FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は乱高下するも堅調地合い継続

前日の米国株式市場で主要3指数がそろって上昇し方向性が出たことが好感され、全体的にしっかりでスタートした。しかし、前場中盤にナバロ米大統領補佐官の発言を受けて急速に値を消す場面があったものの、直ぐに落ち着きを取り戻し、乱高下する場面がありながらも堅調地合いとなった。結局、前営業日比111円高の2万2549円で反発して終了した。

ナバロ大統領補佐官が中国との通商合意は『終わった』と述べたことを嫌気し急落したが、トランプ大統領がその後、中国との通商合意は全くの無傷だとツイートし、市場では安心感が広がった。

 

東京外国為替市場:ナバロ米大統領補佐官発言で乱高下

ドル/円は、ナバロ米大統領補佐官が米メディアの番組で『中国との通商交渉は終わった』『中国が新型コロナについてより早い段階で警笛を鳴らさなかった』などと発言した。これを受けてドル/円は、米中関係のさらなる悪化を警戒したドル売り・円買いが先行して106.70円付近まで下落した。しかし、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが入り、106.90円台へ切り返した。その後も、ナバロ米大統領補佐官がこの報道の火消しに走り、発言を修正すると、さらにドル買い・円売りが進んで107.20円付近へ上昇した。トランプ米大統領がツイッターに『中国との貿易合意は全く損なわれていない』と投稿したことも、リスク選好の円売りを誘った。午後は、日経平均株価をにらみながら、107.10円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州時間に発表されるフランスやドイツの指標を控えた利益確定などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.12ドル台後半から1.12ドル半ばへ水準を切り下げた。

 

Tモバイル株の現金化で巨額の円転材料:ソフトバンクグループ

今年4月1日、米携帯電話3位のTモバイルUSとソフトバンクグループ傘下の同4位スプリントとの合併手続き完了が発表された。新会社名は『Tモバイル』で、業界順位は第3位となった。 一部報道は今月16日、ソフトバンクグループが約3億株(全体の24%)所有するTモバイル株の現金化を検討していることを報じた。全て売却するとなれば300億ドル規模となる。現金化は自社株買いと投資先の価値の下落による負債の削減のためとされ、そうなれば巨額の円転(ドル売り・円買い)が見込まれる。

 

南アランドの失業率発表では動意薄い可能性も

週末に南アの財政赤字が2025年には対GDP比で100%を超えると、Business for South Africa(B4SA)が発表したことがきっかけとなり一旦は売り優勢となったが、昨日の米国株が堅調推移したことから、買い戻しの展開となった。本日は発表が延期されていた1-3月期の南アフリカ失業率が発表される。ウイルス感染がまだ南アでは広がっていなかったほか、大規模ロックダウンも行っていなかったため昨年の10-12月期(29.1%)近辺になるとの予想が多くなっている。そのため、今回の指標ではその後の実体がつかめずランドが動くのは難しが、4-6月期が注目されることで、その発射台となる数値のため参考にするべき指標とはなる。また、明日に南ア政府特別予算の発表を控えていることもあり、様子見ムードが強まる可能性がある。

 

欧州市場では6月ユーロ圏製造業購買部担当者景気指数(PMI)が公表

各国で経済活動が拡大しつつあることから、5月実績の39.4を上回る可能性が高いとみられる。5月時点で今後の生産見通しは上昇しており、6月中に原材料の購入は大幅に増加すると予想されていることから、全体的には5月実績を大幅に上回る可能性がある。

 

復興基金を巡りEU内の亀裂があらわに

欧州委員会による復興基金の原案発表後で初となった19日のEU首脳会議では、加盟国間の意見相違が改めて浮き彫りとなり、具体的な進展のないまま終わった。7月に再度、対面の首脳会議を開催する予定で、それまでにミシェル常任議長(いわゆるEU大統領)が中心となり、加盟国間の意見調整をする。復興基金の規模、給付と融資の割合、配分の決定方式、新税の返済充当の是非、EU予算のリベートなどが主な争点となる。

 

米5月中古住宅販売件数は10年ぶり低水準も底入れ期待

全米不動産協会(NAR)が発表した5月中古住宅販売件数は前月比9.7%減の391万戸となった。3カ月連続の減少で、2010年10月来で最小となった。前年比では26.6%減少した。もっとも、前年比での下落率は金利水準が14%近くとなっていた1982年以来で最大を記録した。 パンデミックで在庫は前年同月比18.8%減少した。中間価格は前年同月比2.3%高の284600ドルとなった。供給のひっ迫が価格を吊り上げたものの、伸びはリセッションから回復し始めた2012年2月来の低水準にとどまった。低価格帯住宅の売上ペースが加速する一方、高価格住宅の売り上げが滞っているためである。
ウイルスパンデミックによる経済封鎖で失業者が増え、住宅ローン不履行も2011年以降9年ぶり高水準に跳ね上がっており、金融安定のリスクにもつながりかねない。同時に、NARのチーフエコノミストは6月に入り経済活動が再開しているほか、経済に大規模な刺激策が注入されており、住宅市場は5月が底になり、購入者や供給が戻ってくる自信があると楽観的見方を示している。

 

米国市場では6月製造業購買部担当者景気指数(PMI)が公表

参考となる5月実績は39.8、4月の36.1から改善した。生産指数と新規受注指数は4月から改善したことが要因である。6月については、米国各州で経済活動が再開されており、新規受注は一段と増加することから、全体の数字は大幅に改善する可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、証言
○16:15   6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:46.0)
○16:15   6月仏サービス部門PMI速報値(予想:45.2)
○16:30   6月独製造業PMI速報値(予想:42.5)
○16:30   6月独サービス部門PMI速報値(予想:42.3)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:45.0)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:41.5)
○17:30   6月英製造業PMI速報値(予想:45.0)
○17:30   6月英サービス部門PMI速報値(予想:39.5)
○17:45   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○22:45   6月米製造業PMI速報値(予想:50.0)
○22:45   6月米サービス部門PMI速報値(予想:48.0)
○22:45   6月米総合PMI速報値
○23:00   5月米新築住宅販売件数(予想:前月比2.7%/64.0万件)
○23:00   6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲2)
○24日02:00   米財務省、2年債入札
○24日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、ディスカッションに参加

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