FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:東京都内の新規感染者100人以上を嫌気し売り

前日の米国株式市場でナスダックが上伸したことが好感され小高く始まったものの、失速してマイナス転換した。そこからしばらくは前日終値近辺で一進一退が続いた。ただ、アジア株の堅調スタートを確認すると上げ幅を広げる展開となった。しかし、午後に東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者が100人以上になったと伝わり、一時下落に転じる場面もあった。ただ、アジア株やNYダウ先物が堅調なこともあり、再びプラス圏に転じて推移した。結局、前営業日比24円高の2万2145円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価ながめ107円半ば前後でもみ合い

ドル/円は、米国で南西部中心に新型コロナの新規感染者が増加していることが嫌気され、107.34円付近まで下落した。しかし、今晩発表される米6月雇用時計を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、107.55円付近へじり高となった。午後は、日経平均株価の伸び悩みをながめ、107.45円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1260ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

フォルクスワーゲン(VW)はトルコでの工場建設の中止を発表

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、トルコで計画していた11億ドル規模の工場建設の中止を発表した。昨年10月のトルコ軍シリア侵攻に対する国際的な批判の高まりを考慮し、VWは新工場建設に関する最終決定を延期した。今回の中止決定は、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の停滞で、需要回復の見通しが立たないことが大きな要因である。自動車製造に力を入れるトルコにとってかなりの痛手であり、期待していた雇用創出も消えた。トルコへの外国からの投資減は通貨リラを買い難くする材料となる。

 

リビア情勢でトルコとフランスとの対立深まる懸念

リビア情勢でトルコと立場を異にするフランスは1日、地中海での北大西洋条約機構(NATO)の作戦参加を一時取り止めると発表した。先月、仏海軍の船がトルコ軍に妨害を受けたことが理由とされる。フランスはリビアでの権益を守ろうと必死であり、トルコが支援する暫定政権軍が現状優位とされるなか、今後もトルコに様々な圧力をかけてくると思われる。トルコは反発し続けるが、欧州連合(EU)主要国との溝の深まりは、欧州と経済的な結びつきが強いトルコ経済にとり決して望ましいことではない。

 

新型コロナウイルスのワクチンで良好なデータが得られる

米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックは1日、両社が共同開発している新型コロナウイルスのワクチン候補について、臨床試験(治験)の初期段階で、良好なデータが得られたと発表した。両社は4種類のワクチン候補のうち、開発が先行している1候補について、暫定的な治験データを公表した。それによれば、24人の健康な被験者にワクチン候補を2回投与したところ、実際に新型コロナに感染した人に通常見られる水準を超える抗体が確認できた。また、発熱や注射した部位の痛みなどの副作用が表れたものの、おおむね軽度から中程度だった。

 

米FRBはゼロ金利政策を維持する新指針を作成:YCCは後回し

米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナウイルスによる景気悪化を強く懸念し、ゼロ金利政策を長期にわたって維持する新指針をつくる。物価上昇率目標を緩め、2%を超えても当面は利上げをしないと明示する案が有力なっている。量的緩和の拡大も含め、7月末の次回会合で議論する。
前回FOMC会合では、中長期の金利に上限を設定する『イールドカーブ・コントロール(YCC)』の導入も議論した。FRBは中期金利に目標をつくる豪州型が望ましいとしたものの『YCCは政府債務の大量購入につながって、中央銀行の独立性に対するリスクを伴う』との異論も噴出した。FRBは第2次世界大戦時にYCCに踏み切り、低利の戦費調達を手助けした結果、その後のインフレを抑えきれなかった歴史がある。6月の前回会合では、YCCの効果やリスクをさらに検証していくと一致したものの、早期の導入には慎重な意見が強まりつつある。

 

米国市場では6月雇用統計が公表

市場は経済活動の再掲とともに労働市場の回復を期待している。しかし、先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の6月分は+236.9万人と、市場予想+290万人を下回った。ただ、5月分は+306.5万人と、速報の▲276万人からプラスに上方修正され過去最大の伸びを記録した。4月に過去最大の落ちこみを示し底入れ後増加傾向にあることは確かである。加えて、失業保険申請件数も減少傾向にあるとはいえ減少ペースは鈍い。ISM製造業景況指数の雇用も42.1と、4月に1949年来で最低に落ち込んだのち回復基調にあるものの11カ月連続で50割れで活動の縮小が示されている。アリゾナやフロリダなど数州でのウイルス感染の拡大で経済活動の段階的再開が中断、または、再開ペースが一段階前に戻されるなど雇用の増加が今後さらに停滞する可能性が懸念される。


■市場予想失業率:12.5%(5月13.3%)非農業部門雇用者数:前月比+307.4万人(5月+250.9万人)民間部門雇用者数:前月比+300万人(5月+309.4万人)平均時給:予想:前月比-0.8%、前年比+5.3%(5月-1.0%、+6.7%)

 

欧米イベント

○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○18:00   5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.5%/前年比▲4.8%)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:7.7%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:310億ランドの赤字)
○21:30   5月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○21:30   5月米貿易収支(予想:530億ドルの赤字)
○21:30   6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化300.0万人/失業率12.3%/平均時給、前月比▲0.7%/前年比5.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:135.5万件/1900.0万人)
○22:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   5月米製造業新規受注(予想:前月比8.7%)
○3日02:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○米債券市場は短縮取引
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ