FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引けにかけて上げ幅拡大で終了

米国株の大幅高を素直に好感して寄り付きから3桁上昇した。米国同様に金融株が上昇の先導役となり、高く始まった後も上げ幅を広げた。アジア株が概ね堅調なスタートとなったことを確認すると一段と上方向への勢いを強め、高いところでは21900円台に乗せる場面もあった。一方、マザーズ指数は下落スタートから下げ幅を広げており、日経平均とは対照的な動きとなった。日経平均株価は引けにかけて上げ幅を拡大して終了した。結局、前営業日比497円高の2万1916円で終了した。東証1部売買代金も3兆円を超える大商いとなった。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く107円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、107.90円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場で付けた107.95円が上値目処と意識されると上げ幅は一服となった。その後は、香港情勢をめぐる米中の対立激化を警戒したドル売り・円買いも見られ、107.80円を挟んだもみ合い相場となった。午後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、107.80円台を中心とした狭いレンジ内での展開となった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀保有のETFに大規模含み損から含み益へ

日銀は27日、2020年3月期決算を公表した。3月末時点で保有していた上場投資信託(ETF)の時価と簿価の差額である評価損益は、3081億円の含み益となった。コロナウイルスの感染拡大を背景とする株価急落で一時3兆円規模の含み損が出ていたが、辛うじて損失を回避した格好だ。もっとも、昨年9月末時点では約4兆円の含み益を計上しており、コロナショックでその大部分が吹き飛んだ。

 

ジョンソン英国首相の支持率がマイナスまで急落

3月初旬20%台から30%に上昇し始めたジョンソン首相の支持率は、同月23日・ロックダウン(都市封鎖)が実施されたころには、指導力への期待から40%台まで上昇。しかしながらその後は4月8日(新型コロナに首相が感染し入院中)の47%をピークとし、支持率は低下傾向となる。英国で新型コロナ感染による死者数が増加し、死者数合計が2万人を超えた辺りから首相支持率も下落幅を広げ始めた。5月初旬に死者数合計が欧州最大となり、ついに3万人を上回ると支持率は20%台まで沈んだ。21日に10%割れまで下げた後はやや持ち直していたが、外出禁止違反(400キロ以上の長距離移動)をした首相側近のドミニク・カミングス上級顧問を擁護したことで、支持率はマイナスまで急落した。

 

ラガルドECB総裁発言から次回ECB理事会で追加緩和観測が浮上

欧州中銀(ECB)ラガルド総裁が27日開催の若者との対話集会でユーロ圏20年の実質GDP成長率がマイナス8-12%との見通しを示した。ECBは新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化の3つのシナリオとしてGDPマイナス幅を5%、8%、12%を提示し、これまでECBはマイナス5-12%を予想してきたが、経済活動再開の遅延により厳しい見通しとなり、8-12%の着地の可能性が高まり、6月4日の次回ECB理事会での追加緩和観測が浮上している。

 

香港及び台湾問題が米中対立の火種となる可能性も

米中両国は1月に『第一段階の合意』に至ったが、内需低迷による輸入鈍化で足下の中国の対米貿易黒字は拡大している。大統領選を控え、トランプ米大統領は対中制裁の「戦果」と期待した対中赤字の縮小が進まず、対中姿勢を硬化させる可能性が高まっている。 他方、ここ数年の米中間では人権問題も懸案事項となっており、昨年の香港での民主化デモ激化の動きはその流れを後押ししてきた。先週に開幕した全人代では中国政府が香港に対する『国家安全法』が審議されており、同法設立により『一国二制度』の形骸化が懸念される。 また、台湾問題でも中国政府は統一に向けて態度を硬化させる姿勢をみせている上、国防費増強はそれを後押しする懸念もある。米国では議会を中心に対中姿勢を硬化させる動きがみられ、香港及び台湾問題が対立の火種となる可能性にも要注意と言える。

 

米国消費者信頼感指数が景気後退の最終局面を示唆

米国5月消費者信頼感指数は86.6と、予想87.0を下回った。4月から上昇したものの、5月分は85.7と、速報値の86.9から下方修正された。現況指数の低下が全体指数を押し下げた。新型コロナウイルス感染拡大を回避する目的の経済封鎖で失業率の急増した。労働市場や経済の見通しが急激に悪化し現況指数は71.1と、2013年8月以降7年ぶり低水準に落ち込んだ。4月分は従来の86.9から85.7へ下方修正された。一方で、期待指数は96.9と、2カ月連続で上昇し2月以来の高水準を回復した。4月分は94.3と、従来の93.8から上方修正された。経済活動の再開が始まったことや株式相場、原油価格の反発に期待感が広がった。過去3回のリセッションのうち2回は、下降期の最終局面において消費者期待指数が現況を大幅に上回る傾向がある。このため、5月消費者信頼感は、今回のリセッションが終盤にあることを示唆している可能性があり注意深く楽観的になれる。ただ、ウイルスの見通しが不透明で、第2波に見舞われると、景気が一段と悪化、FRBも警戒する恐慌入りする可能性は警戒される。さらに、労働市場の急激な悪化も依然リスクとなり得る。

 

米国市場では1-3月期国内総生産(GDP)改定値が公表

参考となる速報値では個人消費と企業設備投資が急激に落ち込んでいた。改定値では企業設備投資か在庫投資が上方修正される可能性あるとみられているが、住宅投資は下方修正される可能性があるため、全体の成長は速報値と同水準にとどまる見込となっている。

 

米国市場では4月耐久財受注が公表

3月実績は前月比▲14.4%で予想以上の落ち込みとなった。民間航空機受注の大幅な減少が要因となった。民間設備投資の先行指標とされるコア資本財の受注は減少しなかった。4月は、国防関連を除く耐久財受注は企業設備投資の減少が予想されており、全体的に3月実績を下回る可能性が高い。コア資本財の受注も減少する見込み。

 

欧米イベント

○未定 ◇ 5月月例経済報告
○16:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:00   5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:70.3)
○18:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲18.8)
○18:30   4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比2.7%)
○19:00   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.1%/前年比0.6%)
○21:30   1-3月期カナダ経常収支(予想:100.0億カナダドルの赤字)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率▲4.8%)
           個人消費(改定値、予想:前期比年率▲7.5%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比年率1.8%)
○21:30   4月米耐久財受注額(予想:前月比▲19.0%/輸送用機器を除く前月比▲14.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:210.0万件/2575.0万人)
○23:00   4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲15.0%/前年比▲28.1%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○29日04:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○中国全国人民代表大会(全人代)閉幕

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