FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:重要イベント控え利益確定売りが重石

為替の円安基調や、追加関税の発動見送りの可能性を支えに、日経平均株価は小反発でスタートした。しかし、その後は為替がやや円高方向に振れたことや米国の対中関税『第4弾』発動期限を15日に控えて協議の進展や重要イベントが続き海外短期筋の利益確定売りが重石となり下げに転じた。結局、前日比18円安の2万3391円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:108.70円前後で終日もみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きをながめたドル売り・円買いが先行し、108.67円付近まで下落した。ナバロ米大統領補佐官が通商交渉について『我々が合意するかは中国次第だ』と発言したことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、米FOMCの結果発表を前に、下押しは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、108.75円を挟んでもみ合う展開となった。午後からも108.70円台を中心とsた狭い値幅での取引が続いた。ユーロ/ドルは、1.1090ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

当たらない大手調査会社の世論調査:精度に改めて関心集まる

大手調査会社『YouGov』の英総選挙に関する世論調査で、与党・保守党の議席獲得予想が前回359議席から339議席に縮小した。一方で最大野党・労働党の議席予想が211議席から231議席まで拡大した。

英調査会社フォーカルデータの最新予測によると、12日投開票の総選挙(下院定数650議席)で、ジョンソン首相率いる与党保守党の獲得議席数は337議席と、前回2017年の選挙から20議席増やし過半数を確保する見込み。一方、野党労働党は235議席と前回から27議席減らすと予想されている。その他、スコットランド民族党は41議席、自由民主党は14議席の見通し。

世論調査は過去に大きな政治イベントで読みを外し、たびたび批判にさらされてきた。2016年の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国民投票では、残留が優勢との調査結果に反して離脱に決まった。同年の米大統領選では劣勢とされたトランプ氏が当選した。「保守党優勢」が予測されている12日投開票の英総選挙では、その精度に改めて関心が集まっている。

 

英総選挙のスケジュール

・12日07時(日本時間16時):投票開始

・12日22時(日本時間13日7時):投票終了

・22時~23時半(日本時間13日7時~8時半):出口調査開始

・23時半~翌1時(日本時間13日8時半~10時)

深夜前にサンダーランドやニューキャッスルなどで最初の投票結果発表が予定。これらの地域は伝統的に労働党が優勢の地域だが、結果が労働党の場合でも保守党がどれだけ詰め寄っているかなどが、今後を占ううえで重要。

・13日1時~2時半(日本時間13日10時~11時半)

レッドウォール地域の投票結果が発表予定。レッドウォール地域とは伝統的に労働党支持地域だが、ブレグジットに関しては離脱に賛成している投票者が多い地域。

ワーキントン(1918年から労働党勝利)、ダーリントン(1964年以外は労働党勝利)などの地域から結果が発表される予定。その後、セッジフィールド(1935年以来労働党勝利でブレア元首相の基盤)、リー(1922年以来労働党勝利)、ウェスト・ボロムウィッチ・イースト(1974年以来労働党勝利)なども発表される予定。この地域を労働党が維持できるかが注目。

・翌2時半~4時(日本時間13日11時半~13時)

イングランドの主だった地域が続々と発表予定。またスコットランドなども結果が出てくることから、スコットランド民族党などの獲得議席にも注目。ウェールズでも保守党と自由民主党の争いもし烈なので注目。

・翌4時~5時半(日本時間13日13時~14時半)

この時間帯になると、明らかに勝利が確定するか、接戦になるかなどが判明してくる予定。ロンドン中心部などで接戦を繰り広げている地域は発表に多少時間がかかる予定。

・翌5時半~正午(日本時間13日14時~21時)

ほぼ結果が出揃う予定だが、再集計に必要な地域が出てくる可能性もある。

 

 

米中協議で2ヵ月経ったが署名に至らず

10月10-11日の閣僚級の米中協議で『第1段階合意』に達してから2カ月が経ったが、署名には至らず、15日にトランプ米政権の対中追加関税の発動が迫っている。対中追加関税の発動は見送られるとの見方は少なくないが、協議は続いており、不透明感は払しょくされていない。中国が発動済みの関税撤廃を求めていることも、協議が進まない一つの要因と言われている。中国が協議で強気なのは、トランプ氏が来年に米大統領再選を控えているのも一因に挙げられる。米中貿易摩擦が激化すれば、中国だけではなく米国経済への悪影響も強まる。制裁・報復関税が米雇用や米国経済を牽引してきた国内消費に影響が出る可能性がある。トランプ米大統領は景気を気にしながらの交渉を迫られていることを中国はうまく利用しようとしている。ただ、トランプ米大統領は対中強硬姿勢を緩めた場合、民主党からも共和党からも批判されるリスクも大きく、合意しにくい問題は後回しに公算が高い。 

 

米国市場では11月消費者物価指数(CPI)が公表

11月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.7%、同コア指数は前年比+2.3%が見込まれている。直近のインフレ率が市場の予想を上回った場合、利下げ打ち止め観測を後押しする可能性がある。

 

米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果公表

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先月行われた議会証言で『金融施策は現状が適切だ』と述べ、7月から続いた利下げを当面停止する方針を表明した。米景気は貿易戦争による下振れリスクがあるものの、金融緩和が後押しして『緩やかな経済成長が続く』と強気な見方も示している。FRBは7月から10月まで3会合連続で利下げに踏み切ったが、先行きは政策金利を当面据え置く考えを示唆しており、今回は現状維持の見込みとなっている。

 

欧米イベント

○16:00   10月トルコ経常収支(予想:15.6億ドルの黒字)
○17:00   11月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比3.6%)
○17:30   11月スウェーデンCPI(予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
        コア指数(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○20:00   10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.6%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   10月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.8%)
○22:30   11月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比2.0%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○22:30   7-9月期カナダ設備稼働率(予想:82.1%)
○12日00:30   EIA週間在庫統計
○12日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:1.50-1.75%で据え置き)
○12日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○12日04:00   11月米月次財政収支(予想:1965億ドルの赤字)
○12日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○12日06:20   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.50%に引き下げ)

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