FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中通商摩擦懸念後退と円安を好感した買い

米中協議の進展期待や中国ファーウェイの米政府訴訟一部取り下げによる米中摩擦の懸念後退に円安を好感した自動車関連や金利上昇を受けた銀行株などバリュー(割安)株の買い戻しが相場を押し上げた。また、13日のメジャーSQ(特別清算指数)算出日を控えた取引が目立った。2万1500円近辺ではコールの建玉が残っていた。そのため、2万1500円を超えると、コールの売り手が先物を買って損失を埋めようとする動きが出た。後場では2万1500円を超えて安定してきたため、先物主導で上昇にスピード感が出た。結局、前営業日比205円高の2万1597円と7日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り活発

ドル/円は、米中通商交渉が進展するとの期待から、短期筋などのショートカバーが入り、107.70円付近まで上昇した。日経平均株価が2万1500円を回復したこともあり、リスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れは続き、一部メディアが『中国が貿易戦争緩和に向けた措置を開始しする可能性がある』と報じると107.78円まで値を上げた。その後も『中国が対米報復関税の免除リストを公表』との報道で、さらにドル買い・円売りが進み107.85円付近まで値を上げた。ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

19年の石油需要の伸びを下方修正:米ゴールドマンサックス

米ゴールドマン・サックスは9日付けのリポートで、2019年の石油需要の伸びは鈍化すると予測した。インドや日本、その他の経済協力開発機構(OECD)非加盟のアジア各国、中東、南米での需要減が要因となっている。ゴールドマンは19年の石油需要の伸びに関する見通しを日量110万バレルから100万バレルに下方修正した。一方、20年の需要の伸びは日量140万バレルで据え置いた。20年の北海ブレント価格見通しは1バレル=60ドルで維持した。市場シェアを犠牲にし、減産に取り組んでいる石油輸出国機構(OPEC)の産油国の意図に疑問を投げかける形。ゴールドマンのアナリストは、『20年の原油需給見通しを踏まえると、通常の在庫水準を維持するには、OPECの追加減産が求められる』と指摘した。

 

中国ではインフレとディスインフレが共存する難しい対応が必要

米中摩擦の激化で中国経済を巡る環境は厳しさが増すなか、当局は先月に『ステルス利下げ』に動いたものの、足下のインフレ高止まりを受けて本格的な利下げに動けない状況が続いている。8月のインフレ率も前年比+2.8%と食料品の物価昂進が押し上げ要因となる一方、コアインフレ率は同+1.5%に鈍化するなど景気減速に伴うディスインフレ懸念も共存する。雇用調整懸念がくすぶるなど、物価を取り巻く環境も一段と厳しさを増している。 川上の物価である生産者物価は前年比▲0.8%とマイナスで推移し、一見するとディスインフレ懸念に繋がりやすい。しかし、年明け以降の商品市況底入れにも拘らず企業は価格転嫁出来なかったため、足下の市況調整も物価動向に影響を与えにくい。他方、日用品など消費者段階に影響しやすい財価格は上昇が続く。当局が人民元安圧力を抑える姿勢を強める背景には、輸入物価の上振れへの警戒も影響しているとみられる。中銀は6日、16日付で全金融機関を対象に預金準備率を50bp引き下げ、来月以降は一部金融機関で累計100bp引き下げる決定を行った。金融市場はこの動きを好感しており、先月の金利改革を通じた追加緩和を期待する向きもみられる。しかし、足下の物価はインフレとディスインフレが共存する極めて難しい対応が迫られる状況にあり、当局は慎重姿勢を崩していないことを勘案すれば現時点で過度な期待は禁物と捉えられる。

 

ムーディーズは南アフリカの格付けを据え置き

米格付け会社ムーディーズは10日、投機的等級より1段階上としている南アフリカの格付けについて、財政リスクや経済改革を巡る政治的な制約は既に現在の格付けに反映されていると説明した。その上で、現行格付けを維持できるかどうかは経済改革のペースにかかっているとの見方を示した。ムーディーズの南アの格付けは『Baa3』で、見通しは安定的となった。3大格付け会社で唯一、投資適格級としている。先の格付け見直しの際には格下げが広く予想されていたが、最終的に格下げは見送られた。

同社は2019年の南アの経済成長率見通しを0.7%とし、6月時点の予想の1.0%から引き下げた。2020年の成長率予想は1.5%に据え置いた。同社は、南アの中期財政声明の発表後の11月に、南ア格付けの次回見直しを行う見通しとなっている。

 

トランプ政権から強硬派のボルトン大統領補佐官去る

トランプ米大統領が10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任したことで、米国の対北朝鮮政策が外交重視に戻るとの期待が出ている。北朝鮮は9日、停滞している米国と非核化協議を再開する用意があると表明した。また北朝鮮はこれまで、軍事力を行使して金正恩体制の転覆を図ることなどを提案し、同国に強硬な姿勢を取ってきたボルトン氏を『戦争狂』『人間のくず』などと、極端な表現で非難し続けてきた。複数の米政府高官によると、2月にベトナムのハノイで開催された2回目の米朝首脳会談が決裂したのも、ボルトン氏が原因だったという。
国際政治の専門家は、ボルトン氏が去ったのは米国が北朝鮮との交渉を再開する上でプラスに働く可能性があるとみている。ただ、北朝鮮に核兵器保有をあきらめさせるという米国の最終的な目的の達成が容易になるわけではないとくぎを刺す。

 

欧米イベント

○19:00   7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:28)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.0%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率(予想:81.8%)
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○12日02:00   米財務省、10年債入札

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