FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:CTAのロングポジションの手仕舞い売り

トランプ大統領やロス商務長官の発言などが嫌気され、米国株式が3日続落となったことや、外国為替で円高が進行したことが嫌気され一時335円安まで下げ幅を拡大した。また、米下院が新疆ウイグル族の扱いを巡り中国高官への制裁を要求する法案を可決したこともネガティブ材料となった。市場では、順張り型のCTA(商品投資顧問業者)が、日経平均先物のロングを手仕舞っているとの観測も出ていた。結局、前日比244円安の2万3135えんと大幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きで108.60円前後でもみ合い

ドル/円は、米中貿易摩擦が長期化するとの懸念や日経平均株価の大幅安で軟調となり、1108.45円付近まで下落した。中国外務省が米下院でのウイグル人権法案可決について『強烈な憤慨と断固たる反対を表明する』と発表したことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、今晩の発表される11月米ADP全米雇用リポートや11月米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気から、下げは一服した。午後は、日経平均株価と米長期金利の動向をにらみながら108.60円近辺でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、前日にトランプ米大統領が一部のフランス製品に制裁関税を課す方針を示したことが意識され、1.10ドル台後半で上値が重い展開となった。

上値には、108.80円にドル売りオーダー、超えるとストップロス買い、下値には、108.45円にドル買いオーダー、割り込むとストップロス売りが控えており、米中通商協議に関する発言・報道に要警戒が必要となる。

 

トルコは最悪期から回復するも自立回復にはほど遠い状況

昨年のリラ急落に伴う国際金融市場の動揺でトルコ経済は大きく混乱する事態に見舞われたが、年明け以降は国際金融市場を巡る環境一変で状況は異なる。通貨安定によるインフレ鈍化や大幅利下げ、財政出動による景気下支えを受けて景気は一転回復している。7-9月の実質GDP成長率も前期比年率+1.72%と3四半期連続のプラス成長となり、前年比でも+0.95%とプラスに転じた。ただし、企業の設備投資意欲は弱く、雇用悪化が続くなかで財政頼みの色合いが強く、『最悪期』は過ぎるも自律回復にはほど遠い状況が続く。足下のリラ相場は落ち着いた推移が続き、インフレ率も一桁台に鈍化しており、エルドアン大統領は中銀にさらなる利下げを求める姿勢を強める。ただし、足下のインフレ鈍化は昨年の反動の域を出ず、依然インフレ圧力はくすぶる。 さらに、対米関係の火種であるロシア製兵器も手放さない姿勢を示すなど、再燃リスクもくすぶる。ファンダメンタルズの脆弱性を抱えるなか、リラ相場の動揺に繋がる材料は依然山積していると言える。

 

米下院議会は新疆ウイグル自治区の人権関連法案を可決

米議会下院は、新疆ウイグル自治区の人権関連法案を407対1の圧倒的な賛成多数で可決した。上院が提出したものを修正した法案で、トランプ大統領が香港人権・民主主義法案に署名・成立したことに続いて、米中の貿易協議への影響が警戒される。中国共産党の機関紙『人民日報』系列の国際紙『環球時報」の編集長は3日ツイッターで『米議会は新疆ウイグル自治区関連の法案を可決する予定であるため、中国は新疆問題に関していやらしい成績を収めた米国の役人と議員にピザの制限を課すことを検討している』とつぶやき、非関税分野での報復措置を示唆している。

 

米国の貿易関税の行方が焦点

トランプ大統領は2日、米国が香港法案を成立させたことが、中国との貿易交渉に影響する可能性を指摘した。大統領は3日には、訪問している英国のロンドンで記者団に『中国との貿易協定をまとめるには大統領選挙を待つという考えも好ましい』と語った。ただ、中国が米国以上に貿易協定合意成立を望んでいるはずだとし、協定の内容が良いものかどうか見ていく方針を示した。もし、内容が米国にとり悪いものであれば署名しない考えを再表明した。トランプ政権は今月15日に残りの中国輸入品に対して関税を発動する計画。これにより全中国製品に関税が課されることになる。ホワイトハウスによると、現状では計画通り、関税を発動する予定。トランプ大統領は今週、通貨安操作を理由に、対アルゼンチン、ブラジルに対し輸入鉄鋼に対する関税を再開すると発表。フランスのデジタル課税に対する報復として、ワイン、チーズなどフランスの高級品に対して関税発動を警告している。ドイツに対しても、北大西洋条約機構(NATO)支援を強化する必要があり、さもなければ貿易措置をとると、関税を警告している。トランプ大統領はメルケル首相と4日に会談予定。大幅な関税は、世界経済を再び景気後退の脅威にさらすことにもなりリスクオフが一段と加速する可能性がある。

 

トランプ大統領の北朝鮮への異例な発言

トランプ米大統領は、北朝鮮との非核化協議について発言し、『金朝鮮労働党委員長との関係は非常に良好だ』と改めて強調した。しかし、その一方で北朝鮮が核放棄を履行することに期待を表明しつつ、『米国の軍事力を行使する必要がある場合は使っていく』と警告している。昨年6月の米朝首脳による初会談以降、トランプ氏が軍事的選択肢に言及するのは異例で、非核化協議の停滞に対するトランプ大統領の不満を反映している可能性もある。

一方、朝鮮中央通信は、北朝鮮の李外務次官(米国担当)が談話を発表し、金朝鮮労働党委員長が非核化をめぐる米朝交渉の期限として示した年末が迫っていると強調。『いまや残っているのは米国の選択であり、クリスマスのプレゼントに何を選ぶかは全面的に米国の決心にかかっている』などと、トランプ米政権に改めて譲歩を要求したと報じている。

 

欧米イベント

○17:50   11月仏サービス部門PMI改定値(予想:52.9)
○17:55   11月独サービス部門PMI改定値(予想:51.3)
○18:00   11月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:51.5)
○18:30   11月英サービス部門PMI改定値(予想:48.6)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:15   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   ビスコ・イタリア中銀総裁、議会証言
○22:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○22:15   11月ADP全米雇用報告(予想:14.0万人)
○22:30   7-9月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.2%)
○23:45   11月米サービス部門PMI改定値(予想:51.6)
○23:45   11月米総合PMI改定値
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○24:00   11月米ISM非製造業指数(予想:54.5)
○24:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米下院金融サービス委員会で証言
○5日00:30   EIA週間在庫統計
○5日01:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ロンドン、最終日)

 

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