FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安の流れで結局10日続伸

中東の地政学的理数への警戒感から反落スタートとなったが、為替市場で円安の流れとなったことが好感され買い戻しの動きとなった。ただ、9連騰しただけにテクニカル面では過熱感が出ていたことで、上値も重い展開となった。しかし、1ドル=108円台への円安進行で輸出企業の業績改善期待から海外投資家の先物への買い戻しが入り上げに転じた。結局、前週末比13円高の2万2001円と10日続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:ドルは底堅い展開が継続

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられて一時108.37円前後まで上昇し、約1ヵ月半ぶりの高値をつけた。豪準備銀行(RBA)議事要旨がハト派色の濃い内容と受け止められ、豪ドル/ドルの下落が波及した面もあった。しかし、本日から始まるFOMCを見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下や中国株安をながめた利食いなどに、108.10円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価をにらみながら、108.20円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1010ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

中国経済の鈍化が懸念される:経済の立て直しが課題

中国当局は『経済運営はおおむね安定を保っている』と強調しているが、米中貿易摩擦の激化で、中国経済のカギとなる製造業の不振が一段と深刻化しており、中国経済の鈍化が懸念される。中国は巨大な国内市場や安価な労働力等を背景に、製造業の規模が米国や日本を上回り、欧州全体と同規模まで拡大した。政府が外資系企業の誘致・外資への規制強化の切り替え、補助金供与等を通じて国内企業の技術獲得や販路拡大、コスト競争力強化を支援した。この産業政策により、中国企業の競争力が高まったが、中国企業への技術流出や知的財産権などをめぐり、米国との対立も激化しただけではなく、国内では急速な供給過剰による市況悪化等の問題も深刻化した。米中貿易摩擦の長期化が見込まれるなか、中国は『内需拡大』に一段と力を入れることが予想されるが、個人消費の減速も懸念されており、経済の立て直しは習政権にとって大きな課題となっている。

 

米中通商協議再開で何処まで詰められるか

米中両政府は19日から貿易問題で次官級協議をワシントンで開く。米中両政府は関税の拡大を延期するなど足元で歩み寄りの姿勢をみせているが、知的財産侵害など中国の構造改革を巡って難題が山積している。10月上旬にワシントンで開く閣僚級協議に向けて、事務レベルで地ならしを進める狙いがある。
全米商工会議所のドナヒュー会頭は16日の記者会見で、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と協議し、同氏が米中の貿易協定は『本物の合意でなければいけない』と述べたと明らかにした。中国の構造問題すべてに対処する構えで、事務レベルで詳細を詰められるかが焦点となる。翌週以降に、より上位の実務者で協議を開く予定もあるという。

 

ドラギECB総裁の可能な限りの緩和策

 9月のECB理事会は、預金ファシリティ金利の10bp引き下げ、フォワード・ガイダンス強化、月額200億ユーロのオープンエンドの資産買い入れ再開、TLTRO3の融資条件緩和、金利階層化―からなる包括的な緩和パッケージを決定した。 理事会内に将来のリスク時に備えて資産買い入れを温存すべきとの反体意見も噴出した模様だが、ドラギ総裁が早期再開で押し切った。ただ、買い入れルールの見直しまで踏み込むことが出来なかったためか、買い入れ規模は月額200億ユーロと前回プログラム対比で見劣りする。タカ派メンバーの反対を押し切って資産買い入れの再開を決定したことで、次期執行部へのスムーズなバトンタッチと政策の継続性を確保した点は評価できる。恐らくドラギ総裁として今できることは全部盛り込んだ緩和策となる。 しかし、今回の緩和策でも景気や物価が十分に浮揚しない場合、ECBは追い詰められる。金融政策の限界をどう克服するか、財政政策との適切なポリシーミックスをどのように模索するか、ラガルド次期総裁は難しい課題を引き継ぐことになる。

 

FOMCではタカ派的な最低限の追加利下げ

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週17-18日の2日間、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。依然25ベーシスポイントの利下げが97%近く織り込まれている。中東地政学的リスクの上昇や原油高が世界経済の成長を抑制することはFRBの追加利下げの論拠を一段と高めるとの指摘もある。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日に無人機攻撃を受けた。これに対し、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は石油生産を日量生産能力の約50%中断したと発表した。供給不安が原油価格の急騰を招いた。そのため、金利先物市場での大幅な利下げ観測は消滅。逆に据え置き観測が一時再燃した。FOMCはタカ派的な追加利下げを実施するとの見方も目立ちドルを支えている。

トランプ米大統領は、自身のツイッターで、サウジアラビアで週末に起きた石油施設攻撃で原油供給に大きな支障が生じたことに触れたうえで、FRBを改めて批判した。トランプ氏は『FRBは状況に対応する気があるのか疑問』、『FRBとパウエル議長はわかっていない』、『ドル高が米国の輸出業者に悪影響を与えている』、『原油が打撃を受けた。大幅な利下げだ、刺激だ』--などとの考えを指摘していた。

 

欧米イベント

○16:30   8月スウェーデン失業率(予想:6.3%)
○18:00   9月独ZEW景況感指数(予想:▲37.0)
○18:00   9月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:40   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:30   7月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.2%)
○22:15   8月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
       設備稼働率(予想:77.6%)
○23:00   9月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:66)
○18日01:35   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18日02:10   クーレECB専務理事、講演
○18日05:00   7月対米証券投資動向
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○第74回国連総会開幕(ニューヨーク)
○イスラエル総選挙

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