FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:直近の懸念材料が和らいだことを好感

直近の懸念材料だった香港や英国の政治リスク、米中貿易摩擦への懸念などが和らぎ、終末もこれらが無難に通過したことで安心感が広がった。そのため、朝方の売りが一巡した後はやや上値を伸ばした。先週末はパウエル米FRB議長が討論会で追加利下げのシグナルと見なされるような発言をしたことや、8月雇用統計が米国の利下げを正当化する程度に軟調だったことなど、日本株の支援材料となった。結局、前営業日比118円高の2万1318円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と中国株高に支えられ底堅い展開

ドル/円は、一部メディアが『米アップルと台湾のフォックスコンが、アイフォーンの生産を巡って中国の労働法に違反している』と報じたことを背景に、106.76円まで下落した。しかし、6日の8月米雇用統計発表後につけた安値106.63円が視野に入るとドルの下げは一服した。その後は日経平均株価の続伸や中国株高に支えられて、106.90円近辺まで値を戻した。午後は、株価動向をにらみながら、106.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の需給ギャップ改善で物価上昇圧力がかかりやすい

内閣府は6日、日本経済の需要と供給のバランスを示す『需給ギャップ』が2019年4~6月期に0.6%のプラスになったと発表した。プラスは2四半期連続となった。需給ギャップのプラスは需要が供給を上回っていることを示し物価上昇圧力がかかりやすいとされる。 需給ギャップは国内総生産(GDP)統計から推計する。年率換算の金額でみると、3兆円程度の需要超過となった。

 

日本GDP2次速報値は3四半期連続のプラス成長

内閣府が本日発表した4-6月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前期比0.3%増、年率換算で1.3%増だった。3四半期連続のプラス成長となったが、1次速報の前期比0.4%増、年率1.8%増から下方修正された。民間設備投資が前期比0.2%増と1 次速報の同1.5%増から下方改定されたことが響いた。内閣府は『内需がある程度押し上げて、外需が押し下げるという大きな形に変更はない』と総括した。内需と外需を寄与度でみると、内需はプラス0.6%と1次速報の0.7%から低下した。一方、外需はマイナス0.3%で1次速報は変わらなかった。

 

今週の注目点

今週は、欧州中央銀行(ECB)が定例理事会を予定している。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策を左右するインフレ指標として生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)や小売り売上高も発表が予定されており結果に注目が集まる。また、英国の欧州連合(EU)離脱や米中貿易協議の行方、香港情勢に引き続き注目が集まる。香港情勢は鎮静化する兆候は見られず、イベントリスクになりかねないほか、米中貿易協議にも影響を与える可能性も指摘されている。
米国経済の7割を消費が占めるため注目される小売売上高の8月分は前月比+0.2%と伸びはマイナスとなった2月来の低水準に鈍化すると見られている。一方、FOMCがインフレ動向を判断する上で特に注視しているCPIコア指数は前年比+2.3%と、ほぼ1年ぶりの高水準に回復する見込みで、予想通りにインフレが回復すると利下げの論拠を弱める。

 

南アランドは短期的上昇も中長期には買い材料は乏しい

先週発表された4-6月期の南ア国内総生産(GDP)が好結果だったことは、ZARを支える材料になっている。8月にZARは大きく売られたが、9月はZARが買い戻されるケースが多いこともあり、短期的にZARは支えられる可能性が高い。トルコなどの新興国でここ最近発表された経済指標が良かったことも、新興国通貨に対してある程度の利食い買いが出る要因となっている。しかし、中長期的にみるとZARを買い戻す材料は非常に少ない。30%近い高失業率の影響もあり、南ア国内では若年層(若年層にいたっては50%以上の失業率)が移民に対して暴動を繰り返している。これに対してナイジェリア政府がラマポーザ大統領にツイッターで抗議している。アフリカ国内でのもめごともZARにとってはネガティブ要因になりやすい。

 

欧米イベント


○15:00   7月独貿易収支(予想:174億ユーロの黒字)
○15:00   7月独経常収支(予想:164億ユーロの黒字)
○17:00   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30   7月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○17:30   7月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:96億ポンドの赤字/15億ポンドの赤字)
○17:30   7月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.1%/前年比▲1.1%)
       製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○20:00   8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.02%)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数
○22:00   4-6月期ロシアGDP改定値(予想:前年比0.9%)
○10日04:00   7月米消費者信用残高(予想:160億ドル)

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