FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:トランプ大統領の中国批判が上値の重石

前日のNYダウで369ドル高と反発したほか、国内でも経済活動再開への動きが見え始めていることから、好地合いを引き継ぐ形で上昇してスタートした。しかし、期待先行の動きとなっており、決め手となる買い材料が見当たらず、上値追いに慎重となった。また、トランプ大統領が日本時間21日にツイッターで中国を批判し米中関係悪化への懸念から持ち高調整の売りに押された。一方で22日の日銀の臨時政策決定会合を控えて追加緩和期待や上場投信(ETF)買い期待に下げ幅を縮める展開となった。結局、前営業日比42円安の2万0552円と5日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整によるドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、107.75円まで上昇した。しかし、前日のロンドン市場で付けた高値107.76円が意識され、上昇一服となった。その後、トランプ大統領がツイッターに『中国は簡単に新型コロナを防ぐことが出来たが、上の命令でそうしなかった』『中国は大規模な偽情報キャンペーンを展開している』などと投稿した。このツイートを嫌気して、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏に転じると、持ち高調整などのドル売り・円買いに107.60円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の動向をにらみながら、107.60台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.09ドル台半ばで小動きとなった。本日発表されるユーロ圏の指標を見極めたいとの様子見ムードが広がった。

 

国際間のモノの動きにもブレーキ

新型コロナウイルスのパンデミックで、いよいよ国際間のモノの動きにもブレーキがかかってきた。本日発表された4月の貿易統計(速報)によると、輸出額は前年同月に比べ21.9%減だった。減少率はリーマン・ショック後である2009年10月の23.2%以来、10年半ぶりの大きさとなった。3月までは人の移動の深刻な停滞がより目立っていたが、4月になって財貨(モノ)の取引も急激に縮小している。財務省が発表した4月の輸出は5兆2023億円だった。欧米で外出規制が本格的になったのは3月後半からで、コロナにより経済活動が世界的に止まったのが直撃して自動車・同部品などが大幅に減少した。地域別では米国向けが37.8%減の8798億円と大きく落ち込んだ。欧州連合(EU)向けは28%、中国向けは4.1%それぞれ減少した。

 

バイデン前副大統領が大統領選で優勢:最新世論調査

2020年米大統領選の民主党候補の公認指名が確実なバイデン前副大統領は、全米での支持率が50%となり、トランプ大統領(39%)をリードしていることが、キニピアック大学の世論調査の結果明らかになった。どちらがより良い経済運営を行うかについては、バイデン氏とする回答が48%、トランプ氏が47%で有権者の評価は分かれた。
新型コロナウイルス対策では、バイデン氏の方が良い仕事をするとの回答が55%、トランプ氏は39%だった。調査は登録有権者1323人を対象に5月14-18日に実施された。

 

トランプ大統領は感染第2波リスクよりも大統領選にらみ

トランプ大統領は13日、国立アレルギー感染症研究所ファウチ所長が早急な経済再開による感染『第2波』リスクを警告したことに『受け入れられない答え』と反論し、15日のホワイトハウスの会見で『ワクチンがなくても病気はいずれ解消する』と早期の経済活動の再開を訴えた。
感染『第2波』リスクを孕みながらもトランプ大統領が『巧遅は拙速に如かず』とばかりに死中に活を入れるべく経済活動の再開へ腹を固めたのは、11月の大統領選に加え、同日実施される上院選(定数100人中改選は35人)での多数派維持が死活的に重要だからである。
メイン、ノースカロライナ、コロラド、アリゾナ州の上院選は民主党候補が追い上げており、共和党執行部は危機感を強めている。さらにここに来て、民主党のモンタナ州知事が上院選に鞍替え出馬を表明し、共和党現職を脅かしている。トランプ再選が実現しても、民主党が下院に加え上院の過半数を奪回すれば元も子もない。

 

当面米中間の緊張は継続する見込み

米中関係は、トランプ大統領は18日に世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長あてに書簡を送り、拠出金を停止することも示唆した。書簡はWHO宛ではあるものの、本丸は中国であることは疑いがなく、両国関係の改善の兆しはなかなか見えてこない。
 米国は今秋の大統領選を前に、大統領の支持率が低下していることで、ここで弱気な姿勢を見せるとは考え難い。またWHOの総会開催時には日英独仏豪なども、台湾の総会出席を支持したこともあり、米国だけ中国に軟化する姿勢を見せることは国際的にも難しい。同様に中国も、週末22日より中国全国人民代表大会(全人代)が開幕することで、指導者が弱気な態度をとることが困難ため、当面は両国間の緊張は解けない。

米ピューリサーチセンターの4月下旬の調査で中国に否定的な見解を持つ共和党支持層は72%と過去最高となり、トランプ政権の『中国叩き』は支持層の声に耳を傾けた対応だとされる。

 

米国市場では5月マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が公表

4月実績は36.1だった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、全米レベルで外出制限などが行われている影響で経済活動は停滞した。失業者数は2000万人を超えたた。この状況は5月も続いていることから、速報値は4月実績と同水準にとどまる可能性がある。

 

欧米イベント

○16:15   5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:36.1)
○16:15   5月仏サービス部門PMI速報値(予想:27.8)
○16:30   5月独製造業PMI速報値(予想:39.2)
○16:30   5月独サービス部門PMI速報値(予想:26.6)
○16:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:38.0)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:25.0)
○17:30   4月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.8%)
○17:30   5月英製造業PMI速報値(予想:36.0)
○17:30   5月英サービス部門PMI速報値(予想:25.0)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%に引き下げ)
○21:30   5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲40.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:240.0万件/2350.0万人)
○22:00   4月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲10.0%)
○22:45   5月米製造業PMI速報値(予想:38.0)
○22:45   5月米サービス部門PMI速報値(予想:30.0)
○22:45   5月米総合PMI速報値
○23:00   4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲5.5%)
○23:00   4月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲18.9%/年率換算430万件)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.75%に引き下げ)
○22日02:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、討議に参加
○22日03:30   パウエルFRB議長、あいさつ
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場

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