からV字型回復への期待も再燃

米6月雇用統計が予想を上回るなど、一部ではV字型回復への期待も再燃している。米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数は前週比9.9万件減の131.4万件と前回141.3万件から予想以上に減少した。失業保険継続受給者数も1806.2万人と、前回1876万人から予想以上に減少し、4月中旬以来の低水準となった。しかし、ウイルス感染再拡大で、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官は経済回復の持続に一段と懐疑的見方を示している。ビジネスは注文を満たしているが新たな注文はない。また、7月末には失業保険申請件数の特別支給も終了する。FRBの数人の高官は、政府に支援策の延長の必要性を主張している。FRBの回復に慎重な見通しを受け、市場ではFRBが資産購入プログラムを拡大する可能性を期待しリスク資産市場を押し上げと共に、ドル売り圧力となっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.4%)
○15:45   5月仏鉱工業生産指数(予想:前月比15.1%)
○16:00   4月トルコ失業率
○20:00   5月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比1.8%)
○21:00   6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.30%)
○21:00   5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲37.8%)
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化70.00万人/失業率12.0%)
○21:30   6月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比▲0.2%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比0.4%)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○欧州連合(EU)経済・財務相理事会
○シンガポール総選挙

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