FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りが重石となり11日ぶりに反落

原油価格が軟化したことやドル/円相場が1ドル=108円台前半で落ち着いて推移していることが安心感を誘っているものの、前日までの10日続伸で高値警戒感が強いほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて見送りムードが強いことから小動きの展開に終始した。前日までの10日続伸で1400円近く上昇したことで、利益確定売りが重石となった。結局、前日比40円安の2万1960円と11日ぶりに反落した終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半で底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや中国株高に支えられ、108.27円付近まで上昇した。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、前日につけた約1ヵ月ぶりの高値108.37円が視野入りすると、上げは一服した。午後は日経平均株価の反落を眺めた持ち高調整のドル売り・円買いが入り、108.20円を挟んでもみ合いとなった。FOMC結果発表を控えて、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国は景気減速の中でも不動産価格は上昇

中国の国家統計局が17日発表した2019年8月の住宅価格統計によると、主要70都市のうち、新築分譲住宅価格(保障性住宅を除く)が前月比で上昇したのは55都市となり、前月から5都市減った。下落は前月から7都市増えて10都市。横ばいは前月から2都市減って5都市となった。 前年同月比では70都市すべてが上昇。6カ月連続で70都市が軒並み上昇した。

 

英議会は最高裁の判決待ちの状態:20日以降の見通し

英最高裁は今週、ジョンソン首相が来月中旬まで議会を閉会した決定が違法かどうか審理を行う。首相の決定を巡っては、スコットランドの上級裁判所が今月11日、違法との判断を示したが、ロンドンの高等法院(高裁)はその1週間前、議会閉会の差し止めを求める申し立てを却下した。ただし、最高裁への上訴は可能とした。最高裁は今週、両訴訟を審理する。訴訟を起こしたのは欧州連合(EU)離脱に反対する活動家や野党議員である。最高裁が違法判決を出せば、直ちに議会を招集すべきだと訴えている。ジョンソン首相は17日、BBCテレビとのインタビューで『司法を最大限尊重する』としながらも、違法判決が出た場合、議会を再招集するかどうかは明言せず『判事の見解を待つのが最も良いと思う』とコメントした。最高裁は19日まで審理を行う。判決が出るのは早くても20日以降となる見通し。

 

短期金融市場では制御不能の状態

連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し追加利下げに関する協議が継続する中、NY連銀は17日、リバースレポを実施し短期金融市場に資金を供給、短期金利の上昇を抑制した。『利払いや税金の支払いという技術的な要因』が重なった上、FOMCでの追加利下げを織り込む動きに翌日物金利のビッドが一時5%近くまで急伸した。キャッシュ取引では9.25%まで上昇したと報じられており、FF金利誘導目標2-2.25%の上限を大幅に上回った。市場への資金供給は、金融危機の2008年以降初めてとなる。FEDによる金融調節が完全に制御不能となっているようで、普段ではあり得ないことが起きていることは確かである。何故、それほどまでに市場で『ドルのキャッシュが必要となっている』状況であるのかは謎である。

 

米国市場ではFOMCの結果が公表:トランプ大統領の発言にも注意

根強い世界減速リスクや貿易摩擦の不透明感、原油高に伴う経済打撃などもあり、利下げ継続への前向き姿勢が示されると短期的なドル安を後押しさせる。前回FOMCである7月31日には利下げ決定前後で一旦の材料出尽くしにより、ドル/円は109.33円前後までドル高が進展したが、一気に基調が反転した。8月12日の105.05円方向まで、ドル安モメンタムが倍加された実績を有している。今回もFOMC前後での荒い上下動には注意を必要となる。ただし今回の場合、米中貿易摩擦に関しては19日から次官級協議が再開されるほか、10月初旬には閣僚級協議が予定されている。前週には暫定合意の思惑も浮上しており、米中対立は一旦の緩和や休戦の可能性が無視できなくなってきた。同時に週明けからの原油高は、先行き米国でインフレ上昇に伝播する可能性を秘めている。FRBからすると18日のFOMCで利下げを決めながら、合わせて10月以降の継続利下げまで確約するのは難しい経済・物価環境となってきた。
結果、FOMCでは市場やトランプ米大統領などに配慮し、『今後の状況次第では機動的な利下げ継続』という柔軟姿勢を示しつつも、10月以降の利下げについては曖昧な玉虫色表現にとどめる可能性もある。その場合はドル高を促す一方、利下げ余地の残存がリスク回避を制御する。過度な米株安とクロス円での円高を抑制させる可能性をはらむ。

 

欧米イベント

○17:00   8月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比4.2%)
○17:30   8月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
         CPIコア指数(予想:前年比1.8%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.7%/前年比2.6%)
○17:30   8月英PPI(食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.0%)
○18:00   7月ユーロ圏建設支出
○18:00   8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.0%)
○18:00   8月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○19:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:50   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.6%)
○21:30   8月米住宅着工件数(予想:125.0万件、前月比5.0%)
        建設許可件数(予想:130.0万件、前月比▲1.3%)
○21:30   8月カナダCPI(予想:前月比▲0.2%/前年比1.9%)
○22:00   8月ロシア失業率(予想:4.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○19日00:15   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○19日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:1.75-2.00%に引き下げ)
○19日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○19日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○19日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き下げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC、19日まで)

 

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