FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:景気回復期待と円安を好感した買い優勢

米経済指標改善に景気回復期待から前日のNYダウ527ドル高の3日続伸を受け投資家のリスク選好姿勢が強まり円安も追い風となり景気敏感株中心に幅広い銘柄に買いが入った。しかし、後場になると非常事態延長による景気悪化を織り込み日本株『売り持ち』を積み上げた海外短期筋など売り方の空売り比率が低下し買い戻しの余地が徐々に狭まり、3日続伸による過熱感から利益確定売りに押される展開となった。結局、前日比82円高の2万2695円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:一旦利食い売りに押されるも再び109円台を回復

ドル/円は、高値警戒感から利食い売りなどに押され、108.80円付近まで下落した。仲値に向けて国内輸出企業のドル売り・円買いも散見された。しかし、世界的な景気回復への期待が高まっていることから、ドル売り・円買いは続かず、108.90円を挟んでもみ合いとなった。午後は、ECB理事会や5月米雇用統計を控えたポジション調整などのドル買い・円売りが持ち込まれ、109.10円付近へ上昇した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動に終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本銀行の総資産残高は8年連続で過去最高

日銀は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて追加金融緩和に踏み切り、上場投資信託(ETF)を大量に買い入れたことで、3月末の保有額は時価換算で過去最高の31兆2203億円となった。日銀は、東証1部に上場する株式時価総額の5%余りを保有することになり、日本最大の株主となった。
 国債の保有残高は、485兆9181億円だが、無制限に購入することになり、第2次補正予算に伴う過去最大規模の国債発行(約212兆円規模)も買い取る可能性があることで、国内総生産(GDP)の552兆円を上回ることは必至となっている。
 すなわち、日本銀行は、民間企業が発行する株券という支配有価証券の最大の保有者となり、国が発行する借用者の最大の保有者となる。

 

中国景気回復期待で銅・アルミニウム価格市況回復

中国メディア財新と英IHSマークイットが3日発表した民間版の中国5月非製造業PMI(購買担当者景気指数)が前月比10.6pt上昇の55.0と好不況境目の50を上回り10年10月以来の高水準を回復したことで中国景気の回復期待が高まり世界経済の先行指標『ドクター・コッパ―』こと銅価格やアルミニウムなど国際商品市況が回復している。3日のロンドン金属取引所(LME)で銅先物が、前日比34.5ドル(0.6%)高の1トン5522ドルと3月13日以来の高値を更新している。

 

欧州市場ではECB定例理事会が開催

今回のr次回では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う景気の落ち込みに対応するため、量的金融緩和政策の拡大について議論される見込み。ラガルド総裁は、2020年のユーロ圏域内総生産(GDP)は、前年比▲10%超の大幅な落ち込みとなる可能性があると指摘しており、バンデミック緊急購入プログラム(PEPP)については現行の7500憶ユーロの買い入れ枠を倍増することもあり得る。

 

メキシコペソ高でも国内情勢は予断を許さない状況

メキシコペソ/円は、世界的な経済活動の再開で景気の持ち直し期待が高まるなか、欧米株式相場の大幅高に伴い、投資家のリスク志向改善を意識した買いが入った。しかし、メキシコでは新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が3891人と過去最多となっている(累計では9万7326人)。また、エレラ財務公債相は前日に『メキシコの景気回復ペースは今回の悪化ペースと比較して緩やかなものになる』と言及している。V字回復には至らないとの見方を示している。そのため、メキシコの国内情勢は依然として予断を許さない状況が続いている。

 

米経済指標は最悪でも予想ほどではないことを好感

米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM非製造業景況指数は45.4と4月41.8から予想以上に改善した。同時に、2カ月連続で50を割り込み活動は縮小した。同時刻に米商務省が発表した4月製造業受注は前月比▲13.0%と3月▲11.0%から一段と悪化し、過去最悪の落ち込みとなった。市場予想▲13.4%は上回った。
米4月耐久財受注改定値は前月比▲17.7%と、予想外に速報値▲17.2%から下方修正され14年8月来で最大の下落した。変動の激しい輸送用機を除いた耐久財受注改定値も前月比▲7.7%と予想外に速報値▲7.4%から下方修正され景気後退時の2009年1月来で最大の下落率を記録した。また、国内総生産(GDP)の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比▲5.7%と、速報値▲5.4%から下方修正されやはり2009年1月来で最大の下落率となった。
事前にマークイットが発表した米国の5月サービス業PMI改定値は37.5と、速報値36.9から予想以上に上方修正された。過去最低となった4月から回復したものの、50を4カ月連続で下回った。5月総合PMI改定値も37.0と速報値36.4から上方修正されたが、4カ月連続の50割れとなった。

 

NY州も徐々に経済活動の再開

米ニューヨーク州のクオモ知事は3日、経済再開に向けた計画の第2段階で外食を認める方針を発表した。州内10地域のうち7地域で4日からレストランの営業が可能となる。新型コロナウイルスの流行を受け停止された経済活動の再開計画では、レストランなど飲食サービス業の全面的な再開は第3段階まで予定されていないが、資金繰りの悪化で苦しむ事業を支援するため、レストランなどホスピタリティー業界や一部の議員らは外食を認めるよう働き掛けてきた。ニューヨーク市は8日から経済再開計画の第1段階に入る予定で、今週から外食が認められる地域には含まれていない。

 

米国市場では5日に5月雇用時計が公表:急激な景気後退終了を示唆するか

市場予想では非農業部門雇用者数が前月比800万人減と過去最大の減少となった4月の2053.7万人減から回復が見込まれる一方で、失業率は19.5%と、大恐慌以来で最高に達する公算となる。先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分は276万人減と、過去最大に落ち込んだ4月の1955.7万人減から予想900.0万人減以上に改善した。最新の週次失業保険申請件数でも解雇ペースの鈍化が示されたほか、経済活動の再開に伴い雇用も再開されている。一方で、米国経済の7割を消費が占めるため注目されるISM非製造業景況指数の5月分の雇用は31.8と4月の30.0から小幅の上昇にとどまっている。3カ月連続で50を下回り活動の縮小を示しており6カ月平均は45.4となっている。速やかな回復には程遠いとの見方も根強い。全米の製造業活動を示すISM製造業の雇用は32.1で戦後最低となった4月の27.5から上昇も10カ月連続の50割れで活動は縮小、2009年3月以降で2番目に低水準となった。5月各地区製造業景況指数の雇用の大幅改善は、労働市場が底入れしたさらなる証拠になる。5月雇用統計では、雇用の底入れが確認できるかどうかが焦点となる。

 

◆市場予想:失業率19.5%(4月14.7%)、非農業部門雇用者数:▲800万人(4月▲2053.7万人、民間部門雇用者数:前月比▲725万人(4月▲1955.7万人)、平均時給:前月比+1.0%、前年比+8.5%(4月+4.7%、+7.9%)

 

欧米市場イベント

○15:30   5月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:29.4)
○18:00   4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲15.0%/前年比▲22.3%)
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   4月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○21:30   4月米貿易収支(予想:490億ドルの赤字)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲2.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:184.0万件/2010.0万人)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

 

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