FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物の下落に連れた売り優勢

米中の新型コロナウイルス感染『第2波』懸念に売りが優勢となった。また、アジア株安や時間外取引のNYダウ先物の下落が投資家のリスク選好姿勢を後退させた。日経平均株価は3月に底値を付けてから先週までほぼ一本調子で上昇してきたこともあり、過熱感を冷ますための健全な調整とみる向きも多い。NYダウ先物が午後から下げ幅を拡大すると日経平均株価も下げ幅を広げた。結局、前週末比774円安の2万1530円と3日続落して終了した。この3日間で1594円下落している。

 

東京外国為替市場:株価下落でリスク回避の円買い強まる

ドル/円は、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増していることや、北京の食品卸売市場でも新型コロナの集団感染が確認されたことを背景に、107.15円付近へじり安となった。日経平均株価の続落やアジア株安も、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅安を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、107.00円付近まで下落した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、107.10円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の下げに連れ安となり、1.1240ドル付近へ値を下げた。

 

中国は次世代技術に巨額投資:米国との覇権争い激化懸念広がる

中国が次世代技術の開発に向けて、巨額投資に本腰を入れ始めた。米国に先駆けて中核分野で覇権を握る狙いがある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、北京市や上海市の地方政府のほか、十数の地方自治体が今年に入り6兆6100億元(約99兆9700億円)規模の投資を表明した。当局の要請を受けて、中国企業も資金を投じる方針を発表している。中国工業情報省(MIIT)が今年明らかにした計画では、人工知能(AI)やデータセンター、モバイル通信などの分野に集中投資を行う。

 

イラクの石油大手は追加減産に合意:協調減産合意の順守率高める狙い

イラクは同国南部の大型油田を操業する石油大手と6月の追加減産について合意した。油田を担当するイラク政府関係者らが14日、明らかにした。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する『OPECプラス』による協調減産合意の順守率を高める狙いがある。具体的には、ロシア石油大手ルクオイル(LKOH.MM)が操業する西クルナ2油田について、6月13日から生産量を追加で日量5万バレル減らし、同27万5000バレル程度にすることで同社と合意した。関係者らによると、ルクオイルは5月にイラク石油省の要請で日量7万バレルの減産を実施した。4月の生産量は約39万500バレルだった。

 

英国と欧州連合(EU)の離脱交渉の進展に注目が集まる

英国と欧州連合(EU)の将来的な関係を巡る交渉の進展に注目が集まる。5日に終了した第4ラウンドの交渉は、EUが求める環境・労働基準の統一など公正な競争条件の確保や英領海での漁業権へのアクセスに英国が引き続き抵抗し、大きな進展が見られなかった。双方の溝が埋まらない状況が続いているが、12月末までとなっている移行期間を延長するかどうか今月末までに決めなければならない。英国は延長を求めない方針を崩しておらず、妥結できないまま年末を迎えると、英・EU間の貿易には翌年から関税が発生し、新型コロナの打撃を受けた経済はさらに悪化し、社会に混乱を招く事態が懸念される。第5ラウンドの交渉は対面で行われる可能性があり、双方は交渉の加速に意欲を示している。月内に開かれるジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長、ミシェルEU大統領の会談で、今後の交渉の進め方などを協議する見込みで、この会談での打開を期待する声もある。

 

米国がメキシコとの国境封鎖ならペソの重石

メキシコ国内での感染者数は昨日も過去最高を記録するなどペースは収まらないうえ、米国でもメキシコ国境に近いテキサス州などで爆発的な感染拡大がみられており、経済再開への懸念が一段と高まっている。先週末に米ホワイトハウスがテキサス州などでの感染について、『経済活動再開というよりも、メキシコからの旅行者が大きく影響を与えている可能性がある』との見解を示し、メキシコとの国境閉鎖の可能性も浮上してきた。そうなると、ペソにとっては重石となるため、今後の動向には注意が必要である。

 

YCC導入の場合はドルの下支え要因となる可能性も

10日に開催された米連邦準備制度理事会(FRB)による米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ゼロ金利の長期化方針とイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)導入議論の継続が示唆された。そのため、円高にプラスしてドル安も意識される環境となった。しかし、実際に長期金利の低位抑制につながるYCCが採用されるとなれば、米国の株価や不動産などのリスク資産にはプラス効果をもたらす。また、米長期国債の債券価格についても、長期の安定化や値上がりが期待されやすい。
さらに、米長期金利の長期に及ぶ低位定着は、米国内外の長期運用型投資家から運用難対策として、米国の高配当株、長期の安定配当実績がある米国の公益株などへの需要を高めていく。YCC導入の場合、こうした米国資産は日本勢から見た円換算でも、米国債の価格や米国の高配当株、公益株などに関して、ドル安・円高に伴う為替差損を凌駕する上昇リターンが得られる成長可能性を秘めている。ドル/円ではドルの下支え要因となる可能性も残されている。

 

欧米市場イベント

○15:30   5月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比▲1.20%)
○15:30   5月スイス生産者輸入価格
○18:00   4月ユーロ圏貿易収支(季節調整済/季節調整前)
○21:30   4月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲20.0%)
○21:30   6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲30.0)
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○16日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○16日05:00   4月対米証券投資動向

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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