FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安と円高進行を嫌気した売り優勢

前日の米国株式市場が経済指標の悪化を受け下落したほか、外国為替市場でもドル/円が円高方向に進んだことが嫌気された。ただ、押し目買いも入って下げ渋り、2万3300円台でもみ合う展開となった。アジア株の底堅い推移などが支えとなり、朝安後は徐々に下げ渋る展開となった。結局、前営業日比149円安の2万3379円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は109円台を回復する底堅さ

ドル/円は、前日の海外時間に急落した反動から、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、109.15円付近へじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後もこの流れは続き、米長期金利が小幅ながら上昇したことにも支えられ、109.20円程度まで値を上げた。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、109.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1075ドル前後でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

バンカメ・メリルの顧客が米国株を再び買い越す

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの3日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11月25日~29日の1週間に米国株を8億3600万ドル買い越した。前週は3週ぶりに売り越しとなっていたが、再び買い越しに転じた格好となった。ただ、ETFを除けば4億1500万ドルの売り越しで、ヘッジファンドや個人投資家らによる個別株の売り需要が多かった。主体別動向では、ヘッジファンドが4億400万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しとなった。機関投資家は3億2000万ドルの買い越しで2週ぶりに買い越しに転じた。個人投資家は3億300万ドルの小幅売り越しで、前週は8週ぶりに買い越しに転じていたが再び売り越しとなった。企業の自社株買いは12億2300万ドルの買い越しで、2週連続で20億ドルの大台割れとなって、3週前に記録した過去最高ペースから鈍化した。同リポートはバンカメ・メリルの顧客を対象としたものだが、様々な投資主体の動向を比較的早く知ることができるため重宝されている。

 

米11月ISM製造業は予想外に悪化:中国と欧州は改善方向

米11月ISM製造業景況指数は48.1と、改善予想に反して10月48.3から悪化し、4カ月連続で50を割り込み、活動の縮小となった。中国の11月製造業PMIが改善し予想外に50を回復、活動の拡大を示したため、米国の製造業も改善が期待されていたが、結果は失望感に繋がった。指数の重要な項目である新規受注は47.2と、景気後退時の2009年4月来の低水準となった8月と同水準に落ち込んだ。輸出が47.9と、再び50を割り込み、活動縮小となったことが受注を減少させたと見られている。雇用は46.6と、10月47.7から低下した。 結果を受けてアトランタ連銀は10-12月期国内総生産(GDP)予想を1.3%成長と従来の1.7%成長から下方修正した。第4四半期の個人消費支出の伸びが+2.0%から+1.8%、実質国内投資の伸びは‐1.7%から―2.7%へそれぞれ引き下げられた。万が一、トランプ大統領が15日に、対中消費関連商品に追加関税を発動した場合には、米国経済の7割を占める消費にも影響を与え米国経済の成長悪化見通しがさらに強まることになる。

11月米ISM製造業景気指数が48.1と予想の49.2を下回る弱い数字となったことを受けて、NATO首脳会議出席のために訪英中のトランプ米大統領が、お決まりの『これ、俺のせいじゃないし。パウエルのせいだし』っていうツイートがさく裂した。逆に、株価が史上最高値を更新している時は『これは俺のおかげだし』ってツイートしているわけで、かなり単純な米大統領の思考回路を再確認することになった。

 

米国はブラジルとアルゼンチンの通貨切り下げに制裁関税

トランプ米大統領は2日、ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課すとツイッターで表明した。両国が自国通貨を切り下げており、米国の輸出が不利になっていることを理由に挙げている。他国の通貨安に不満を募らせており、米連邦準備理事会(FRB)に対しても改めて利下げを要求した。トランプ氏は両国が『大幅な通貨切り下げをしており、米農家(の輸出)に好ましくない』と主張した。『多くの国が米国の強いドルにつけ込まないよう、FRBは同様に行動すべきだ』と述べ、FRBにも利下げでドル安に誘導するよう再び促した。ブラジルとアルゼンチンは数量制限などを条件に発動を免除してきたが、トランプ氏の表明は両国にも関税をかけることを指している可能性がある。

 

 

米11月雇用統計の改善となれば円安基調

最近の米経済指標はFRBによる予防的利下げの効果などで復調が目立ち始めたほか、11月の雇用に関しては、9月中旬から10月後半まで続いた米自動車大手GMの大規模ストライキ終結や年末商戦向けの臨時雇用、米中貿易協議の部分合意期待などがプラス材料となる。すでに雇用統計の先行指標である週間の新規失業保険申請件数については、最新11月23日週に21.3万件と前週の22.8万件から減少の改善となった(失業者の減少示唆)。失業保険継続受給者数も164.0万人と、前週の169.7万人から-5.7万人の減少を記録。4月6日週の-6.2万人以来の大幅減となっている。実際に雇用統計が改善となれば、ドル/円ではドル安抑制やドル高の要因となりやすい。



 

米民主党はトランプ大統領の弾劾訴追に向け加速:リスク回避にならず

米民主党は多数派を占める議会下院で今週、ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾訴追に向けた動きを加速させる見通しだ。 下院の司法委員会は4日から、トランプ氏の弾劾訴追に必要な憲法上の根拠を4人の専門家に説明してもらうための公聴会を開く。また情報特別委員会はこの公聴会をにらみ、司法委員会にこれまでの政府高官や元高官らの証言をまとめた報告書を提出する。 ホワイトハウスは1日、トランプ氏と彼の弁護士が4日の公聴会に出席しないと民主党側に伝え、その理由として『基本的な公正さ』が欠けている点を挙げた。

 

欧米イベント

○16:00   11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.70%/前年比11.00%)
○16:30   11月スイスCPI(予想:前月比▲0.1%)
○16:45   10月仏財政収支
○18:30   7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率0.1%/前年同期比0.4%)
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:44.5)
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比▲1.9%)
○20:00   7-9月期ブラジルGDP(予想:前年同期比1.0%)
○4日02:30   クーレ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○4日04:10   オア・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)総裁、議会証言
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ロンドン、4日まで)

 

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