FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売りポジションの買い戻しで午後上げ幅拡大

週明けの米国株式市場はさえない動きとなったものの、とりわけ目立った売り材料も見当たらないことから、強い基調を維持している。ただ、テクニカル指標に高値警戒感を示すものが目立つことから、上値に対して慎重な動きとなった。そのため、日経平均が下がるとみて午前ショート(売り)仕掛けした投資家が、想定よりも堅調な地合いをみて買い戻しを入れて一時上げ幅を200円超に広げた。結局、前日比188円高の2万3520円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109.15円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、109,21円まで上昇した。しかし、前日に付けた109.25円が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、上海総合株価指数のさえない動きを眺めたドル売り・円買いが入り、109.15円を挟んでもみ合う展開となった。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.10円台を中心とした狭いレンジ内での値動きとなった。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

不況時に物価があがる中国経済:スタグフレーションに警戒

中国は、米中摩擦などによる景気減速を受けた雇用環境の悪化に加え、物価上昇による実質購買力の下押し圧力が財布の紐を固くしている。10月のインフレ率は前年比+3.8%と政府目標(3%)も上回り、豚肉の供給不足に伴う供給インフレが一段と鮮明になった。他方、雇用悪化を受けて需要インフレ圧力は後退しており、スタグフレーションが意識される状況にある。また、川上の物価に当たる生産者物価は国際商品市況の頭打ちを受けて鈍化し、10月も前年比▲1.6%とマイナス幅も拡大している。食料品価格の上昇圧力に伴い加工食品で物価は上昇する一方、原材料価格の低下は全般的に出荷価格の下押し圧力となっている。さらに、ECサイト間の価格競争激化は価格転嫁を難しくしている。スタグフレーションが意識されるなかで政策余地は縮小しており、米中摩擦の不透明感も景気の重石となり得る。独身の日のセールは活況を呈しようが、「その後」の家計消費は力強さを欠く展開が続く。

 

最新の英国の支持政党の支持率

英調査会社ICMが実施した最新の世論調査では、12月12日投開票の総選挙に向け、ジョンソン首相率いる与党保守党の支持率は1%ポイント上昇し39%となった。なお、野党・労働党は31%と変わらず。欧州連合(EU)残留派の自由民主党は15%と横ばい、ブレグジット党は1%ポイント低下し8%となった。

 

マイナス金利の先駆者スウェーデン中銀がマイナス金利から脱出

スウェーデン国立銀行(中央銀行、リクスバンク)は今年12月に政策金利であるレポ金利を現行のマイナス0.25%からゼロ%へと引き上げる方針である。プラン通りであれば、リクスバンクはマイナス金利からの脱却という意味でも各国中央銀行の先陣を切ることになる。その説明を裏読みすれば、『収拾がつかなくなる前に止めておく』といったところ。 そもそも、マイナス金利という発想は、スウェーデンが先駆者だった。リクスバンクが超過準備金に対する金利をマイナス0.25%に引き下げたのは2009年だった。それ以来、他の先進諸国の多くも同じ決断に踏み切った。スウェーデンはマイナス金利を試す際にも先陣を切った。同国の最新の実験が明らかな害をもたらさないようであれば、他国もマイナス金利の世界から脱出しようという勇気を奮い起こす可能性がある。

 

トランプ大統領が12日にNYで講演

トランプ大統領が米東部時間の12日昼、エコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演を行う。ワシントンタイムズ紙では、『ホワイトハウス関係者は、トランプ氏が演説の中で中国との貿易問題を取り上げると述べたが、詳細は明らかにしなかった』と報じた。米中の貿易協議でフェーズ1の合意内容を巡って見解の相違が明らかになる中、トランプ氏の口から前向きな発言が出るのか関心が高い。

 

13日のパウエル米FRB議長の議会証言に注目

FRBのパウエル議長が13日に議会証言を行うほか、FRB幹部による講演も相次ぐ。12月FOMCでの利下げ有無や、今後の利下げ回数やスケジュール、残りの利下げ幅などに関しての考え方が注目されやすい。現状段階で米中貿易交渉への不透明感は残されているが、一旦の最悪期通過に対する期待感が高まっている。最近の米国指標は下げ止まりも見られているほか、今後は過去3回の利下げによる景気刺激効果や、米年末商戦への期待感、英国の合意なきEU離脱リスクの後退などにより、FRBが『当座の様子見姿勢』を示す可能性もある。その場合はドル/円を含めて、全般的にドルの支援材料となりやすい。ただし、過度に市場の『利下げ残存余地』期待が否定されると、米国株の高値警戒売りにつながる。同時進行で米債金利の上昇(債券価格は下落)が加速され、『金利差要因のドル高』が『米国株など世界株安によるリスク回避への円高』に波及する可能性あり注意が必要となる。

 

欧米イベント

○16:00   7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:00   9月トルコ経常収支(予想:20億ドルの黒字)
○17:00   クーレ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   メルシュECB専務理事、講演
○18:30   10月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移2.13万件/失業率なし)
○18:30   7-9月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○19:00   11月独ZEW景況感指数(予想:▲13.0)
○19:00   11月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:30   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○13日02:00   トランプ米大統領、講演
○13日02:55   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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