FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済活動再開への期待と大規模の政府の補正予算を好感

国内の緊急事態宣言が全面的に解除される見通しで、経済活動再開への期待が高まったことや、政府の第2次補正予算案が100兆円を超えるとの報道が好感され、朝方から幅広い銘柄で買いが先行した。また、週明けの香港ハンセン指数の動きも強い下押し圧力にはならなかった。市場からは『香港情勢は今後、投資家心理に相当な悪影響を与えそうだが、まだ織り込まれていない』との声があった。結局、前営業日比353円高の2万0741円と3日ぶりに上昇して終了した。

 

東京外国為替市場:米中関係悪化懸念から円売り続かず

ドル/円は、欧米で新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限されていた経済活動の再開を好感して107.80円付近まで上昇する場面があった。しかし、中国が『国家安全法』を香港へ適用する方針を決定し、米中関係のさらなる悪化が警戒されており、リスク選好の円売りは続かなかった。その後は、国内輸出企業などがドル売り・円買いに動き、107.60円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価や香港ハンセン指数の動向を睨みながら、107.70円を挟んでもみ合いとなった。本日は英国がバンクホリデー、米国かがメモリアルデーで休場となるため、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、シンガポール市場の休場で海外勢の流動性が低下しており、1.0890ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

『国家安全法』が引き続き嫌気されハンセン指数は続落

週明け25日の香港市場でハンセン指数は続落スタートとなった。中国の全人代で香港での国家分裂や中央政府の転覆などの行為を禁じる香港版の『国家安全法』が議題に入り、政治リスクを嫌気する売りが続いている。香港情勢の緊迫化や香港問題を巡る米中関係の一段の悪化に対する警戒感が地合いを冷やした。

 

EU存続への危機を警告:ジョージ・ソロス氏

著名投資家ジョージ・ソロス氏は、欧州連合(EU)は永久債を発行してイタリアのような弱い加盟国を救済しなければ、新型コロナウイルス危機によりEU存続が脅かされると警告した。ソロス氏は『EUが今、検討しなければ、現在直面している試練を生き残れないかもしれない』と述べ、『これは論理的可能性ではなく、悲劇的な現実かもしれない』と強調した。永久債を発行するためにEUはAAAの格付けを維持する必要があり、債券コストをまかなうために増税する権限を持たなければならないと指摘した。『解決策はある。課税は実行する必要はなく、その権限さえあればいい』と語った。

 

トルコでは感染拡大の収束が進めば底打ち期待

トルコでは防疫政策を巡る混乱を受けて感染拡大の動きが強まる事態となったが、エルドアン政権は大都市を対象に休日の外出禁止措置による感染抑制に取り組んだ。累計の感染者数は15万人を上回るが、新規感染者数は頭打ちするなど事態収束の兆候が出ている。事態収束が進めばトルコを取り巻く状況にようやく『底』がみえるようになると期待される。経済のファンダメンタルズの脆弱さを理由に、国際金融市場の動揺を受けて資金流出圧力が強まり、今月初めには通貨リラ相場は一時最安値を更新した。しかし、国際金融市場の動揺一巡に加え、欧米による経済活動正常化模索を受けた世界経済の底打ち期待、外貨準備の枯渇が懸念されるなかで通貨スワップなどセーフティーネット構築の期待が重なり、足下のリラ相場は底打ちしている。
 中銀は21日の定例会合で景気の底打ち期待を受けて、一段の利下げを通じた景気下支えを志向する姿勢を示した。事態収束が進む期待の一方、資金流出圧力がくすぶるなかでは外部環境を睨みながらの不透明な状況が続くことは避けられない。

 

米国では大統領選終了まで中国たたきが継続

米国内での感染拡大への責任を回避する思惑もあり、中国政府に損害賠償を求める訴訟の提起などトランプ政権と共和党は『中国たたき』が得票につながるとみて強硬姿勢に傾斜している。米世論調査機関『ピュー・リサーチセンター』が4月21日公表した調査結果によると、中国に対し『好意的でない』と答えた米国民の割合が前年調査比6pt増え05年の調査開始後で最高の66%だった。貿易戦争や軍事分野での競合に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、対中感情が急激に悪化していることを示した。『好意的でない』人の割合は支持政党や年齢層を問わず高く、特に共和党支持者で72%、50歳以上で71%を記録した。

 

豪州はとばっちりで中国から制裁:豪ドルの重石

豪州は中国を経済的なパートナーとして最重要視してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、中国に対して厳しい態度を取り、ウイルスの発生源を追求する最先鋒となっている。中国も対抗措置として豪州に制裁を加えるなど風当たりを強めている。本来ならば、ウイルス拡大について過激な発言を繰り返している米国に中国は強い行動を取るべきだが、中国は米国と通商問題で全面戦争を避けたいことから、豪州が米国に代わって戦争しているような形になっている。今週は主だった経済指標の発表が豪州も中国も予定されていないため、豪中関係が豪ドル相場に与える影響が大きくなりやすい。

 

欧米イベント

○15:00   1-3月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲2.2%/前年同期比▲2.3%)
○15:00   1-3月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比▲1.9%)
○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産指数
○16:30   4月スウェーデン失業率
○17:00   5月独Ifo企業景況感指数(予想:79.0)
○20:00   4月メキシコ貿易収支
○26日04:00   ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○シンガポール(ハリラヤプアサの振替休日)、インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場

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