FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は米中対立先鋭化を懸念した売りが重石

先週末の米国株の上昇を受けて寄り付きは60円程度の上昇した。しかし、すぐに失速して下げに転じたものの、押したところでは買いが入った。その後は、プラス圏に戻したところで値動きが落ちついた。寄り前に発表された1-3月期GDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比-0.9%、同年率換算で-3.4%となり、2四半期連続マイナスとなった。国内コロナ感染者数伸び鈍化で経済活動再開への期待から買いが優勢となり時間外取引の米ダウ先物の上昇を好感した。しかし、日経新聞電子版が『半導体受託生産の世界最大手の台湾TSMCが中国ファーウェイ新規受注中止』報じて米中対立先鋭化を懸念した売りが重石となり、結局、前週末比96円高の2万0133円と続伸して大引けた。

 

東京外国為替市場:107.10円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、新型コロナウイルスをめぐる米中関係の悪化を警戒したドル売り・円買いが入り、107.07円付近までじり安となった。原油先物価格の上昇を眺めた資源国通貨高・ドル安が波及した面もあった。しかし、アジア主要株価が総じて堅調だったことから、下押しは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、107.10円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価を睨みながら、107.10円を中心とした狭いレンジ相場となった。明日予定されているパウエル米FRB議長の議会証言を前に、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.0820ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

アジア開発銀行の新型コロナウイルスの世界経済損失額見込み

アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)は15日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の損失額が8兆8000億ドル(約940兆円)に膨らむ恐れがあるとの見通しを明らかにした。収束までに半年かかり、適切な政策が講じられないと仮定した試算結果で、世界の国内総生産(GDP)の約1割に相当する。ADBによると、世界経済が受ける悪影響はGDPの9.7%に達し、失業者は2億4200万人に上る。3カ月で収束する楽観的なシナリオでも、GDPの6.4%に相当する5兆8000億ドル(約620兆円)の損失が見込まれる。

 

南アフリカ準備銀行は21日に利下げの可能性

今週は21日に南アフリカ準備銀行(SARB)による政策金利の発表が市場の注目となる。SARBは前回の緊急利下げで史上最低となる4.25%まで政策金利を引き下げたが、他国と比較するとまだ下げる余地がある。今後の経済の低成長などを政府もSARBも予測していることで、利下げの可能性は否定できず、市場では0.5%の再利下げを予測する声が高まっている。また、22日の格付け会社S&Pが南アの格付け見直しを行ったが、ここ最近は他の格付け会社が相次いで格下げをしていることで動意薄になる可能性が高い。また、南アランドは、ここ最近は国内要因よりも海外要因で動くことが多くなっている。原油先物の値動きや、株式市場に敏感に反応することも多いので、他の市場の動きにも目を配りる必要がある。

 

21日にトルコ中銀が利下げならさらにリラの魅力低下

21日にはトルコ中銀が政策金利を発表する。原油価格が持ち直し、また、エルドアン・トルコ大統領が輸入関税の引き上げを発表するなかで、今後は物価上昇圧力が高まることが予想される。そういったなかでも、9会合連続の利下げを予想する向きが多い。中銀がこのまま緩和路線を突き進み、実質金利のマイナ幅が広がってしまうようであれば、リラの魅力低下が懸念される。外交では、トルコとEUの関係があやしい雲行きとなってきた。先週末にEU各国の外相は、トルコのキプロス沿岸の資源開発やギリシャ・エーゲ海上の領空侵犯などを批判する共同声明は出した。トルコ側からの反発は必至と思われ、今後は経済関係への影響が危惧される。

 

イングランド銀行もマイナス金利など金融政策の拡大を検討

イングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミスト、ハルデーン理事は、同中銀がマイナス金利の導入やよりリスクの高い資産の購入といった選択肢について、一層の緊急性をもって検討していると明らかにした。英紙テレグラフが16日に報じた。ロイター通信が引用して伝えている。報道によると、ハルデーン理事はマイナス金利の導入や、中銀の債券買い入れプログラムの下で、より質の低い資産を買い入れる可能性を排除しなかった。 同理事はインタビューで『経済は1年前より弱く、(政策金利は)実質的な下限にある。その意味では、われわれはこれまでより幾分強い切迫感をもって(そうした選択肢を)検討する必要があり、検討を行っている』と述べ、『検討しないわけにはいかない』と語った。 英中銀幹部らはこれまで、銀行の貸出能力が損なわれ、かえって経済に悪影響をもたらすとの懸念から、マイナス金利に否定的な立場を示してきた。

 

第2次米中貿易戦争への警戒感が漂う

トランプ政権は、中国起源と疑われている新型コロナウイルスへの中国政府の対応、米国での感染拡大を受けて、対中制裁措置を検討すると同時に、世界の産業供給網から中国を排除する動きを加速させている。米議会は、中国が新型コロナウイルス感染拡大に至る経緯の調査に協力せず、十分に説明しない場合、対中制裁を科す権限を大統領に付与する法案を提出している。ただ、中国が対抗措置を講じると警告していることで、第2次米中貿易戦争への警戒感が高まりつつある。

 

欧米イベント

○19:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:34)
○24:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合
○カナダ(ビクトリア・デー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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