FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済活動再開と第2次補正予算を好感した買い優勢

前日の米国株式市場が上昇したほか、引き続き国内での経済活動再開に対する期待が大きく、堅調な地合いが継続した。ただ、これまでの急速な上昇に対して警戒感も台頭、第2次補正予算の内容が明らかになったことを受けて上値を追う場面があったものの、前場引けにかけて上値が重くなった。午後からは買い継続的に入り上げ幅を広げる展開となった。結局、前日比148円高の2万1419円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時100円を超えたことが嫌気され、107円台半ばから107.37円付近へ下落した。しかし、22日に付けた107.32円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、107.60円付近まで持ち直す展開となった。ただ、中国が『国家安全法』を香港へ適用する方針を示し、米中の対立激化が懸念されていることから伸び悩み、107円半ばで取引された。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向をにらみながら、107.50円を挟んでもみ合い相場が続いた。ユーロ/ドルは、欧州委員会が本日発表する1兆ユーロ超えの復興計画を見極めたいとの雰囲気もあり、1.09ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

中国の経済はまちまちの回復

中国国家統計局が発表した4月の工業部門企業利益は、前年同月比4.3%減の4781億元(約670億ドル)となった。3月は34.9%減だった。1-4月の利益は前年比27.4%減の1兆2600億元となった。3月末時点の工業部門企業の負債は前年比6.2%増加となった。3月末時点は5.4%増だった。中国経済は厳格な新型コロナウイルス封じ込め措置からの再開が進む中、回復状況はまちまちとなっている。ただ、国内消費や投資が低迷し、雇用へのしわ寄せが強まる中、利益は引き続き圧迫される見込みとなっている。

 

米中通貨戦争の再燃リスクも

全人代が開幕した22日、2つの懸念材料が示されて人民元安の傾向が強まった。2020年の国内総生産(GDP)成長率目標の設定見送りと、香港が国家安全を維持するための法制度と執行メカニズムに関する議案の提案である。香港についてはトランプ米大統領が『強力に対処する』とけん制しており、香港経済日報(電子版)は『米中の力比べが白熱すれば、人民元はより大きな下落圧力に直面するだろう』と指摘する。基準値は、人民銀が取引の目安として毎朝発表しており、当局の意向が反映されていると市場は受け止める。元安には中国の輸出競争力を高める効果があるため、対米対立が深まる中で国内経済支援のため当局が元安を容認したとの見方がくすぶる。だが、元安が一気に進めば当局が恐れる資本流出が止まらなくなる事態にもつながりかねず、中国にはもろ刃の剣でもある。中国当局の意向がどうであれ、元安が一方的に進めばトランプ政権が反発を強める可能性は増すことになる。18年秋の元安進行時には、ムニューシン米財務長官が『通貨安の進展を特に懸念している』と中国をけん制した。『通貨戦争』の再燃が新たな火種になる恐れもある。

 

新型コロナウイルスのワクチン関連報道:米国株の買い要因

米製薬メルクは26日、新型コロナウイルスワクチン2種類の開発に向け、オーストリアのワクチンメーカー、テミス・バイオサイエンスを買収するほか、非営利研究団体IAVIと提携すると発表した。製薬大手の間で加速している新型コロナワクチン開発レースに参戦する。さらに、非上場バイオテク企業リッジバック・バイオセラピューティクスと新型コロナ治験薬開発で提携する方針も明らかにした。メルクはテミス買収に関する詳細は明らかにしていない。テミスがはしか予防接種技術を用いて開発したワクチン候補について、メルクは『数週間以内』にもボランティアへの接種を始めたい考えを示した。

香港はざわついているが、マーケットは完全に無視して、NYダウも1社のワクチン開発ニュースで大きく上昇する事態となっている。

 

トルコのリビア内戦への深入りはリラのリスク要因

トルコでは断食明けの祝日が終わり、本日からイスタンブール市場がオープンとなる。その中、複数のメディが伝えているが、長期化する北アフリカ・リビアの内戦では現在、トルコ対ロシアの代理戦争の様相となっている。最近はトルコ側が優位に立っているようだが、ロシアも戦闘機をリビアに派遣したとの報道もあり、混乱拡大への懸念が高まっている。トルコのリビア内戦への深入りが、今後はトルコリラのリスク要因の1つとなる可能性もある。

 

メキシコペソは買い材料のない上昇のため注意

欧州株式相場の上昇で投資家のリスク志向が改善したほか、原油先物価格の上昇を背景に産油国通貨とされるペソに買いが入りメキシコペソ/円は堅調に推移した。しかし、メキシコ国内からのポジティブな要因は伝わっておらず、投資家のリスク許容度が低下した場合はエマージング通貨であるメキシコペソは真っ先に売り込まれる通貨であることには注意が必要となる。米中の対立や香港情勢など世界的なリスク志向に影響を与えうる材料には注意しておく必要がある。

 

米国株は裏付けのない景気回復を織り込む上昇

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界の経済活動が止まった2ヵ月ほど前には考えられなかったことだが、S&P500は26日、心理的節目となる3000ポイントを一時的に突破した。3月の安値から37%の値上がりした形となる。しかし、株式市場は、現在のところデータの裏付けがない景気回復を織り込んでしまった可能性がある。一部の市場参加者は、株高は水準とスピードの両面で行き過ぎていると警鐘を鳴らしている。相場上昇の背景には、①米FRBと他の主要国中銀による異例なほどの積極的金融緩和、②米議会が承認した大規模経済策、③新型コロナウイルスのワクチンの早期開発で世界経済の停止が最悪の打撃をもたらす局面は終わったとの期待などがある。

 

欧米市場のイベント

○14:30   5月仏企業景況感指数(予想:69)
○14:30   5月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○16:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ECB主催のイベントに参加
○17:30   デギンドスECB副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   5月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲40)
○28日01:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○28日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○28日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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