FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は下落:週末・月末を迎え調整売りがでやすい地合い

前日まで急ピッチで上昇して週末・月末を迎えたことから調整売りが出やすいタイミングだった。トランプ米大統領が中国に関する記者会見を予定していることも米中対立の先鋭化にチアする懸念を誘い上値が重くなった。ただ、日銀のETF買いに対する思惑や押し目買い観測などもあり、下押しも限定的だった。また、トランプ米大統領が29日に開く伝わっている米中政策に関する記者会見について『経済への影響を含めた内容を見極めたい』との声が聞かれ、様子見姿勢が強まった。結局、前営業日比38円安の2万1877円と5営業日ぶりに反落して終了した。東証一部の売買代金が4兆6423億円(概算)となり、2ヵ月半ぶりの高水準を記録した。

 

東京外国為替市場:米中関係悪化の警戒感からドル売り傾向

ドル/円は、本日予定されているトランプ米大統領の記者会見で、米中関係が一段と冷え込むとの警戒感から調整色が強まり、107.35円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業から月末に絡む大口のドル売り・円買いも観測された。午後もこの流れが続き、一時107.05円付近まで下落して18日以来の安値を付けた。しかし、心理的な節目の107.00円が視野入りすると、下げは一服した。その後は、日経平均株価の持ち直しを眺めたドル買い・円売りみ見られ、107.10円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、欧州委員会が提案している大規模な経済復興計画を期待したユーロ買い・ドル売りが続き、一時1.1110ドルまで上昇した。米長期金利が低下したことも、ドル売り要因となった。

 

日本株に個人マネーが向かう

相場急落時に買い向かった個人投資家の信用評価損益率が5月15日時点で約3ヶ月ぶり水準まで回復し、相場急落とその後の株価反発に上手く乗れた個人投資家の『買うから上がる、上がるから買う』の好循環が発現している。待機資金の受け皿MRF(マネー・リザーブ・ファンド)は5月25日時点で約11兆6000億円と昨年末から1兆円減少、現物株中心に日本株に個人マネーが向かい、インターネット証券大手5社合計の3月の新規口座開設数がコロナ感染前の1月比で倍増、新規層の記録的な流入も個人比率の上昇に繋がった。

 

歴史的な黒点極小期に突入:自然現象にも影響している可能性も

太陽は、2019年に、太陽黒点が出現しない日の比率が太陽観測史上で最大を記録したことで、歴史的な黒点極小期に突入している。米NASAは、次の太陽活動周期サイクル25は『過去200年間で最も弱くなる』という予測を発表している。太陽活動の停滞を意味する太陽黒点の減少は、地球の火山活動の活発化、地震の頻発化、海流パターンの変化に呼応する。 1921年の極小期の2年後の1923年には、関東大震災が発生し、1996年の極小期の1年前には、1995年の阪神淡路大震災が発生、2008年の極小期の3年後には、2011年の東日本大震災が発生した

 

メキシコ貿易赤字は過去最大

メキシコ国家統計地理情報局(INEGI)が25日に発表した4月メキシコ貿易収支は30.87億ドルの赤字となり、3月の33.98億ドルの黒字から大幅に悪化した。季節調整済みでは42.93億ドルの赤字となり、3月の18.73億ドルの黒字から悪化した。赤字幅は1991年の統計開始以降で最大を記録した。
内訳をみると輸出が37.7%の減少、輸入も21.9%の減少となっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかったことを示している。メキシコでは主要産業である自動車産業などが稼働再開に向けた動きを見せているが、市場では『世界的な需要の低下とサプライチェーンの混乱により、今後も輸出入は弱まる』との声も聞かれている。


トルコリラは他中銀との通貨スワップ設定・拡大の協議次第

トルコ中銀は4月外貨準備高・流動性報告で、市中銀行からの外貨借り入れ(1年未満の通貨スワップ)が3月から59億ドル増加し、355億ドルに達したことを明らかにした。この額はトルコ中銀の外貨準備高(グロス、金保有高を含む)の約4割に相当するとされた。その外貨準備高ですが、4月は前月比で15.5%減少し、かなり積極的なリラ買い・ドル売り介入を実施していたことがうかがえる。トルコ中銀の外貨準備高の減少傾向が止まらないなかで、為替介入も限界がある。他中銀との通貨スワップ設定・拡大の協議が進展しないようであれば、市場は再びリラ売りを強める可能性はある。

 

米国住宅市場では需要が回復している兆候も

全米不動産業者協会(NAR)が発表した4月の中古住宅販売成約指数は前月比‐21.8%となった。3月-20.8%から改善予想に反して一段と低下し、2010年5月来で最大の下落率となった。同指数は契約時点での統計となるため今後1.2カ月の中古住宅販売の先行指数をして注目される。新型ウイルスパンデミックの影響で外出が自粛されたことにより、一段と活動が鈍化した可能性が示唆された。2019年4月に比べて‐33.8%と、NARの統計開始以降、最大の下落率を記録した。一方で、需要がすでに回復している兆候が見られ、住宅市場にとり朗報となる。外出規制で在宅勤務が増え都会から郊外の家屋に買いかえる動きが活発化しているほか、雇用への不安は残るが住宅ローン金利が過去最低水準となっていることは住宅市場を支援する。

 

昨日の米国経済指標:1-3月期GDPは金融危機以来最大の落ち込み

米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数は前週比‐32.3万件の212.3万件と予想210.0万件を上回った。過去10週間の申請件数は4000万超に達した。一方、失業保険継続受給者数は2105.2万人で、前回2491.2万人から増加予想に反して減少し、4月24日来で最低となった。米商務省が発表した1-3月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率‐5.0%と、予想外に速報値-4.8%から下方修正され2008年金融危機以来最大の落ち込みとなった。一方、1-3月期個人消費改定値は前期比年率-6.8%と、速報値-7.6%から予想以上に上方修正された。4月耐久財受注速報値は前月比‐17.2%と過去最低を記録した2014年8月来で最低となったものの予想-19.0%は上回った。変動の激しい輸送用機除いた4月耐久財受注速報値も前月比-7.4%と過去最低となった2009年1月来で最低となったが、予想-15.0%程、悪化しなかった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)速報値は前月比-5.4%と過去最低を記録した2009年1月来で最低。予想-12.2%は上回った。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独輸入物価指数(予想:前月比▲1.4%/前年比▲7.2%)
○15:00   4月独小売売上高指数(予想:前月比▲12.0%/前年比▲14.0%)
○15:00   4月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.60%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比0.3%)
○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比▲15.0%)
○15:45   1-3月期仏GDP改定値(予想:前期比▲5.8%)
○16:00   5月スイスKOF景気先行指数(予想:70.0)
○16:00   4月トルコ貿易収支(予想:39.6億ドルの赤字)
○16:00   1-3月期トルコGDP(予想:前年比4.9%)
○16:30   1-3月期スウェーデンGDP(予想:前期比▲0.3%)
○17:00   5月ノルウェー失業率(予想:6.9%)
○17:00   4月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比8.2%)
○18:00   5月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比0.1%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.8%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:105億ランドの黒字)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比2.1%)
○21:00   1-3月期ブラジルGDP(予想:前年同期比▲0.3%)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比▲9.0%/前年比▲3.4%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比▲10.0%)
○21:30   4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲2.0%)
○21:30   4月カナダ原料価格指数
○21:30   4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲12.6%)
       4月米個人所得(予想:前月比▲6.5%)
       4月米PCEデフレーター(予想:前年比0.5%)
       4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比▲0.3%/前年比1.1%)
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.0)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:74.0)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討議に参加
○トランプ米大統領、中国について記者会見

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